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紺色の記憶



プールから上がるときって、もう少しだけ水の中にいたいなって思う。

体は疲労感に包まれているのに、もうちょっとだけ、泳ぎたいなって……



でも、水泳部でもないボクが、いつまでもココにいるわけにもいかない。

ボクがプールを使えるのは、授業が全て終わった放課後と
水泳部の練習が始まるまでの、僅かな時間でしかないから。

でも水泳部に入ってまで泳ぎたいとは思っていない。
ただ、家に帰る前に、泳ぎたい、と思うから、泳いでるだけで、
そんなにタイムがいいわけでもないし。



女子更衣室の中にはまだ誰もいない。

紺の水着の肩紐をずらして、するするする、と脱いでいくと、
引き締まった裸体と、その代償の…小さな胸が露わになる。
しかし誰が見るわけでもないので気にするわけでもない。

脱いだ水着はくしゃくしゃと丸めてバッグに入れる、ということはしない。
少し絞って、水気を切っておく。

「かなり泳いでるからかなぁ…… なんか擦り切れてる。」
今まで着ていた水着を手に取ってじっくり見てみると、
胸の所と股の所の布地が結構荒れている。 でも脇の下当たりはそうでもないのに…

「あ、もしかしてコレって……」
お兄ちゃんが……激しく……したから……
ボクの頭の中に、昨日のお兄ちゃんとボクの姿が浮かんだ。



『お前、放課後に水泳部でもないのにプールで泳いでるんだって?』
『え、あ… う、うん…』
肩を抱くようにお兄ちゃんに引き寄せられると、それだけでドキドキが止まらなくなってくる。

『なあ、俺の前で着てみてくれないか?』
『ええ!?』
『見てみたいんだよ。 学年の違うお前の水着姿なんて普段見れないし。』
『で、でも……』

『まだ塩素の匂いがするな…』
首筋に鼻を埋められて匂いを嗅がれる。
しかし唇は肌には触れていなくて、でも身体は抱き寄せられるように近づいていて…
『別にいいだろ? お前の水着姿を、お前のクラスのみんなも水泳部も見てるのに、
 俺だけ見てない、ってのはなんか不公平じゃないか?』
『う、う……』



下手をするとそのまま放置されて生殺しにされてしまう。
だからボクは、お兄ちゃんの望み通りに水着を着た。
その日も放課後に泳いだばかりで、まだ湿っている水着を……

『おお! ふむ…いいねぇ。』
『……。』
お兄ちゃんは、じろじろと、水着越しのボクの身体のラインを観察している。
ボクはただ、手を後ろ回して組んだまま、その視線を感じていた。

ごく普通の、学校指定の紺の水着を着ている。
それだけなのに、お兄ちゃんはかなり興奮をしていた…



『そ、そんなにじろじろ見ないでよぅ…』
『ん? もしかして見るだけじゃなくて、手で触ったり、舌で味わったり、
 あれやこれやもしちゃったりしてもいいの?』
『……。』
ボクは無言のまま、コクリと頷いた。

その瞬間、まるで飢えた獣が襲うように…
お兄ちゃんが襲いかかってきて、ボクをベッドへと押し倒していた。



胸の所の擦り切れは、胸を強く愛撫された手と歯の痕……
股の所の擦り切れは、…………

「…………。」

思い出したら、体がまた熱くなってきちゃった……
さっきまで水の中でかいていた汗とは違う汗が体を伝っていく。



『ん〜〜、ここも塩素の味がするなぁ。』
『や、あ…』
お兄ちゃんに、水着の胸の部分を掴まれ口で吸われてる。

『あ、う… お兄ちゃん、痛…!』
ささやかに膨らんでいた乳首に、水着の上から歯を突き立てられた。
『痛、痛い! お兄ちゃん、やめて…』
『痛いのか? やめて欲しいのか?』
ここでやめて欲しいなんて言ったら…
お兄ちゃんはボクの相手をしてくれなくなる。

それこそ2,3時間も挿れてくれなくて、何度もイク直前で焦らされて、
ボクの方から『痛くてもいいからしてください』っておねだりするまで、絶対に……
だから、ちょっとぐらい痛くても我慢しなくちゃ…

でも… やっぱり、痛い。



『も、もうちょっと、優しく…して…』
『噛まれるのはイヤか?』
『う、ん…』
『舐めたり吸ったり揉んだりの方がいい?』
『うん…』
今度はさっきとは違って、優しい愛撫を受ける。
水着越しに動くお兄ちゃんの舌と指の感触が、ぴりぴりと快感を送る。

『気持ちいいか?』
お兄ちゃんはボクに必ずこう聞く。
ボクの表情の変化だけじゃわからないから、って。

『うん、気持ちいいよ… だから、もっとして。』
だからボクはいつもこう答える。
『ボクを、もっと気持ちよくして……』
恥ずかしがらずに素直に言えば、お兄ちゃんは必ず応えてくれるから……



気付くと、ボクの左手は熱くなった股間を押さえていた。

ダ、ダメだよ… こんな所で、しちゃったら…
もうすぐ水泳部の人たちが来るんだよ… みんなに、見られちゃう……
ボクが変なコトしてるの見付かっちゃう… だから……

「はぁぁ……」
そう思う心とは裏腹に、冷たい床に身体がへたり込む。

今までも着ていて、昨日も着ていた水着を目の前に持ってくる。

水着の股の所…… ちょっと染みが付いてる。
一回洗濯したぐらいじゃ、取れてないのかな……



『スゴイ濡れてるな。 もしかして見られてるときから濡れてたのか?』
『うん… 濡れちゃって、ました。』

お兄ちゃんに見られているだけで、どういう風に気持ちよくされるのか、想像しちゃって…
ボクは、こんなにいやらしい女の子だったんだ…

お兄ちゃんが大好きな妹、ってだけでも、ヘンなのに…
お兄ちゃんに、されると、気持ちよくなっちゃう…

『じゃあもう挿れていいよな。 さっきから我慢しかねてたんだ。』
『あ… はい、どーぞ。』
自分から水着をずらしてお兄ちゃんを誘う。
これもお兄ちゃんの好きな仕草で、
お兄ちゃんはご褒美とばかりに、キスをしながらボクをしっかり抱きしめてくれた。



「んぁ… んんん……」
水着の染みになった部分を噛みしめて、漏れる声を抑える。
最初は控えめに擦られていた指は、いまはしっかり根本までアソコに指し込まれていた。

……でも、指、だけ、じゃ、我慢、でき、ない……

お兄ちゃんが欲しい… お兄ちゃんに、思いっきり抱きつきたい…
お兄ちゃんのオチンチンを奥まで挿れて、一緒に、イッパイイッパイ、気持ちよくなりたい……



『あ!ひゃう! お兄ちゃ!お兄ちゃん!!』
身体が浮き上がるんじゃないか、っていうぐらいの激しい突き込みがボクの膣内を襲う。
奥底まで突き入れられて、前までは痛かった。 けど…

『気持ちいいのか?』
ニヤニヤとしながらお兄ちゃんが問う。
『き、きもちいい! もっと、おにいちゃぁん…!』
甘えるように腰をくねらせながら快楽をねだる。
毎日のように続けられる行為は、すっかりボクの身体を変えていた。

もっと激しく、もっと気持ちのいい事を、お兄ちゃんと一緒に……



『そろそろイクぞ! イク…!』
『え、あ…!?』
なぜかボクの膣内からお兄ちゃんが引き抜かれる。
『う、うぅ…!』
瞬間、熱い脈動がじわりと拡がるのを股間の近くに感じた。

『あ…』
お兄ちゃんはボクの膣内ではなく、その脇の水着と身体の間に射精をしていた。
水着にひときわ濃い染みが浮かび上がる。

『あ、あの…』
『ふ〜〜、一度スク水の隙間に射精ってのをやってみたかったんだよな〜〜

 ……あ? どうした?』
『そ、その…… ボク……』
こういう時のお兄ちゃんは、ボクがして欲しい事を、口ではっきり言うまでしてくれない…

『ボク… もう一回したい……』



「ボ、ボクの、膣内にも、口にも、射精、されて、
 体中、で、お兄ちゃんを、感じたい……です……」

いつの間にかボクは、そのときの情景を思い出すだけではなくて、実際に台詞を口にしていた。
今にして思えば、なんて恥ずかしい事を口走っていたんだろう…

でもこうしないと、お兄ちゃんはボクを気持ちよくしてくれない。
そしてボクも、こうされることでさらに気持ちよくなれる…



「おにいちゃん、もっと、もっとボクを気持ちよくしてぇ…!」
昨夜の激しい交わりの光景が、ボクの身体を気持ちよくさせる。

お兄ちゃんは、イッパイ出すんだよ…!
毎日毎日、ボクの中にも外にも、イッパイ出すんだから……!!

「ふぁああああ、あああ…………」

お兄ちゃんの放出した精液が、びちゃびちゃとボクの顔に降り注ぐ。

けど、水着を噛みしめていた口には、塩素臭い水の味しかしなかった……



がやがやがや……
ハッ! も、もうこんな時間!?
水泳部の人たちが来ちゃったよ!! は、早く着替えないと……

「あれ〜? あんた、まだいたの?」
いつもは自分たちが来る時間には帰っているボクを不審がってか、声をかけられた。
思わず背筋がどっと冷える。

「ス、スイマセン!すぐ帰りますから……」
「そう。 ……早く着替えないと風邪ひくよ?」
「は、はい…」

まだ全裸なうえに顔も赤くして汗まみれなボクを心配してくれてた。

でもあそこでボクが何してたのかを知ったら…
ボクがお兄ちゃんと毎日何をしているのか知られたら……

冷や汗が、体を伝っていた。



途中で買ったジュースで水分補給をしながら、駆け足気味で家路を急ぐ。
さっきので、体が火照ったままで……

家に着いたら、お兄ちゃんに、してもらうんだ……
ボクが頼めば、お兄ちゃんはいつだってどこだってボクを気持ちよくしてくれる。

ボクとお兄ちゃんの、お互いの気が済むまで…
ボクの体の熱は、お兄ちゃんにしか静められないから……

だから、早く家に帰らなきゃ…… お兄ちゃん、もう帰ってるのかな……

どの種類の汗とも違う液体が、ボクの足の間に伝っていった……


終わり