文について
ビジネス文書は、素早く読みとれるものでなければならない【参考→ビジネス文書の要件】。そのためには、文の表現にも様々な工夫や注意が必要になる。
文と事柄の対応
ビジネス文書では、できるだけひとつの文がひとつの事柄に対応するようにする。
たとえば、「〜で、」「〜り、」などでつながれた2つ以上の文は、ひとつの文がひとつの事柄に対応するように分割するとよい。
例1
×札幌は、北海道西部にある政令指定都市で、路面電車が走り、時計台の鐘が鳴る美しい都市である。
1つの文に2つの事柄:文[政令指定都市であること・美しい都市であること]
→札幌は、北海道西部にある政令指定都市である。路面電車が走り、時計台の鐘が鳴る美しい都市である。
2つの文にわける:文1[政令指定都市であること]文2[美しい都市であること]
例2
×育達システム株式会社は世界でも有数のコンピュータソフトウェア製品の販売会社であり、2006年度の売上高は、新製品の爆発的なヒットにより800億ドルに達した。
1つの文に2つの事柄:文[大きな会社であること・売り上げが大きいこと]
→育達システム株式会社は世界でも有数のコンピュータソフトウェア製品の販売会社である。2006年度の売上高は、新製品の爆発的なヒットにより800億ドルに達した。
2つの文にわける:文1[大きな会社であること]文2[売り上げが大きいこと]
例3
×印字が薄くなった場合には、トナーの交換が必要ですが、機種とトナーとの対応は、以下の表に示す通りです。
1つの文に2つの事柄:文[トナーの交換・トナーの対応表]
→印字が薄くなった場合には、トナーの交換が必要です。機種とトナーとの対応は、以下の表に示す通りです。
2つの文にわける:文1[トナーの交換]文2[トナーの対応表]
曖昧な文を避ける
ビジネス文書では、曖昧な文を避け、ひとつの解釈しかない文を目指さなければならない。
- ×これはきれいな男の子の服です。
- → これは男の子が着るきれいな服です。
/ これはきれいな、男の子の服です。
/ これは男の子の、きれいな服です。
- → これはきれいな男の子が着る服です。
- ×山口係長から午後4時に来客があったとの連絡を受けた。
- → 山口係長から、「午後4時に来客があった」との連絡を受けた。
- → 午後4時に、山口係長から「来客があった」との連絡を受けた。
- ×該当者には、辞書またはテキストとドリルを与える。
- → 該当者には、辞書を与える。または、テキストとドリルを与える。
- → 該当者には、辞書とドリルを与える。または、テキストとドリルを与える。
語句の受け係りを整える
語句の受け係りが整っていないと、理解しづらい文になってしまう。
- × 本製品の特徴は、自動で人物の位置と距離を認識する。
- → 本製品の特徴は、自動で人物の位置と距離を認識することだ。
- × 育達大学は、経営学部と言語学部の2学部である。
- → 育達大学は、経営学部と言語学部の2学部から成る。