日が高くなるほど、暑さは増す。重いリヤカーを押していればなおさらだ。私も喉が渇いて来た。おばさんは、とある家の前で、水道の蛇口を指さして、私にこう言った。  「先生、ここの水は冷たかよ、飲みなっせ。」 そして私が水を飲んでいるとき、私の後ろでその家の人に大声でこう言っていた。  「すみませーん。水ばいただきまーす。」 おばさんは、毎日この家の水道で水を飲むのを常としているのだ。私が飲んだ後、おばさんが水を飲んでいるのを見ながらそう思った。

 私は、小さな水筒に麦茶を入れて持っていたので、その後あるところでおばさんに勧めた。おばさんは遠慮なくそれを飲んだ。おいしそうに・・・・。そして再び行商。

 佐伊津を出てからいつのまにか二時間以上たっている。いつの間にか蝉の声がしきりだ。カメラのレンズも知らず知らずその姿を探している。そんなに遅い時間ではないのに、今日ばかりは何故かもう半日ぐらい経っているように感じる。
前へ(Back) 目次に戻る(Return to Contents) 次へ(Next)