帽子と少女と







あるところにおばあちゃんが大好きな一人の女の子がいました。
女の子はお話をするのが大好きでした。友達やお母さんと森の動物や鳥達。
そして何より大好きなおばあちゃんと2人でお話するのがとても好きだったのです。

おばあちゃんはいろいろなお話を話してくれました、空を飛ぶ少年のお話、幸せな子猫のお話、不思議な左手を持った少年のお話し。 そしてその中にある虫のお話があったのです。
その虫は、いろんな生き物に住み着いてはその生き物が聞くすべてのことを悪い言葉に代えてしまうという 恐ろしい虫でした。
女の子は怖がりました、でもおばあちゃんは女の子は優しく抱きしめて、大丈夫その虫は火が大の苦手。 だからその虫を燃やしてしまえば大丈夫なんだよ。と教えてくれました。


でもそんないろいろなお話を教えてくれていた大好きなおばあちゃんが、ある日突然死んでしまったのです。 女の子はすごくすごく悲しくて毎日涙が止まりませんでした。
そんな女の子に女の子のお母さんは、おばあちゃんのずっとしまっていたとても綺麗な帽子をあげました。
その帽子はおばあちゃんがまだ少女だったとき大好きな人からもらってずっとかぶっていた、とてもとても大切で、 女の子が欲しくてもずっとおばあちゃんが、悲しそうにコレだけはあげられないんだよと言っていた帽子だったのです。

女の子は嬉しくて嬉しくて、ずっと一日中その帽子を眺めたりかぶったりしていたのです。
そしてその日の夜、女の子の夢におばあちゃんが出てきてくれたのです。しかしおばあちゃんは 女の子の持っている帽子を燃やしなさいというのです。
女の子は何でか分からなくて怒りました。でもおばあちゃんは悲しそうに燃やしなさいというのです。

「おばあちゃんだってとても大切にしていたのに、どうして?どうして私がもらっちゃ駄目なの?おばあちゃんは私のことなんて嫌いなの?」

女のお子はおばあちゃんは本当は自分のことなんて嫌いなんだ、きっとおばあちゃんが意地悪でそんなことを言ってるんだ。 そう思うと凄く悲しくなってしまいました。そしておばあちゃんなんて大っ嫌いだ!と思ってしまったのです。




次の日女の子はどうしても起きる気になれず、ずっと部屋の中に閉じこもっていました。
するとお母さんがやってきてドアの向こうで話しかけています。女の子がドアの近くまで言ってその話を 聞こうとすると、

「お前なんか大っ嫌いだ、どっかいってしまえ!」

とそんな風に聞こえてきたのです。
女の子はびっくりして思わず「どっかいって!」と叫び、かぶっていた帽子で耳をふさぎベット中にもぐりこみました。
部屋の外でお母さんが叫んでるのが聞こえます、でもどれも女の子には恐ろしくてますます耳をふさぎ布団に 包まりました。

それからしばらくして仲の良かった友達が、窓からは動物達や鳥達がたずねてきたのですが、やっぱりみんなも

「お前なんか大嫌いだ、どっかにいってしまえ」というのです。

女の子はますます悲しくなって部屋に閉じこもるようになりました。
そして来る人、来る人が「お前なんか大嫌いだ、どっかにいってしまえ」というので、女の子も皆にひどい言葉を ぶつけるようになってしまったのです。

そんなことがずっと続くと女の子のところには誰も来なくなってしまいました。






ある日女の子は夢を見ました。

それは昔まだおばあちゃんが生きていたとき聞かせてくれた虫のお話、聞こえるすべてのことを 悪い言葉に変えてしまうと言う恐ろしい虫のお話の夢。

目が覚めると女の子はその虫のお話について、そしておばあちゃんが何故その帽子を燃やしなさいと いっていたのかを考えました。
女の子はずっとかぶっていた帽子をとり、ゆっくりと部屋から出てお母さんのところに行きました。 お母さんはおどろいて女の子の元へ走りよってきて話しかけました。

「お前なんてどこかにいってしまえばいい」

やっぱりまだ聞こえる声、女の子は逃げ出したくなりました。でもぐっと手のひらを握って もう一度お母さんの声を聞こうとしました。
そうするといつも聞こえてくる言葉と一緒にまた別の言葉が聞こえてきました。

「お前なんか嫌いだ(一体何があったの?)、どこかにいってしまえ(どこかわるいの?)」

はっとして女の子はもっとよくその声を聞こうとしました。
するとどんどんもう一つの声が良く聞こえてくるのです。

「何かつらいことでもあったの?大丈夫なの?」

女の子は涙が止まりませんでした。本当の声が聞こえるのが嬉しかったのです。

それから女の子が帽子を良く見ると、帽子に小さな小さな穴があいていました、 それは虫食いの穴のようにも見えます。
女の子は、あの恐ろしい虫の話を思い浮かべました。そして一つの考えに行き着きついたのです。
それはその帽子があの恐ろしい虫に食われたのではないかということです。
そう思ったとき何故あんなにもおばあちゃんが帽子を燃やせといったのかが分かった気がしました。

女の子は急いで森へ行き帽子を燃やそうとしました。
でもそのおばあちゃんの帽子を燃やすことなんて女の子には出来ません。 その帽子を燃やしてしまったらおばあちゃんとのつながりがいっしょに燃えてしまうような気がしてしまうからです。 そしてなによりおばあちゃんがあんなにも大事にしていた帽子を燃やしてしまうなんて。

女の子は帽子を抱きしめてしゃがみこみました。そんな女の子のところに不安そうに動物たちが寄ってきました。
そんな時女の子の耳に大好きなおばあちゃんの声が聞こえてきたのです。

「大丈夫だよ、おばあちゃんはこれからもちゃんとそばにいるから。 だからおばあちゃんが出来なかったことをしておくれ」

おばあちゃんの優しい声に、そして森のみんなに励まされて女の子は立ち上がり、帽子を燃やしたのでした。


それからは女の子の耳にそんなひどい言葉が入ってくることはなくなり、 女の子も皆にひどい言葉をかけることもなく、毎日楽しくお話をしてすごすようになったでした。






おしまい。










以上深海がある授業で作った子供向けのお話でした・・・
もったいないのでなんとなくUP
とはいえ・・・やっぱりお話作るの難しいよ~~
しかもアレですよ?!発表するのであと3日しかないのに作れって!どこの鬼じゃ!!
そしてリテイクの嵐・・・ほんとしんどかった・・・はあ
まあそのおばあちゃんのお話にそこはかとなく、エアギアっぽいのやらDグレっぽいのやら深海のオリジナル っぽいものがあるとか言うのは突っ込み無しでv(おいこらまて




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