過去からの想い、そして…

 『……時空振動波、正常範囲内。リアクター起動、システム開放。』

 ………………。

 『対象物、現時間に移送完了。CRCチェック完了……原子配列に異常なし。
 ……全プロセス、正常終了。トランスポット冷却中……』

 私の名前はTheta-00526VH。普通はシータって呼ばれてます。
 今、私は時空移送装置に中にいます。
 普段、私はヒト−ゲノム総合管理研究所というところで仕事をしていますが、今回わけあってこんな物に乗っているんですよね。
 ……我々の遺伝子を、過去から。
 そんな目的で立案された、『ヒト遺伝子を過去の人類よりサンプリングし、現人類の遺伝子を補完する計画』……通称遺伝子補完計画。
 私はその計画の主任兼サンプリング対象Fと言う事で、今から1年ほど前、過去に行って来たわけです。
 そこで私は計画通り……ではありませんでしたが、どうにか任務を完了し、この腕に抱かれている赤ちゃんを産んだのです。
そして今回は、補完計画のサンプリング対象M……タカちゃんに、私達の子供を見せてきました。
 ちょっと我が侭を言ってしまいましたが、それくらいはいいですよね?
 だって、この子には、ちゃんとお父さんを見せてあげたかったんだもん。
 それに、私もタカちゃんに逢いたかったし……
 今は帰ってきたばかりだけど、装置が完全に停止するまで、私はこの中にいなくてはならないみたいです。
 しばらく、このまま座っていましょうか……。

 今でも、目をつぶればタカちゃんとの楽しい日々が思い出されます。
 いろいろなところに連れていってくれたり、たくさんおいしいものを食べさせてくれました。
 彼、いつも怒ったようなそぶりで私のことを蹴っ飛ばしてましたが、本当はとっても優しいんですよ。いつも、私のことを気遣っていてくれました。
 ……私は、タカちゃんが大好きです。
 そして、タカちゃんの居た時代も大好きです。
 ……私達の時代の人たちはみんな、放射能との戦いで疲れ切っています。
 毎日、私達の住むコロニーに放射能が入るのを防ぐシールドを点検して回ったり、廃墟から資材となるものを探したりと、生き残った数少ない人達で、たくさんのことをやらなきゃいけないんです。
 ……みんな、ずっと働いてます。愚痴も言いません。
 言っても、何も変わらないからね……。
 みんな感情を殺しきってるんですよ。
 だから、タカちゃんみたいに感情が豊かで、元気いっぱいに生きてるあの時代の人々が、とても羨ましいです。
 フフフッ……本当に、タカちゃんは感情豊かでしたね。
 私が初めてタカちゃんと出逢った、運命の日……
 『落ち着け、落ち着くんだ!! お前は今、自分が何をしているのか分かってないだろう!!』
 タカちゃんは私を指さしながら、そんなことを叫んでましたね。
 タカちゃん本人が、一番取り乱してたのに。
 その事を言ってあげたら、頭を抱えて叫び散らしてましたよね。
 私のタカちゃんに対する第一印象は、リアクションが激しい人だなってとこでしょうか。
 それに、表情もころころよく変わるんですよ。タカちゃんは私より年上なのに、子供っぽいなーとかも思ってたりしました。
 そう言えばその日、私が子供を作ろうなっていったら、思いっ切り怒られちゃいましたね。
 今でも、よーく覚えてるんですよ。
 『お前は、なんで人が子供を作るような事するのか分かってないだろう!!』
 そう言われましたっけ……
 その通り、私はあの時、なぜ人が子供を作るのか、全然理解していませんでした。
 でも、タカちゃんにちゃんと教わりましたよ。今じゃ、ちゃんと知ってるもん。
 それにしても、出ていけなんて言われたとき、私は本当に途方に暮れたんですよ。だから、ついつい泣いちゃったりしたんですが……
 あの日怒られたのが、初めてだったんですよ。
 だから、ビックリしちゃって……
 今まで、あんな風に感情をストレートにぶつけられたことも、無かったんですよ。
 でも、怒られて……私のことを、しっかり考えてくれてるんだって感じたとき…………
 ちょっぴり、嬉しかったんですよね……。
 だから……その時、初めて人を好きになるっていうんでしょうか……
 あの当時は全然解らなかったけど、今になってみれば、あの時タカちゃんのことを好きになったのかも知れません……。
 そして、10日間の生活が始まったんですよね……。
 タカちゃんは、私のことを奴隷だなんていってたけど、私、ちっとも奴隷なんてしませんでしたね。
 ご飯は作らなかったし、タカちゃんの身の回りのお世話何かも全くしなかったし……ただ、お部屋の掃除だけでしたね、奴隷らしいことと言ったら……。
 それなのに、服とかパジャマとかも買ってくれたっけ……
 もちろん、今私が着てる服は、その時買ってくれたものですよ。
 ……今でもお気に入りです。
 タカちゃんは、1ヶ月程度働けばいくらでも買えるんだなんて言ってましたが、後々調べてみたけど、この服はあの時代でも結構良い物なんですね。
 なにせウール100%! 今じゃ絶対手に入らない物です。羊は絶滅してしまいましたから……
 同僚の人たちも、凄く羨ましいって言ってましたっけ。
 でも、私はウール100%でも再生繊維100%でもいいんです。……タカちゃんが買ってくれたんだから、この服が好きなんですよ。
 そう言えば、タカちゃんは色々な所に連れていってくれましたね。
 10日間のうち、7日間私と一緒にいろんな所に行きました。
 ……その間、学校はどうしたんでしょうか。テストがどうのとか言ってた様な気がしますが。……あとでその事を聞いたら、急に変な雄叫びを上げていましたが……
 きっと、凄い成績だったんでしょうね……。私のせい、かな??
 …………。
 そうそう、連れていって貰ったところは、映画館に遊園地、水族館、動物園、美術館、秋葉原、森林公園でしたっけ……
 動物園では、今まで辞典やビデオでしか見たこと無かったいろんな動物が生きてましたし、水族館では魚がいっぱい泳いでいました。
 そう言えば、水族館でマグロの回遊を見ているとき、あれが美味しそうだとかこれはトロの付きかたが良さそうだとかいろんな人が言ってましたが、泳いでるものがそのままご飯になるなんて、考えられませんね。
 私達のご飯といえば、栄養剤やビタミン、ミネラルなどの各種薬品を合成セルロースでペースト状にしたものですから、傍目は粘土そのものです。もちろん、味なんてどうでもいいんですよ。はっきり言って、美味しくありません。
 だからなんですけど……
 タカちゃんの所でご飯を食べていたとき、羽目を外しちゃったというか、何というか……
 とにかく、美味しかったんですよ。本当に。
 今まで、マトモに味付けされた料理なんて食べたこと無かったし、そもそもちゃんと味がわかった事といえば、小さい頃に味蕾成長促進の為に塩化ナトリウムやクエン酸、マルトースを少しずつ舐めたくらいでしたっけ……。
 ついついお腹いっぱい食べちゃいましたね。
 あのあと、体重を量ったら何と5キロも増えてました……。
 まぁ、そんなことは置いといて!
 そう、最後の日ですよね、やっぱり……。
 あの日、確かお子さまランチを食べてたと思うんですけど、その時タカちゃんに、
 『お前がお前の世界に帰った後、また俺達は逢えるのか?』
 ……そう言われたとき、とても辛かったです……。
 今でも、時々思い出したりするんですけど、あの時タカちゃんに何と言ったらよかったのか今でもわからないし、わからない自分にとても憤りを感じたりもします。
 結局、タカちゃんを騙していたようなものですからね……
 でも……タカちゃん、何だか全部わかっていたみたいでしたね。
 ……私って、おっちょこちょいだから……。
 どうやら、『時代』って言葉を連発していたという……
 ……恥ずかしいですねぇ。
 タカちゃんは、たぶんその辺から私が未来から来たんだとわかったんでしょうね。
 そして、タカちゃんは言ってくれたんですよ。
 『なあシータ、そんな未来のことは放っておいて、この時代で一緒に住もうぜ……』
 って……。
 嬉しかった。そして、本当に辛かった……。
 タカちゃんとだったら、ずっと一緒にいたかったですよ。
 ……でも、それは出来ません……。
 私が、何のためにこの仕事を選んだのかわからなくなるし、それに、博士の信頼を裏切ることになっちゃうから……。
 ……あ、博士って言うのは、私が働いてる研究所の上司の人で、私はいつもミヤタカ博士と呼んでます。
 私の普通の仕事は、ミヤタカ博士と一緒に遺伝子操作の実験を行うことです。
 その実験は、補完計画とは関係ないんですが、目標は同じです。
 つまり、人類の遺伝子を元に戻すこと。
 私達は、遺伝子操作によって、失われた遺伝情報を取り戻そうとしてるんですよ。
 ……けれど、未だ成功したことはありません。
 タカちゃんについつい愚痴ちゃったけど、人は命を創り出すことは出来ないんでしょうね……。
 実験っていうのは、DNAシンセサイザーという機械を使って合成したDNAを、ベクターを使って人の受精卵に植え付け、そしてそれを培養槽でゆっくりと育てることです。
 昔、そう、戦争の前には、生体培養を速くできるDNAアクセラレーターという機械があったんです。
 それを使えば、人間なんかは7日間くらいで、受精卵からふつうの赤ちゃんの大きさまで育てられたそうですよ。
 しかし今、その機械を作るだけの技術やお金、余裕なんかがないんですよね。
 だから、仕方なく培養槽……人工子宮って呼ばれてますが、その機械で培養してるんです。
 そして、書き換えの終わった受精卵を5ヶ月くらいまで育てるわけですが、ほとんどの実験体はその時点で破棄されます。
 ……人の形をしていないんですよ、赤ちゃんが……。
 また、例えその時点で人の形を保っていたとしても、10ヶ月を過ぎた頃には奇形が出てきます。
 もちろん、それらは培養槽から出しても生きてゆくことは出来ません。
 ……私達は、そんな赤ちゃん達を高周波型高熱炉で完全に焼却します。
 残酷過ぎることは、誰よりもわかってます。
 でも、私達には安楽死だとか、お墓に埋葬だとか、そんな事する余裕は全然ないんです。
 ……だから、私はいつも逃げていました。
 初めて赤ちゃん達を処分したとき、彼らが焼けただれてゆくのを見て、私は吐きました。
 胃の中のものを全部出しても全然足りないかのように、ずっとずっと吐き続けました。
 自分がやってしまったことの残酷さを、身を持って感じたような気がしました。
 生命を弄んだことで、自分は汚れたんだと、つくづく実感しました。
 そのあとは、ひたすら泣いた様な気がしますが、よく覚えていません。ただ、ミヤタカ博士に抱きしめられていた事だけは、はっきりと覚えています。
 博士は、いつも優しくしてくれます。だから、私は研究所にいられるんですよね。博士が居なければ、今までやってこれなかったと思います。
 でも、私は博士には恋愛感情って言うんでしょうか、そう言う気持ちはないんですよね。
 そもそも博士も、私には距離を置いてると言うか、とにかく優しいんだけど、その、プライベートなことはいっさい触れないというか……
 でも、私はそれでも良いと思っています。私にとって、博士は尊敬する人だから。
 そして、私が唯一愛してる人は、もちろんタカちゃんです。
 だから、私はタカちゃんに愛を貰いました。
 あの日、そう、私とタカちゃんが結ばれた日、私はタカちゃんのぬくもりを感じながら、この瞬間が永遠に続けばいいと思っていました。
 そしてその時、人がなぜ子供を作るのか、理解できたんですよ。
 ……人を愛すると言う事が。
 ただの好きは、その人の良い部分しか見てないことだけど、愛するのは、その人の良いところ悪いところ全てを受け入れて、なおかつその人とずっといたい、ずっと一緒に生きてゆきたいという事でしょうか……
 女にとって、愛する人の子供を産むのは幸せなことですよね。
 だから、この腕の中にいる子が元気に産まれたときは、とても嬉しかったんですよ。
 そしてこの喜びを一番伝えたかったのは、やっぱりタカちゃんだったんですよ。
 だからなんですね、今回、こうして再び過去に行ったのは……。
 しかし、また再び過去に行くまでには、結構苦労しました。
 ミヤタカ博士はすぐにOKを出してくれましたが、研究所の他の人を説得するのに結構大変でしたし、それよりも、この時空移送装置を稼動させてる管理局に許可を出させるのがとにかく大変でしたね。
 例の、1回目の渡航ですよ。
 当初の予定では、タカちゃんに抱かれてすぐに帰ってくるワケでしたから、予定時間は1時間だったんですよね。
 過去に行ってから1時間後、私が持っていた発信器を押せばそのまま未来に帰るようになってたんですけど、なんせ奴隷になってましたからね、その時。
 そんな理由で帰還が10日も遅れてしまったんですよね……。
 それで、管理局は無断で10日も遅らせたのがとっても気に入らなかったみたいで、みんな相当怒ってました。
 ……ここに帰ってきたとき、管理局の人に殴られちゃいました……。服の襟を捕まれて、そのまま地面や壁に叩き付けられて……
 でも、その時ミヤタカ博士が助けてくれたんですよね。
 お年……といっても65くらいですが、私のこと殴った人に飛びかかって、……目の前で、アッという間にやっつけちゃったんですよ。
 それから、管理局と研究所の間で、賠償問題だとか責任の所在なんかで凄くもめちゃって……
 今回は、色々な難癖を付けて、どうにか時空移送装置を使わせて貰えるようになったんですよね。……まさか、子供を見せに行くからなんて言ったら、絶対にダメだったでしょう。
 でも、今回こそは時間を守らないといけませんでした。
 もし1秒でも遅れたら、二度と使わせないなんて言われましたよ。
 これからも、私みたいに過去に行って、子供を授かる事を何回もしなくてはいけないから……。
 でも、その候補がまだ居ないんですよね。
 確かに、見ず知らずの人との子供をもうけるって言うのは、凄く抵抗がありますからねぇ……
 私の場合は、ものすごく恵まれてたんだと思いますよ。
 本当に、相手がタカちゃんで良かったです。そして、タカちゃんを選んだ博士にも、感謝しなくてはいけませんね。
 そういえば……
 どうして博士はタカちゃんを選んだんでしょうか……??
 コンピューターで無作為に選んだとか言ってましたが、タカちゃんのデーターとか、コンピューターに入っていたのかなぁ……
 まぁ、そんなことはどうでも良いですよね。何にしても、タカちゃんに出会えたんだから。
 出会い、かぁ……
 ミヤタカ博士との出会いって言うのも、ある意味運命的でしたねぇ……。
 まだ私が小さかった頃、……その時は、今のように空調だとか、シールドがしっかりしていなかったので、子供はみんな、ガラスで出来た小さなシェルターに入れられていました。
 私はそのシェルターの窓から、いつも外を見ていたんですよ。
 いつも、赤黒い空でした……。
 あの色は、大戦で散った人の血の色だ、と、子守のおばあさんは言ってましたっけ……。
 本当は、地上に残った瓦礫を壊したり、人の亡骸を燃やす煙だったんですけどね。
 近頃は、どうにか青い空が見えるようになりました。……でも、到底タカちゃんの時代の空の色にはかないません。
 で、私が10才くらいの時でしょうか、いつもの通り外の景色を見ていたら、シェルターの中に大人の人が入ってきて、私の名前を呼んだんですよ。
 そして振り向いたら、おじさんが泣いたような顔をして、私のことをじっと見ていました。
 私はなにが何だか良く分かんなかったので、そのおじさんお顔をぼーっと見てたんですよ。
 そしたら、そのおじさんは、急にニヤけたような顔をしたんですよね。……たぶん、微笑みかけたんだとは思いますが、どうやらそう言う顔を作るのには慣れてなかったみたいで、結構怖かったりしたんですよね。
 でも、それよりもそのへんてこな笑顔がおかしくて、ついつい笑ってしまいました。
 そう、そのおじさんって言うのがミヤタカ博士です。
 人の顔を見て笑うなんて、私って失礼な人間ですよね。
 そして、学校を卒業したあと割り当てられたのが、今働いている研究所でした。そこで、博士と再会したんですよ。
 一発でわかりました。あの、変な笑顔のおじさんだって。
 その事をあとで博士に言ったら、『わすれてくれー』なんて、頭を抱えて叫んでましたっけ。
 それが、私と博士の出会いです。……って、こんな事はどうでも良いですよね。
 今は、タカちゃんの事を考えたいです……。
 出会いと言えば、その終わりには必ず別れがあるんですよね。
 ……そう、私とタカちゃんが結ばれたあと、私はタカちゃんの記憶を消して、黙ってここに帰ってきたんですよね……。
 もちろん、タカちゃんの記憶を消すことは、初めから予定されていたことです。
 あの時、タカちゃんは、
 『たとえお前に記憶を消されても、絶対に思い出してやるからな!』
 って言ってましたよね。
 その通り、さっきタカちゃんは思い出してくれました。
 ……私だって、ホントはタカちゃんの記憶なんて、消したくありませんでしたよ……。
 タカちゃんは私を抱いたあと、隣で眠っていました。……とても幸せそうな顔をしていました。
 私は、そんなタカちゃんの顔を見ながら、持ってきていた機械で記憶の操作をしたんですよね……
 もう、悔しいというか、何というか……
 操作が終われば、もうタカちゃんは居ないんだ……私が愛した、そして、私を愛してくれたタカちゃんが……!! そして、目を覚ましたとき、タカちゃんはもう他人なんだ、今までのように、お話すら出来なくなるんだ……
 そう考えたら、涙がポロポロ流れ出て……
 ずっとずっと、私は泣きながら操作してました。
 そして、操作が終わった私は涙も拭かず、すぐにここに帰ってきました。
 あれ以上、タカちゃんの顔は見れなかった……。見ていたら、私は記憶を元に戻してしまったかもしれないから……。
 そして、ここに帰ってきてから1週間くらい、私は部屋でずっと泣いていました。その間、ミヤタカ博士はずっとなぐさめてくれました。
 私って、博士に甘えてばかりかも知れませんね……
 それから約1ヶ月後、身体検査でおめでただってわかったんです。
 その時も、博士はすごく喜んでくれました。
 ……でも、私はタカちゃんに喜んで貰いたかったんですよ。博士にはとてもすまないとは思いましたが、それが私の本心でした。
 そしてそれから9ヶ月後、今から3ヶ月前ですが、この子が生まれたんです。
 とっても元気な男の子です。名前は、もちろんタカユキです。
 正式名称は、Takayuki−00825VHでした。クラスがVHになって、とても安心できました。
 そして病院のベッドで我が子を見ながら、私は考えたんです。
 タカちゃんに逢いに行く……って。
 例えタカちゃんが私のことを判らなくてもいい。とにかくタカちゃんに子供を見せてあげるんだ。そして、子供にもタカちゃんを見せてあげるんだって。
 それに、私のタカちゃんに逢いたいっていう気持ちも、すごく大きかったんですよ。
 だから、ミヤタカ博士にお願いして、今回、こうして再び過去に行くことになったんですよね。
 もちろん、タカちゃんの行動パターンを解析して、いつ何処で確実に会えるかって調べたんですよ。1ヶ月くらいかかったんだっけ。
 タカちゃん、学科を変えたらしく、以前のアパートからではなく自宅から通ってましたよね。
 そして、いろんなデータから電車の中が一番いいだろうって事になり、タカちゃんが使ってる電車の途中の駅から乗ったんですよ。
 ちなみにデーターは、『探査球』というカメラやいろんなセンサーを積んだ小さい機械を過去に送る事によって得られるんですよ。この管理局がもっぱらやっていることですけど。
 そして、電車の中にいるタカちゃんを見つけて、彼の前に座ったんですよね。
 タカちゃんは、私の顔を見るなり、急にソワソワし出したんですよ。
 何かあったんでしょうか……?
 私は、ずっとタカちゃんを見ていたかったんですけど、あんまりジロジロ見ていると変に怪しまれるかも知れないので、ずっと子供の顔を見ていました。
 でも、どうして私はタカちゃんに目の前で、こんな事をしなきゃなんないんだろう、どうしてタカちゃんをずっと見ていられないんだろうって、とっても虚しくなってきて……
 涙がじわっと出て来るのを感じました。私は、必死に笑顔を作ろうとしていました。
 せっかく、ずっとずっと逢いたかったタカちゃんが目の前にいるのに、泣いちゃダメだ!……って。
 そしてその時です。
 急に目の前が眩しくなって、ふと窓を見た時……
 『綺麗な空……ホントにこの時代は羨ましいね……』
 自然に、私はそう呟いていました。
 今まで電車は住宅地みたいな所を走っていたみたいでしたが、急に開けたところに出たんでしょうね。
 窓には、遥か向こう、そう、宇宙まで続いているんじゃないかなって思えるほどのスカイブルー。
 私達は見ることの出来ない、そして、今度こそ取り戻そうとしている本当の青い空……
 タカちゃんと一緒に遊びに行ったときも、この空の下で一緒に生きていたんだって、そんな光景を思い出して私はなんだか胸がいっぱいになりました。
 やっぱり、私はこの時代好きだなって、改めてそう感じたんですよ。
 そして、再びタカちゃんの方に向き直ろうとした時に、
 『シータあああああああっ!!』
 って、タカちゃんが急に叫んだんですよね。
 ビックリしました!
 はじめ、わけが分からず目をパチクリしてしまいましたが、わかったんです。私の名前を呼んでくれたんだって。
 そして、本当に嬉しかったんです……。
 タカちゃんが、私のことを覚えていてくれたんだって……!!
 記憶を消した本人が言うのも何だけど、すっごくすっごく嬉しかったんですよ。
 この子を抱いていたっていうのに、ついつい泣いちゃいました。
 昔のようにお話が出来るなんて、夢にも思っていませんでしたから……。
 そして、いっぱいお話をしました。タカちゃん、以前より何だか活き活きしてましたね。
 今は環境工学のお勉強をしているそうです。そうそう、ミヤタカ博士も本当は環境工学がご専門なんですよ。今は、人材が足りなくて私達の研究所にいるんですけどね。
 そういえば! 私、またミスをしちゃったんですよね。
 前回帰るとき、タカちゃんの部屋にRAキャンセラーを忘れちゃったんですよ。
 あ、ちなみにRAキャンセラーって言うのは、R.A. ACTIVE SHIELD SYSTEMって書いてる札のついた服のことです。
 そういえば、なんであの時タカちゃんRAキャンセラー持っていたんでしょうか……あの時、そんなこと考えもしませんでしたね。
 ただ、懐かしいなーって思っていたんですよ。
 今回、タカちゃんが言ってたマニアックな格好はしてませんよね。
 あの服、以前は時空移送装置が外に設置してあったから仕方なく着てたんですけど、今は室内で使えるようになったので、もう必要が無くなったんですよね。
 以前の装置は移送するときに、周りにすごい爆風を拭き散らかせてましたからねぇ……
 タカちゃん家のジュータンが焦げちゃったのも、それの余波なんですよ。
 今回は、そんなミスはないですよね。そもそも、電車の中でお話ししただけだもん……。
 本当はもう少し一緒にいたかったし、タカちゃんの作ってくれたご飯も食べたかったです。
 今から思えば、もう少し長めに時間申請すれば良かったですね……。
 そうすれば、あんな別れ方しなくて良かったのに……
 電車でお話してるとき、タカちゃんに『また、前みたいにしばらくいられるのか?』って聞かれた時は、ホントにドキッとしたんですよ。
 時間のこと、完全に忘れてたんですよね。それに、タカちゃんとまたお別れなんだってわかって……。
 タカちゃん、何回も私を引き留めようとしてましたよね。
 私だって、時間設定なんて決まって無ければ、もっと長く一緒にいたかったのに……
 でも、今更そんなこと言っても始まりませんよね。
 過ぎ去った時は、もう二度とは戻りません。
 時空移送装置で行く過去は、私の過去じゃないから……。
 別れの間際、タカちゃんは絶対私に会いに来ると言ってました。
 もし、今タカちゃんが生きていれば106歳になっているでしょう。
 ……でも、私は今の世界に106歳みたいな高齢の人は居ない事は、十分知っています。
 だから、タカちゃんは……
 やだ!!
 もう、それ以上考えたくない! タカちゃんは、きっと私に会いに来てくれるんだ!
 だって、タカちゃんは電車の中からずっと私を見ていてくれたもん!
 きっと、会いに行ってやるって言ってたもん……!!
 ………………やだ、また涙が出てきちゃったよ……
 タカちゃんと別れた時のこと、思い出しちゃったよ……。
 あの時、電車なんか降りたくなかった……
 もしこの世界にミヤタカ博士がいなければ、絶対に降りなかった!
 博士がいなければ、ずっとタカちゃんと暮らしていたよ……
 もうヤダよ……涙が止まらないよぉ…………

 「ぅぁ……うっ……タカちゃん…………」

 もう、私はこれ以上過去に行く事は出来ない……
 もう、一生逢えないんだ……
 ……タカちゃんと一緒の時代に生まれたかったよ……
 タカちゃんと一緒に暮らしたかったよぉ!!

 「うぁ……ううっ……くっ……」

 もう、とまんない……今は泣きたいよ……

 [ピーーーー]
 『トランスポット、冷却終了。移送対象物、開放可能です……』

 メッセージが聞こえる。でも、そんなの今はどうでもいいよ……
 もう少し、一人にさせてといてよ……

 [コンコン……ブシュンッ!]

 「おい……なにお前こんな所で泣いてるんだよ? 悲劇のヒロイン気取りか?」
 ……ドアから覗き込んでいるのは、この装置の管理局の人。
 「ほっといて!! 貴方には関係ないでしょう!」
 「何だと! 貴様一体誰のおかげで……」
 管理局の人はなんか言っていましたが、私はそのまま部屋から出ていきました。
 「お帰り、シータ。」
 そういってくれたのは、ミヤタカ博士です。
 「博士……はかせぇっ!!」
 また、博士の前で泣き出してしまいました……
 腕の中で、子供も泣いています。私は母親なのに、もっとしっかりしなくちゃいけないのに……
 「シータ、こんな所で泣いてても仕方ない。……研究所に行こう。」
 「ぐすっ……はい……」
 ボロボロの涙声でどうにか返事をし、私はそのまま博士に連れられて、研究所に向かいました。
 途中、車の中でようやく落ち着き、どうにか涙は止まりました。……でも、また今晩あたり泣いちゃうかもしれないな……
 そんな湿っぽい雰囲気を消そうとでも思ったのか、
 「そういえば、第3バイオプラントの野菜がどうにか出来たんだ。」
 ミヤタカ博士が嬉しそうにそう言いました。
 「え? プラントの野菜、出来たんですか?……おめでとうございます!」
 私がそういうと、博士は嬉しそうな顔で頭をポリポリ掻いています。笑顔も少しは様になったようで、とても自然なんですよ。
 「いや……いくら野菜が出来たとは言っても、人参とタマネギとキャベツだけだからな……」
 「ずいぶん、庶民的な野菜ばっかりですね。」
 ホントに庶民的……とは言っても、実際食べたことはほとんどありませんけどね。唯一食べたことと言えば、タカちゃん家でごちそうになったくらいです。
 「そういうのがいいだろう? 今さらメロンやスイカより、そういったモンが食いたいのさ。」
 「そうなんですかー。」
 「そういうこと……もうついたぞ。」
 そんなことを言っている内に、研究所に着きました。
 研究所の敷地に入る前に放射性煤塵を完全に洗い流すため、少しの間車から出られないんですよね。
 車の窓から見える空の色は、何だか茶けた薄水色って感じでしょうか……
 タカちゃんと一緒に見た青い空は、いったいいつ戻ってきてくれるんでしょうね……。
 私がぼけーっと空を見ている内に車は洗浄を終えたらしく、駐車場に向かいます。
 そして車から降りた私達は、ミヤタカ博士が作ったバイオプラントに行ってみることにしました。
 「そういえば、作った野菜、どうするんですか?」
 子供を育児室に戻し、バイオプラントへの廊下を歩きながら私は博士に聞きました。すると、博士はニヤッと笑い、
 「食うっ!」
 と一言だけ言いました。
 「食うって……食べちゃって良いんですか?」
 「食うために作ったんだ。それ以外、野菜に何の価値がある?」
 博士は妙なことを言ってます。
 「食う以外に価値って……確かにないような……あ、でも、なんかの研究資料には……」
 「そんなモン、食ったあとでいくらでも書ける。野菜の研究資料なんざ、食って旨いか不味いかさ。……シータは食べたくないか?」
 博士はバイオプラントの入り口に立ち、ドアの取っ手に手をかけながらそう聞いてきました。
 「もちろん食べたいですけど……」
 そりゃ、タカちゃんの所で食べた野菜炒めは、とっても美味しかったし……
 「じゃあ、今夜一緒に食おう!」
 博士はそういいながら、ドアを開け放ちました。
 鋭いライトの光と、野菜から出る緑のにおい……
 そこは、まさに緑のジュータンと言った感じでした。
 まだ、人が緑と共に生きていた時代を感じさせる、ある意味ノスタルジックな風景……
 このライトが、培養液が、そして野菜を支える人口土が、太陽であり綺麗な水であり天然の土であるならば、どれだけ良かったことか……
 昔……タカちゃんの時代に人々は、こうして太陽と水、そして土からご飯を作っていたんだね……
 自然からの恵みを、ちゃんと受け取っていたんだね。
 私達も、いずれはタカちゃん達みたいにご飯を作れるようになるんだよね……
 私は、何だか泣けてきました。
 「シータ、どうして泣く?」
 博士は優しく聞いてきます。
 「だって……こうしてご飯を自分たちで作れるようになったから……なんだかうれしくって……」
 博士はゆっくりうなずき、
 「でも、これからが大変だぞ。野菜の種類はまだまだ多くある。それに、こんなちっぽけなプラントじゃ、みんなで野菜を食うことは出来ない。……シータ、手伝ってくれるか?」
 私の肩に、手をぽんと載せました。
 「私、博士のお手伝いします!……私だって、いっぱい野菜を作りたいし……そしたら、子供達に野菜をいっぱい食べさせて上げられるから……」
 私は自分の気持ちをそのまま言いました。
 「そうだな……じゃあ、今夜は野菜の完成パーティーと称して、一緒に野菜をいっぱい食おう。……メインディッシュは、野菜炒めタカちゃんスペシャルだな。」
 博士はそう言いました。……って?
 今、博士が、何かとっても大切なことを言った気がする……!!
 「あの、博士、今なんて言いました?」
 「なにが?」
 私の問いに、博士は意地悪な顔で聞き返してきました。
 「あの、メインディッシュは……って」
 「……野菜炒め、タカちゃんスペシャルさ。」
 博士は、ハッキリとそう答えました。
 タカちゃんスペシャルって……どうして…………
 ……単なる偶然とは、絶対思えない。
 「博士、どうしてタカちゃんスペシャルって……」
 心臓の鼓動が、ひとりでに速くなっていく……
 「シータには、私の昔の名前を言ってなかったよな。」
 「はぁ……」
 確かに、今まで博士の昔の名前、そう、戦争前までの名前を聞いたことはありませんでした。……でも、ミヤタカって、姓じゃなかったんでしょうか……
 「私の昔の名前は、宮本……宮本 孝行さ……」
 みやもと、たかゆき…………!!
 「博士、じゃあ、私がさっきまで逢ってたタカちゃんとは……」
 「……シータ、絶対に会いに行くって言ったろ?」
 …………!!
 まさか…………
 タカちゃん…………
 「タカちゃんっ!!」
 私は、思いっ切り博士……いや、タカちゃん抱きつきました。
 「シータ、そんなに力を入れたら骨が折れるぞ。」
 「タカちゃん、タカちゃん……!!」
 もう、わけが分かんない!
 涙がどんどんあふれてくる!
 そして大声をあげて、私は泣いてる……
 だって、タカちゃんは逢いに来てくれたんだから……
 ちゃんと約束通り、逢いに来てくれたんだから……!!
 今までのタカちゃんの素振りが、全部理解できたような感じです。
 どことなくよそよそしかったのも、きっと私にバレないようにする為だったんだよね……
 「シータ、今まで黙ってて悪かったよ。……でも、歴史が変わっちゃいけないから、ずっと黙ってたんだ。」
 すまなそうな、タカちゃんの声。
 「もう、なにも言わなくていい……あなたを感じたいよ……」
 そのまま気持ちが落ち着くまで、私はずっとタカちゃんに抱きついたままでした。時々通りかかる研究所の人たちがチラチラ見ていましたが、そんなことはどうでもいい……
 「……シータ、俺はおまえに会いに来ることは出来たが、あの自然を守ることは出来なかったんだよ……」
 私の気持ちが落ち着くのを待ってから、タカちゃんはそう言いました。
 「そもそも、戦争の原因を作ったのも、俺かも知れないんだ……」
 「それは、どういうこと……?」
 タカちゃんの言った意外な言葉に、私は反射的に聞き返していました。
 「……大学を出た後、俺は環境工学の研究所で働いていたんだよ。そして、なんとか環境汚染を防ごうとして、ただがむしゃらに働いたんだ。」
 タカちゃんは、とてもつらい表情で語ってくれます。
 「それでな……若気の至りって言うか、心の余裕がなかったというか……俺は焦燥感に駆られて、ついつい攻撃的な態度に出たことも、たくさんあったんだよ。……そして俺達の研究グループが、旧アメリカの工場に喧嘩を売ったのがことの始まりだった。……一気に国際問題になってな……後はシータ、おまえが昔教えてくれた通りさ……」
 …………。
 私は、何も言えませんでした。
 タカちゃんも、本当に大変だったんだ……
 「シータ、お前から綺麗な空や、うまい飯を奪ったのは、俺なんだよ……。」
 そのままタカちゃんは、涙を流して私をぎゅっと抱きしめました。
 「すまない……」
 そう一言だけ言ったタカちゃんの、私を抱きしめる腕からは、つらさと無念さが、その腕のふるえと共に伝わってくるようでした。
 「タカちゃん……私は、あなたに何を言って上げたらいいのか分かんない……。でも、決してタカちゃんは間違ってないよ。……だって、約束通り、あの綺麗な世界を守ろうとしたんだもん……。もし、タカちゃんが何にもしないでいたのなら、私はそっちの方を軽蔑していたよ。」
 「……しかし、守ろうとして結果がこれだ……俺は、本当にバカだったんだよ……」
 「そんな事言っちゃやだ! ……タカちゃん、これから一緒にいっぱい野菜を作ろうよ。そして、動物も生き返らそうよ! まだ、やり直しは出来るよ!! タカちゃんは、あの綺麗な空を、世界を覚えているんでしょ!?」
 私は、自分でもビックリするくらい、大きな声を出していました。
 でも、これは本当の自分の気持ちです。
 ……タカちゃんには、決してバカだなんて言って欲しくない!
 「ああ、覚えてる。俺はあの日、シータと別れた日に見た景色を、絶対に忘れちゃいない……目を閉じれば、すぐにでも思い出せる。」
 「だったら!……一緒に、あの綺麗な世界を作ろうよ。今度こそ成功するよ! ……私も、一緒にするから……ね!?」
 タカちゃんの手をぎゅっと握りながら、私はそう叫んでいました。
 タカちゃんの手には、しわがいっぱい刻まれています。……本当に、今までの苦労がにじみ出ているかのようです。……でも、昔と同じ、とっても温かい手です。
 「そうだな……今度はシータがいるんだもんな……もう、失敗なんかしない。俺は、あの綺麗な世界に戻してやる。……それが、俺の存在理由だからな。」
 「そうだよ。明日から、二人で一緒に頑張ろうよ。……もう、絶対に別れたくないよ、タカちゃん……」
 「ああ、そうだな……でも、俺達の息子も一緒だぞ!?」
 「うん!」

 ……それから、私達は正式に結婚して、家族3人幸せに暮らしています。
 タカちゃんは結婚する前64歳って言い張っていましたが、よくよく考えてみれば、戦争直後からコールドスリープしてたんですよね。
 それで、2073年に目を覚ましたんだそうですよ。43年寝ていたんですね。
 ……戸籍上では106歳ですが、まだまだ現役だとか言って、かなり元気です。
 子供も父親同様、元気です。……若干元気すぎて、よくケンカしたりイタズラして怒られてますが……
 まぁ、父親があれですから、何とも言えませんねぇ……。

 今は、ヒトの遺伝子操作研究は停止してしまいました。
 予想以上に成果を上げられないのと、補完計画の方が順調に進んでいるからです。
 でも、そんなことで挫けてるヒマはありません。
 私達の研究所では、今必死に野菜の生産をしています。プラントも拡張され、結構気軽にお野菜が食べられるようになったんですよ。
 ある人は、研究所じゃなくまるでノウキョウみたいだだとか言ってますが、ノウキョウって何なんでしょうか?? 今度、辞典で調べてみますね。
 そういえば、最近タカちゃんがブタの培養に成功しました。培養と言っても、昔のブタの亡骸から抽出したDNAを培養したんですから、クローン体と言ってもいいんですけどね。タカちゃん、今度はウシだって言ってましたっけ。
 最近は、地上に設置されたバイオ空気清浄機のおかげで、だいぶ空の色が綺麗になってきました。放射能が完全に消えるのも、時間の問題です。
 人々の間にも、活気が出てきたような感じがします。やはり、人は自然と共存しなくては、その力を生かせないんでしょうね。
 食卓に野菜が添えられるようになっただけでも、心にゆとりが出来るんだから……

 そして、今度こそは成功させるの。……環境を守ることを。
 もう、二度と同じ過ちは繰り返さない。人々は、その辛さを知っているから。
 そしていつの日か、私達の子供達は駆け回るの。
 何処までも透き通る青い空を見ながら、明るい太陽の日差しを浴びて……
 綺麗な空気をいっぱい吸い込んで、緑の草原を何処までも……

 放射能も、排気ガスもない、本当に綺麗な世界を……。

 終わり

★あとがき

 えー、読んで下さって、ありがとうございますぅ。
 何じゃこのお約束なつまらん展開わー、なんて仰る方々がいっぱいいそうですが、すみませんすみませんすみません!
 所詮国語の教育をまともに受けてない生粋の理系野郎には、この程度が限界なんですよー。
 それにしても、シータの尊敬する博士は、何とタカユキだったぁ!…とか、何ともくせぇ話ですね。
 書いてる本人自体、こんな事お約束過ぎてつまらんなーとか思ってたりするんですけど、これ以上良いエンディングが思いつきませんで。
 俺ならこーいう終わるにするぜっ!…と、ご意見をお持ちの方は、是非ともその熱い思いをメールにてお聞かせください。
 お便りお待ちしてます。