女があっという間に身支度を整えて出ていく。
こんな時だけ行動が早くても仕方ないだろうに…
あっちから迫ってきたくせによ…と粋がってもしょうがない。
「お兄ちゃん… またフられちゃったね。」
「……。」
妹が部屋に入ってきた。裸の俺を見て臆する様子すらない。
「また勃たなかったんでしょ? だから今の人、愛想尽かして出てったんでしょ?」
「それは…」
「そうなんでしょ? …やっぱり、お兄ちゃんはボクじゃないとダメなんだね。
ボクじゃないと興奮できないんでしょ?」
そうじゃない… そうではない、と言おうとしたが…
確かに先ほどの女の体に興奮はしていたはずなのに…俺は勃起していなかった。
「いくらあがいても無駄だよ。 お兄ちゃんは、ボクの物なんだから。
どんなに頑張っても、結局ボクしか抱けない体になってるんだよ。」
服を脱いでこちらに近づいてくる妹。 それを見て何故か奮い立ってくる己自身…
「だから… お兄ちゃんとボクは一緒に居なきゃダメなんだよ。
ずっと… ずっと一緒に…」
柔らかな肢体が獲物を絡め取る蛇のようにまとわりついてくる。
振り払えない。 逃れようとする気すら起きない。
「ほら… もう、準備いいんだよ。 ボクも、お兄ちゃんも…」
柔らかく包み込まれるような快感と共に…妹の声が聞こえてきた。
「お兄ちゃん… お兄ちゃんとは結婚できないけど…
子供なら産んであげれるからね…
お兄ちゃん… 大好きだよ…」
俺はもはや二度と逃れられない罠にはまってしまったようだ。
妹という名の…甘い、甘い罠に…
終わり