栃木の山 多気山

多気不動の坐す栃木百名山

2004年10月17日


多気不動尊
 
 
市営駐車場(1025)→ 山頂(1045〜1050)→ 多気不動(1105)→ 市営駐車場(1115)

 
 古賀志山を下山し、車に帰り着いたものの、まだ10時ちょっと過ぎ。いくら何でも歩きたらない。何処か寄り道するところはないものかと、手持ちの二万五千図「大谷」を眺めていたら、古賀志山の南東に位置する「多気山」なる山が目に留まった。標高376.9メートルの三角点峰である。地図の等高線を見るかぎり、ほぼ円形の形よい山が想像できる。登山道の記載はないが、東の麓に「多気不動尊」との記載がある。どんなお寺か知らないが、寺名が記載されていることから考えると、かなりのお寺であろう。そして、おそらくこの寺の背後から山頂に至る踏み跡がありそうである。山頂から今登ってきた古賀志山の格好いい姿を望めるかもしれないとの期待もある。

 目指す山に向って車を走らせると、多気山はすぐにわかった。等高線を読んだ通りのこんもりした山が、フロントガラスの向こうに現れた。多気不動尊も有名な寺と見え、参道入り口には大きな標示があった。参道をしばらく進み、麓に至ると、不動尊の手前に、何と、宇都宮市営の立派な駐車場があった。車を停める。うまい具合に、この地点に道標があり、山中に向うはっきりした踏み跡を「多気山山頂」と示している。しめしめである。地図を読むと、この地点から山頂まで標高差約150メートル、20分程の距離である。駐車場脇の説明板により、この多気山には戦国時代に全国屈指の山城があったことを知る。

 カメラだけをもって山頂に向う。5分も登ると山腹を捲く林道に出た。登山道の続きが見当たらず一瞬うろうろする。林道を10メートルほど右へ移動してみると、道標があり、登山道が見つかった。小道ともいえる確りした踏み跡が鬱蒼とした杉檜林の中に続く。ただし、今日はだれも通っていないと見えて、蜘蛛の巣が時々道を塞ぐ。ストックを車の中に置いてきたのは失敗であった。折り取った篠竹で巣を払い払い進む。登山道の傾斜は緩やかだが、地肌はぬるぬるして滑りやすい。下りは大変だなぁと思いつつ、慎重に進む。

 やがて、山頂部の一角の大きな平坦地に登り上げた。「御殿平」との標示がある。本丸跡なのだろう。広場の傍らには四阿も建っているが、あまり人の訪れた様子はない。山頂部は広大で、何処が最高地点とも判然としない。「多気山三角点」の標示に導かれ、広場を横切り奥の高みを目指す。ツツジの木が多い。すぐに山頂に達した。展望も利かない雑木林の中の小さな高みで、三角点と小さな私製の山頂標示がぽつんとあるだけである。周囲には掘割や土塁の跡が確認でき、大規模な山城であったことがわかる。

 すぐに下山に掛かる。本丸跡広場まで戻ると、うまい具合に「多気不動尊」を示す道標があった。確り階段整備された道で、どうやらこの道が多気山へのメイン登山道のようである。石材で施された階段は絶えることなく多気不動尊まで続いていた。この道は蜘蛛の巣もなく、階段整備のため少々歩きにくいことを除けば快適であった。約15分で多気不動尊に下り着いた。麓から長く急な石段を上り詰めたところに本堂があり、なかなか雰囲気のある寺である。七五三がすでに始まっており、何組かの着飾った子供たちが、着物の裾に足を取られながら長い階段を登ってくる。この寺は宇都宮においてはかなり由緒ある寺と見受けられる。参拝をした後、ぶらりぶらりと境内を見渡しながら階段を下り、車に戻る。まだ11時少し過ぎ、帰宅はずいぶん早くなりそうである。 

 帰宅してから調べてみたら、この山は何と、栃木百名山に選ばれていた。

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