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『ある二人の風景』

妹は、その愛情の度合いを素直にあらわしてくる。

その柔らかな胸で、引き締まった腰つきで、

そしてその小さな唇で……


およそ性行為と呼ばれるもので、一番頻繁に行われるのがキス…つまり口づけだろう。

外国等では挨拶としても使われるが、日本ではあまり馴染みのない習慣だ。

しかし妹はそれをしてくる。 親愛の表現、としての意味だけではなく……



朝起きるとき、朝御飯の前、出かける前には多少長めに。

帰ってきて、また出会ったときには時間を忘れて…

そして夜を忘れて二人は愛し合う。

しかしまだ、最後の過ちだけは犯してはいなかった……



今日も二人の日常はそういった愛情の発露に溢れる。

それは例え、人目があろうとも変わらない。

二人が兄妹であることに気付く者などいないのだから。

端から見れば、それはただの愛する者同士の見せびらかしにしか見えないのだから。



終わり