チリンは平和な牧場で母親と仲良く、平和に暮らしている子羊でした
幼いチリンはよく迷子になっては母親を困らせていたので、首に小さな金色の鈴を付けられていました
そんなある日の平穏は突如として破られます
岩山に住む一匹狼のウォーに牧場は襲われ、
小さなチリンを庇ったお母さんはウォーに殺されてしまったのです
チリンは牧場を飛び出し、岩山に向かいました
岩山に着いたチリンはウォーにがむしゃらに襲いかかります
しかしか弱いチリンは一蹴され、無視されてしまいました
そこでチリンは、自分をウォーの弟子にしてくれ 狼にしてくれと言い始めます
最初は完全無視していたウォーでしたが、ついにチリンに狼の生き方を教えてやる事にしました
ウォーがチリンに教えた狼の生き方とは、
「この世界は常に死が付きまとっている」「強い者は弱い者を殺すことで生きていける」
「牙も爪もなくても、心の牙を持て それがお前の強い武器になる」
というものでした…
それからしばらくの時が経ち、狼の生き方を学び、
ウォーと共に狼の生き方で生きてきたチリンの体は大きく変わりました
眼は鋭く光り、体は大きく、かつ引き締まった筋肉に覆われ
頭には鋭い角を生やした、強い獣へと
(声もミート君(松島みのり)からキン肉マン(神谷明)になっていました)
そしていつしかチリンは、ウォーを親の敵と憎むよりも
自分を育ててくれた父親のような存在として慕うようになっていました
そうしてウォーとチリンは周囲の獣たちに恐れられる殺し屋となっていったのです
ある日、ウォーは一つの牧場に目を付けます
そうです、チリンが生まれたあの牧場です
しかしチリンはそんなことよりも、ウォーのためにどれだけ羊を殺せるか
手強い番犬をどうやって殺すかで頭がいっぱいでした…
そしてその日の晩 チリン達は牧場を襲撃しに行きました
牧場を守る番犬たちを全て殺し、牧舎の中へと入るチリン
そこで見た物は、小さな子供を身を挺して庇う母親の姿
そう、まるであの日の自分の母親のような…
激しくうろたえ、牧舎の外へと出るチリン
そこにいたウォーに「やはり自分は羊を殺せない」「僕は…羊だ!」と襲いかかりました
やがてウォーを打ち倒したチリン
ウォーは最後に「自分のような一匹狼はこうして野垂れ死ぬのがお似合いだ」
「こうして弱者は強者に倒される それが狼の生き方だ…」
そう言い残して息絶えるのでした
寂しさの中で牧舎に視線を向けるチリン
しかしチリンに向けられた羊たちの視線は、ウォーに向けられたものと同じ、
凶暴な獣に向ける怯えの視線でした
狼の生き方を貫けず、かといって羊にも戻れず
チリンはウォーと過ごした岩山に戻っていきました
ウォーを思い、寂しく過ごすチリン…
その後チリンの姿を見た者はいませんでした
ただ時折岩山から寂しげな鈴の音が聞こえてくるそうです……
製作:サンリオ 原作:やなせたかし だそうな
そう、あのアンパンマンの作者 黒い、黒いよ