Nixielyzer 制作記 〜ハンダ付け大好き2〜

 疲れた脳でネットを彷徨っていると、レトロデバイスに心を癒やされたくなる瞬間が訪れます。
 ちまたではネオン管の優しい光で灯るニキシー管時計キットが人気ですが、管理人の部屋には電波時計が3つもあり、しかも時計と言えばMAD研究所さんのTAKECLKが二つもあります。これ以上時計を増やしても、さすがにどうかと思う自分がいます。
 なので同じニキシー管でも、バー型のよちょっと変わった物で、しかも簡易的ですがスペアナになるMr.Nixie(Jurgen Grauさん)の『Nixielyzer』を作ってみることにしました。
 ハンダ付けフェチの管理人の一生態をご笑覧ください。

Nixielyzerの仕組み

 Nixielyzerの組み立て説明書やらマニュアルはMr.NixieのWebサイトにあるのでそれを確認するのが一番ですが、ざっくりとした構成を書くと、中心となるのはロームのBA3830Sというスペアナ用バンドパスフィルタICで、これの出力を6+1本(帯域別が6本、+1は全体のレベル)のニキシー管で表現するといったものです。ちなみにニキシー管をドライブする高圧140VはタイマIC555を使った昇圧回路で発生させています。
 その他の機能として、オーディオと接続する為の入出力端子(バランス入力が出来るところがコダワリ)、環境音のスペアナ表示を行う為のマイク、ニキシー管の足下を綺麗に飾るLEDがついています。暗くした部屋で動作させると綺麗でしょうね。
完成後のNixielyzer
では、以下日記形式でNixielyzerとの出会いから完成までを紹介していきます。

Nixielyzer制作記

 Nixielyzerとの出会い

 ぼちぼちゴールデンウィークな季節、ちまたで流行っているニキシー管の制作記事などを見ていると妙に欲しくなる。なんで真空管の類というのは、こう、妙な物欲をそそるのか。ガラス管の中に精緻に作り込まれた電極やらを見ていると、人間の物作りの原点を改めて認識出来る気がする。そんなうさんくさい感傷はどうでもイイとして、よくある数字が出てくるニキシー管ではなく、バー表示が出来るニキシー管の存在を今更知った管理人は、ちょっぴり興味が沸いてしまった。
 そこでネットで制作記事を検索してみても、国内のサイトではキットの頒布は全部終了、自分で基板から起こすのはちょっと面倒だなぁと考えているとNixielyzerの記事に出くわした。Nixielyzerを頒布しているMr.Nixieはドイツのサイトで、ビビリで日本語もロクにしゃべれないコミュ障管理人にとっては、海外の個人サイトで物を買うのは中々の度胸が必要であった。
 しかし、ネットでMr.Nixieからキットを取り寄せた記事を検索してみると結構数は多く出てくるので、日本宛に送った実績も多そう。ぶっちゃけ料金の支払いはPayPalだし、申し込みページは英語でも併記してくれているので住所などの入力も問題無い。唯一紛らわしいのは、ドイツでは小数点がドットでは無くカンマなので、日本式に読むと値段が数百万円に見えることくらいか(価格はユーロ表記なので小数点が付いている)。
 実際発注をしてみたけど、普通の海外ショップの手続きと何も変わらなかった。一度でも海外から個人輸入した経験があれば全く問題無いと思う。外国嫌いの管理人でも、海外のサイトでお買い物位は割と嗜むのだ(笑)
 あと、色々なサイトでも書かれているけど、通信販売での対応の早さは日本のが異常。サイトでポチって翌日に届くとか、海外ではSF扱いされるのでそんな常識は通用しない事だけは改めて強調しておきたく。特に海外の個人サイトの場合、ポチってからブツが届くまで一ヶ月くらい掛かるのは普通なので、のんびり気長に待つしかない。

 発送連絡が来た

 ゴールデンウィークも終わり、いつも通り日常生活にウンザリしていた頃、Mr.Nixieからメールで発送通知が届いた。PDFで添付されていたInvoiceでは、送り先の自分の名前が微妙に違っていたけど、住所は合っているので問題無いだろう。それともドイツ語だと、日本のローマ字表記の我が名は余りにもおかしく映るのだろうか?
 送料が760円くらいだったので船便でのんびり来ると思っていたのだけれど、配送番号で検索掛けるとフランクフルトの空港に届いているようだった。航空便とはずいぶんサービスしてくれていると思う。元が取れるのだろうか……?

 ブツが届いた

 国際郵便で送られていたので、飛行機にいつ乗ったかとかはよく分からなかったのだけれど(FedExとかだと飛行機のフライトまでデータが出る)、とりあえず日本に届いたのが16日。翌日に税関を通り、18日に晴れて我が家に届けられた。しかし途中でハコが破れていたらしく、川崎の郵便局でテープやビニールで梱包を修復してくれていた。さすがジャパニーズ・クォリティ! 余計に元が取れているか心配になる。中身さえ無事なら、ハコが破れてひしゃげていても問題無いのだ。
梱包のビニールに貼られていた詫び状?
 ……と強がりを言ってみても、今回送られてきているのは、鉛筆みたいにやたら細い真空管である。どう考えても簡単に折れそうなので、ビクビクしながらハコを振ったが、中からチャラチャラとガラスの破片がぶつかり合うような悲しい音は一切しない。
 慎重に梱包を解いたが、どうやらニキシー管(IN-13)は7本共に健全な状態のようだ。良かった良かった。
バー型ニキシー管 IN-13
 さて、このキットはドイツ製だ。自分の身の周りには、ドイツ製の製品など(部品はあるかも知れないけど)ほとんど無い。という事は、何かしら日本ではお目にかかれない特別な部品があるかも!?とwktkしながら中身を覗いてみた。
ハコの中身
 まずは部品の代表格、半導体である。
ダイオードとかトランジスタとか ICとか
 左写真真ん中のトランジスタは、MPSA42。300Vの高耐圧トランジスタである。ゲジゲジはロームのBA3830S。これは日本のだ。8本足のは単電源オペアンプのLM358とタイマIC555。共にSTマイクロ製。他のトランジスタぽいのは、右写真の左から三端子レギュレータのLM317L(STマイクロ)、BC635、BC636(フェアチャイルド)といった感じ。BC635、BC636はあまり見かけない気がするけど、用途が特殊だからだろうか? 余り変な部品は無いようだ。あえていうと、LEDが変な形(笑)
ケミコン1 ケミコン2
 次は数の多いケミコンであるが、こちらも目立って特殊なメーカーは無い様子。というか、ニチコンや日ケミとか日本メーカーが半分。ドイツにはケミコンの良さ気なメーカーは無いのか?
その他受動パーツ
 抵抗器や電球も、あまりよく見る形がほとんど。無理ツッコミするならば、セラコンのオレンジ色が鮮やかで綺麗だなぁとか?
ケースなど
 ある意味一番大切な”見てくれ”に関しては、もうこれはニキシー管キットでは世界一か?(笑) 到底同人キットとは思えない秀逸なデザインと完成度。作る前から触手(違)が蠢く。カッコイイ!
基板(表) 基板(裏)
 そして最後に機能的に一番大切な基板は、表面実装のLEDと積層コンデンサが既にハンダ付けされている。ちょっとハンダが足りない気がしなくも無いので、あとで追いハンダしておこう。これも緑色のレジストで普通の基板。
 ちょっと前の外国製の家電の基板を見ると、馴染みが無い様な外見のパーツがくっついていた気がするけど、さすがにグローバル化が進んだこのご時世、電子パーツなんてどこも同じのを使っている様だ。

 作り始めた

 今回このキットを作るにあたり、たぶんこの規模だと普通に作るとすぐに完成してしまうので、

 ……ことを目標に定めてみた。
 急いで作っても誰も褒めてくれないし、それに日記風とか言って一日で終わったら企画倒れだからだ。
 さて、同人ハードは組み立てマニュアルも非常に簡素であって、ヘタすればネットに置いてある回路図を追っかけて基板に部品を刺していかなければならないようなちょっぴり玄人好み(決して難しいとか言わない)の物もあるが、Nixielyzerもさすがに回路図を見なければならないほどでは無いにせよ、抵抗器のカラーコードは製作者が自分で読み取らなければならない。
 大概に於いて管理人は注意力が散漫であるし、このキットはやや抵抗器が多く基板はスルーホール。値を間違って実装しちゃうと色々メンドウなので、いつも以上に念を入れて抵抗器を組み立てマニュアルの実装順に並べてみた。
抵抗器
 ちなみに管理人は、抵抗器とかダイオードの類は一番最初にハンダ付けしてしまう。
 もちろん背が低いパーツからという原則もあるが、それよりも見慣れすぎててハンダ付けのテンションが全く上がらないからだ。直接的に言うと、ちっとも面白く無い。いちいち足を折るのも面倒だし、位置をきっちり揃えてハンダ付けするのが割合難しいのだ。
 そしてその抵抗と共にダイオードも付けたのが以下の写真(インダクタも先に付けたけど気にしない)。
抵抗とダイオードとインダクタを付け終わった
 左上の方の抵抗器の位置がびしっと揃わなかったのが、とても悔やまれる。こういうところをいちいち気にするのが、面倒くさい性格の管理人である。
 そして作業は粛々と続き、あっという間に部品の実装が終わってしまった。ちなみにデカいケミコンがぶらぶらするのが気になるので、とりあえずホットボンドで基板に貼り付けておいた。
基板への実装を完了
 ぱっと見、特に実装間違いもなさそうだったので、電圧の調整を兼ねて火入れしてみた。
火入れしてみた
 基板に実装済みだった三色LEDが怪しく光る。もちろん電圧は調整済み。ニキシー管をドライブするために140Vを作っているのだけれど、こんな高い電圧を測ったのは初めてかも?
 基板の動きは問題無さそうなので、ニキシー管の加工を始めた。足に、付属のチューブを履かせて成端処理。
ニキシー管の成端処理
 ここまでくれば、基板に繋いでケースに突っ込んで完成である。
 ちなみに付属のネジは飾りネジを意識しているのかトルクスなのだけど、ケースにねじ込むのがやたら固く、管理人は3本ほど頭を舐めてネジを潰してしまった。油を注すか、新品のドライバを使い、相当力を入れてねじ込まなくてはならない様だ。結局ケース裏面では手持ちのネジを使って組み立てた。

 作り終わった

 ゆっくり作業するとか書いて、この体たらくだよ! 半日で完成してしまった……
動作中
 ところで、本機を実際動かしてみて思うことは、本当に綺麗なので見ていて飽きないと言うことか。管理人はあくまで制作を楽しむ為にキットを入手したのだけれど、ケースやレベルメーターの完成度の高さもあり、持つ喜びを得られる機械になった。

 当初は2週間くらいで作るつもりが半日で完成してしまい、記事がだいぶ薄くなってしまいました……。
 動画を撮ったので、それでお茶を濁します……。

 ちなみに動確のBGMは、今は亡き(?)STUDiO B-ROOMの「雛鳥の囀」のデモの曲です。こいつをRE:birthのOPNA基板で鳴らしたものを使っています。動画に中でも書いていますが、まさに新旧のデバイス・ソフトが入り交じったカオスの極致です。
 今更98に突っ込んだ86ボードで最新のアニソンかき鳴らす快感と同等の物があります!←フェチ