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『だから、ごめんなさい』

 ……別にね、あなたのことキライってわけじゃないんだよ。
 でもね、うん……

 うん。 好きな人が、いるの。

 誰だと思う?


 ……違うよ。クラスの人じゃない。
 違うって。年上だけど……

 ……わかんない? 教えて欲しい?


 …………お兄ちゃん、なの。



 うん。 私のお兄ちゃん。

 あぁん、そんな顔しないでよ。 異常な関係なのはわかってるから。

 兄妹で、恋愛してるのなんて……


 ……うん。 した事あるっていうか、毎日してるよ。 聞きたい?

 ……ヤダ。聞かせる。



 ……毎日一回はしてるんだよ。 ていうか、させられてるのかな?

 ……朝とかだったら、お口でするの。舐めたりとか。
 お兄ちゃん、『朝だから溜まってるんだ』とかワケわかんないこと言うし。
 男の人って、そうなの?  ……ふーん。

 ほら、スカーフのココの所、染みがあるでしょ?
 コレね、朝した時に零しちゃって…… ココだけ何故か染みが取れないの。

 アレって、生臭くて… 苦くて… すごく後味悪いんだけど…
 お兄ちゃんのだったら… 飲めるの。 何故か。



 家に帰ったらね、まず汗の匂いを嗅がれるの。
 すごく恥ずかしくって、『お風呂入ってないよ、臭うでしょ』って言うんだけど、
 『この方がいい匂いがする』って全然聞かないの。

 お兄ちゃんって鼻が利くから、『男の子と変なコトしてないか』って気持ちでしてるみたい。
 ……けどね、結局はそのまま、しちゃうの……

 ……お兄ちゃんってね、すんごい嫉妬深いの。

 『抱きつかれたりされてないか』『キスされてないか』『胸とか触られてないか』って…
 しつこいぐらいに聞いてくるんだよ。

 万が一、こんな所で男の子と二人っきりだった、なんてわかったら…… スゴイだろうなぁ……

 『おしおきだ』って、一日中…犯されちゃうよ…



 …………お風呂も一緒に入ってるよ。
 普通に入るだけじゃなくて、お風呂でも、しちゃうんだ……

 だって、お兄ちゃんのこと、ホントに好きだから…

 そのまま一緒に部屋に行って、一晩中抱き合って眠るの。
 お兄ちゃんに抱きついて寝るのってね、すんごい気分いいんだよ。

 ……好きな人の腕の中で、その人の体温を直に感じてるから……

 ……ごめんね。 なんかノロケてるみたいで。



 ……だから、ね、他にいい人いるから……


 ……わかってるよ。 許されない、報われない関係だって。

 それでもね、どうしても、好きなんだもん……


     だから、ごめんなさい






 失恋により涙の海へと沈んだ少年が、
 『あいつに兄貴なんていねーぜw』と絶望の海溝へと沈んでいくのは
 もう少し後のことである。






「うそつきぃ! お前にお兄ちゃんなんていないんじゃねーかぁ!!」
「あ、あら。 兄はいないわよ。イトコのお兄ちゃんならいるけど。」
「話もウソばっかりかよぉ!!」
「嫉妬深いのは本当よ。さすがに毎日は出来ないんだけど。」
「なーにが許されない、報われない関係だよぅ! イトコなら全然結婚できるし!!」
「そーよ。 私とお兄ちゃんの結婚式には呼んであげるからね。」

    。。
   。     。 +   ヽヽ
゜ 。・ 。 +゜  。・゚ (;゚`Дフ。ウワァァァン チクショォォォオオ
            ノ( /
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