秋晴れの一日 鶏足山から焼森山へ雑木林の続く気持ちのよい縦走路 |
2020年10月25日 |
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駐車場(708〜715)→赤沢富士コース登山道入り口(723)→浅間神社中宮跡(731)→赤沢富士(748〜753)→林道横断(758)→富士山展望台(813)→大沢峠コース分岐(819)→三角点(820〜825)→鶏足山山頂(830〜850)→三角点(859)→赤沢下山口(908)→下小貫下山口(912)→焼森山山頂(945〜950)→下小貫コース分岐(1000)→下小貫コース再分岐(1003)→久保コース登山口(1054)→駐車場(1105) |
10月に入っても雨の日が続く。秋天は何時になったらあらわれるのやら。おまけに新型コロナウィルスの蔓延ガ納まらない。じじ、ばばへの感染を恐れて東京在住の孫もやってこない。何となく憂鬱な毎日である。月末になって、ようやく、晴天が何日か続くとの予報が出た。ならば、山にでも行って日頃の憂さをはらしてこよう。とは言っても、強いて行きたい山があるわけでもない。案内書をぺらぽらめくっていたら鶏足山なる山が目に停まった。栃木県と茨城県の県境に位置する標高430.5メートルの低山である。一応栃木百名山に名を列ねており、少しは名の知れた山である。調べてみると、地元の茨城県城里町が、嬉しいことに、ハイキングの山としてよく整備をしてくれている様子。登山道入り口には立派な駐車場を整備し、ホームページでは登山用の地図まで掲載してくれている。先月登った谷倉山とは大違いの様子であり、心地よいハイキングが期待できそうである。ついでに隣の焼森山にも登ってみよう。ただし、埼玉県鴻巣市の我が家からはいささか遠い。
早朝5時20分に家を出る。既に夜は明け掛かっている。羽生インターから東北自動車道に乗り、栃木都賀JCTから北関東自動車道に入る。交通量は大幅に減るが、ちょうど昇ってきた朝日が真正面から水兵照射を浴びせてくる。避けようもなく、大いに困った。ただし、進むに従い正面に見える筑波山がぐんぐん近付いてくる。さすが日本百名山、なんとも恰好よい。 笠間西ICで高速を降り、カーナビの指示に従い進むと、7時8分、目的とした鶏足山登山口に設置された駐車場に到着した。20台程の駐車が可能な整備された駐車場でこぎれいな水洗トイレも併設されている。地元の好意に感謝である。早朝にもかかわらず既に7台の車が駐車しており、何組かのパーティが出発の準備をしている。私もすぐに出発準備に掛かる。
いきなりの急登に息せき切って登る。鶏足山への登山道は数本あるが、現在私の辿っている富士ヶ平山経由のこの登山道がメイン登山道と見え急登とは言え道は確りしている。辺りは気持ちのよい雑木林である。人影もない。10分弱も登ると「浅間神社中宮跡」との標示を見る。ただしそれらしき遺構は何も見当たらない。さらに15分程急登にたえると富士ヶ平山(別名 赤澤富士)山頂に達した。雑木林の中の小平地で小さな石の祠とベンチが置かれてあった。設置された説明書きによると江戸時代に栄えた冨士講の跡とのことである。一息入れる。 緩く下ると、すぐに林道を横切る。富士ヶ平変型十字路と呼ばれル場所で登山道と林道が素直に交わっていないので道を誤りやすい場所と案内書にはある。ただし、道標もしっかり設置されておりその心配は皆無のように思われる。相変わらず急登が続く。鶏足山登山道は数本あるが、おそらく、現在辿っている富士ヶ平山経由のこの登山道が一番短いだろう。従って、傾斜は一番急なのだろう。突然「富士山展望」の標示が現れ。左手の木々の隙間から富士山が見えることを示している。目をこらし、凝視し、凝視すると、立ちはだかる山並の按部の隙間の先に、空に溶け込んだ白い山体がわずかに確認できた。満足して先に進む。 若い女性の単独行者に追い抜かれた。見ていると登る速度が私とは全然違う。グイグイ急坂を登って行く。自分の歳を自覚させられる。大沢峠コース分岐を過ぎるとすぐに鶏足山三角点峰の山頂に到着した。ベンチとテーブルが設置されている。周りは雑木林に囲まれ展望はない。ザックを降ろしてひと休みである。山頂の一角に三角点名称「下赤沢」の430.45メートルの二等三角点が確認できる。この地点が鶏足山の最高地点である。しかし不思議なことに、この地点は山頂とはみなされていない。どの案内書をみても、鶏足山の山頂はこの地点から尾根伝いに北へ260メートル程行った420メールピークを山頂としている。今到着したこの三角点ピークにすら「鶏足山へ260メートル」と期し北へ続く登山道を示す矢印の記された道標が立てられている。ただし、国土地理院の2万5千図では三角点ピークの横に「鶏足山」の記載がなされている。 標示に従い尾根道を北へ向かう。にわかに人影が濃くなった。単独行、二人連れ、少人数のパーティが多い。緩く下って、岩の露出した短い登りをへると、目の前が大きく開けた。鶏足山山頂に到着である。岩の露出した小さな頂きで北、西、東の三方が大きく開けている。まずは岩に座り込んで展望を満喫しよう。まず眼につくのは日光連山である。男体山、女峰山がはっきり確認できる。目を左に振ると皇海山が何とか同定できる。日光連山の右奥に見える山塊は高原山だろうか。眼を東に向けると空と陸との境目に白い筋が見える。大平洋だ。若い女性の二人連れが登ってきた。「何としても富士山を見るんだ」と懸命に眼をこらしている。「見えた」と歓声を上げているが、私にはどうしても見えなかった。そうしている間にも次々と登山者がやってくる。 山頂に20分もの長居となった。次の目標・焼森山を目指そう。この稜線を南に辿ればよい。三角点峰まで戻ると7〜8人の若者グループが大声を上げて騒いでいる。とても休む気はせず、逃げるように、そのまま通過して尾根道を南に辿る。ところが何と言う不運、彼等も腰を上げて私の後を追い出したではないか。すぐ後ろで大声でのゲラケラペチャクチャ、たまったものではない。緩く登り下りをくり返す尾根道は雑木林に囲まれ実に気持ちがよいのだが。我慢できず、立ち止まって彼等を先に行かせてしまう。赤澤下山ルート分岐、下小貫下山ルート分岐を過ぎ、大岩の横をちょっと危なっかしくトラバースして、小ピークに登りあげると、先ほどの7〜8人パーティが相変わらず大声で騒ぎながら休んでいた。私は逃げるようにその場を素早く通過する。 辿る尾根上には確りした踏み跡がそのまま続き、小さな登り下りをくり返しながらつづく。そろそろ焼森山に着いてもいいころだがと思い始めたころ大きな下りが現れた。と同時に私の第六感が警笛をならし始めた。「辿っているルートは違うのではないか」。ただし、尾根道は一本道、間違い様のないルートである。いずれにせよ、現在位置がはっきりする地点まで戻ろう。時刻はまだ10時前、時間はたっぷりある。踵を返す。 7〜8人グループが屯していた小ピークに辿り着いて思わず「あ!」と声を上げた。無人の頂きの片隅に「焼森山山頂」と記した山頂標示が置かれているではないか。何と! 私は山頂をそれとも気付かずに通過してしまったのだ。呆れるやら、笑うやらーーー。山頂からは北方に視界が得られた。目の前に鶏足山がそそり立っていた。ひと休みして下山に掛かる。 下山は硅石山ルートを考えている。メイン登山道ではないが城里町発行のガイドマップには描かれているルートであり問題なかろう。下小貫コース分岐まで戻りこのコースに踏み込む。この場には何の標示もないが、この先で下小貫コースと硅石山コ雑木林ースが分離するはずである。ほんの数分下ると案の定、二つのコースは分離した。登山道は確りしているが、人影は全くない。雑木林の中の静かな静かな山道である。道形は確りしており不安はない。時折踏み跡が左右に分れるが、あくまでも本道を辿る。途中道標の類いも一切ない。1時間程下り続けると、ポンと人里に出た。ここに「久保コース登山口」との道標が立てられていた。到着した駐車場は既に満車、入りきれない車数十台が路上駐車していた。山は大いににぎわった様子である。
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