参観日 |
4年2組 5時間目 参観日 親が、子の授業を見に来る日。 親がちゃんと勉強しているこの姿を見に来る日。 その日の楽しみにしている親もいる。 その逆も然り。 目立ちたがり、元気すぎる奴・・・それ以外でも皆、今日の授業では張り切る。 子にとって、親にほめてもらえるチャンスでもあるからだ。 「はい!」「はい!はい!!」「はいは〜い!」 「・・・では、○◎君!!」 「ハイ!!わかりません!!」 ま、時にはこういう奴もいるわけで・・・・ ちなみに俺の親も来ている。今朝、母さんはくると言っていた。 振り向くなんて恥ずかしい事はしない。でも少し気になる。 「おい、アキラ。お前のかーちゃんきてるか?」 隣の席の奴が聞いてきた。 「来てるよ。」 俺たちを溺愛に近いくらい優しくしてくれる母さんが言ったことを守らないワケがない。 「どれだよ。お前のかーちゃん」 しつこく聞いてくる。仕方がなく、俺は後を向いて教えてやろうとした。 が・・・・ 振り向いて・・・固まってしまった。 「と・・・・父さん・・・・」 いつも通り化粧をしなくても綺麗な母さんのとなりには、いつも忙しそうにしている父さんがいた。 腕を組んで、こちらを睨むくらい見ている。穴が開きそうだ・・・・ 「は〜い!ではこれはわかるかな〜?」 先生の陽気な声が教室にひびく。 そして待っていたかのように、はち切れんばかりの大声と、誰よりもたかくと手が上がる。 「はい!はいはい!!」 前の方で何か聞き覚えのある声がしてとっさに前を向いた。 「あ・・・咢・・・・」 なんと前の席に座っているのは、トラブルメーカー咢だった。 しかも、耳を塞ぎたくなるような大声と、立った上にジャンプまでして高く手を挙げている。 無邪気に手を挙げているが、この問題は小4レベルのさらに少し難しい方。 ただ状況を楽しんでいるのだろう。 俺は頭を抱えた。 そう言えば1年生は今日は4時間目終了後、給食を食べて下校だった。 たぶん母さんが(もしくは父さん)がつれてきたのだろう。 そっと振り向くと母さんは吃驚したように咢を見ていた。 父さんは満足そうに口の端をあげている。 たぶん、咢が小4の内容が理解できていると勘違いしている。そうに違いない。 頼むから笑ってないでどうにかしてくれ・・・鰐島家大黒柱・・・・あんたは事の重大性に気づいてない。 そして、吃驚した顔を一瞬作ったモノのいつもの幸せそうな微笑みにもどして俺らを見ているんじゃない・・・・保護者・・・・ どうやら親の救援は望めないらしい。 先生も気付よ。っとちょっと胡散臭そうな目をして教師を睨んだが、先生も親の多さに怖じ気づいて少し緊張気味である。 たぶん気づいてない。 結局俺がどうにかするしか無いのか!? とにかく俺は飛んだり跳ねたりしている咢の服を引っ張った。 「お前、此処で何してる!?」 咢は怪訝な顔をして振り向いた。 「あぁ!?とーさんとかーさんの所にいるの暇だし、いいじゃん」 良くない。全くこれっぽっちも良くない。 「お前な・・・俺らの授業の邪魔しちゃダメだろ?」 一応言ってみる。たぶん此奴には理解できないだろう。 「Fuck☆バカアキラ!!」 何故俺が罵られないといけないのか理解が及ばない。 「今日は授業じゃなくて、サンカンだろ!サ・ン・カ・ン!」 もしかして此奴は参観の意味が判ってないのではないかと思った。 っと言うより確信した。 「おまえな・・・今日は俺たちが授業やってるところを親が見に来る日なの!普通に授業するの!」 少し怒り口調で言った。時にはこれで泣き出すときがある。 ここで泣かれたらまずいと思ったが、泣いてくれれば母さんが連れだしてくれるだろう。 「[俺たち]なら俺も一緒だろ!!」 予想を遙かに超えた答えが返ってきた。 咢はそう言うとまたジャンピングしながらハイハイ言っている。 ちなみに、もうすでに聞かれた問題に誰かが答えた後だった。 視線が一気にこちらに集まる。 何故か俺も視線がいたい。 授業が終わるまで後30分。まだ半分も過ぎていない・・・・ 神様仏様、校長先生担任、総理大臣文部化学大臣・・・・ 誰でもいいから早く此の参観を終わらせて・・・・・ |
あとがき |
アキラさんは此の家族の中で一番のつっこみです。 苦労性なアキラさん。頑張ってください。 応援してます。幸薄の君に乾杯♪(おい |