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浜当目→虚空蔵山→浜当目 |
南アルプス前衛の大峠山と源氏山に登ろうと思い、前の晩支度をしていたら、何とあると思っていた二万五千図「奈良田」がない。案内書はあるが、地図なしで登るわけにも行かず諦めた。朝のんびり起きると何と予報に反して青空である。一日家にこもっているわけにもいかない。前々から気になっていた虚空蔵山(当目山)に行ってみることにした。
虚空蔵山(当目山)は宇津の山の最末端、大崩山稜のさらにその端に主稜線から切り離されて焼津の海岸沿いにぽつんと聳えている小峰である。志太山地の山から眺めると、駿河湾に絶壁となって落ち込む宇津の山の先端にぽつんと三角形の小峰があり、実によく目立つ。地図を見ると、この小峰は126メートルの標高点と、虚空蔵山との名称が記されており、山頂には寺院記号がある。何やら歴史のありそうな山である。図書館で調べてみると、この山は当目山と呼ばれ、山頂の寺院記号は「当目山香集寺」という曹洞宗の古刹である。この寺の本尊は聖徳太子作と言われる虚空蔵尊で、伊勢の朝熊、京都の嵐山とともに日本三大虚空蔵尊の一つとある。 国道150号線の大崩海岸経由の旧道を進むと、瀬戸川を渡る手前で、「虚空蔵尊参道」との標示を見つけ、左の小道に入る。標示にしたがって進むと虚空蔵山の麓についた。山頂に向って確りした小道がある。車を停めてカメラだけをもって山頂に向う。参道となっていて、一丁目ごとに標示がある。所々岩が露出し少々荒れた感じの一本拍子の急登である。廻は照葉樹の森で気持ちがよい。標高わずか126メートルであるが、海岸から直接盛り上がっているので、正味126メートル登らなければならない。三丁目で天神さんの小さな祠を見、四丁目で宇津の山との鞍部に建つホテルからの道と合わさる。階段をまじえた急登の連続でいいかげん息が切れる。人の気配は全くない。五丁目に立派な仁王門を見る。焼津市の文化財との標示がある。六丁目が山頂であった。 山頂には割合大きな真新しい建物と鐘楼があるが無人であった。側に「船舶無線電信発祥地」との碑が建っている。木々が茂って展望はよくないが、それでも、北側には用宗港、南側には焼津港が見える。満足しても来た道を戻る。途中、登ってくる女性の二人連れとすれ違う。しばらくすると、山頂から鐘の音が聞こえてきた。彼女達が撞いているのだろう。
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