何かを謝罪する表現
「ごめんなさい。」や「すみません。」などは、謝罪する表現である。
「すみません。」や「ごめんなさい。」は、「どうも〜」や「本当に〜」のように言うことも多い。
- このあいだ貸した資料、そろそろ返してほしいんだけど。
- あ、そうですね。すっかり忘れてました。すみません。
- まあ、そんなに急がなくてもいいんだけど。
- わかりました。すぐに返します。どうも、すみません。
- ごめんなさい。さっきは少し言い過ぎたみたいで。
- いや、全然気にしてないから。
- そう?本当に、ごめんなさい。
- ううん、いいよ。別に。
- 謝罪
- すっかり〜
- 言い過ぎる
- 全然〜ない
- 気にする /↔ 気にしない
「すみません。」は「すいません。」と発音されることもある。どちらも意味は同じ。
- いろいろと迷惑をかけて、どうもすみません。
- いろいろと迷惑をかけて、どうもすいません。
「すみませんでした。」は、「すみません。」とほとんど同じ意味で使われる。
- 課長:ええと、頼んでおいた書類、書いてくれた?
- 部下:いや、それが……。
- 課長:まだなの?
- 部下:すみません。別の仕事をしていたもので。
- 課長:うーん。じゃあ、できるだけ早く頼むよ。
- 部下:わかりました。すみませんでした。
「ごめんなさいでした。」という言い方がされることもある。ただし、おかしな表現だと感じる人も多いので気をつけること。
「ごめんなさいでした。」は、俗語として使われることが多い。
- 冷蔵庫のビールを勝手に飲んじゃってごめんなさいでした。
- お騒がせしちゃってごめんなさいでした
- 俗語
- 勝手に〜する
- お騒がせする[※「騒がせる」のていねいな言い方]
謝罪をする場合には、同時に頭を下げるのがふつうである。
『工事中です。すみません。』
いろいろな『すみません。』
「すみません。」は、謝罪だけでなく、お礼をするとき、話しかけるときなどにも使われる。
- あの、すみません。《→話しかける「すみません」》
- はい。何ですか?
- すみませんけど、ちょっと道を聞きたいんですが。《→人に頼むときの「すみません」》
- あ、僕/わたし、ここの人じゃないんで。
- あ、すみません。《→あやまる「すみません」》
- ええと、さっき、あそこの裏に交番がありましたけど。
- あ、すみません。そこで聞いてみます。《→お礼の「すみません」》
「すみません。」には、「ごめんさい。」と言える場合と「ごめんなさい。」とは言えない場合とがある。
- あの、すみません(⇒ × ごめんなさい)。《→話しかける「すみません」》
- はい。何ですか?
- すみません(⇒ × ごめんなさい)けど、ちょっと道を聞きたいんですが。《→人に頼むときの「すみません」》
- あ、僕/わたし、ここの人じゃないんで。
- あ、すみません(⇒ ○ ごめんなさい)。《→あやまる「すみません」》
- ええと、さっき、あそこの裏に交番がありましたけど。
- あ、すみません(⇒ × ごめんなさい)。そこで聞いてみます。《→お礼の「すみません」》
- お礼をする
- 話しかける
- ここの人
[※周辺に住んでいる人、地元の人という意味]
- 交番
「すみません」と「ごめんなさい」
| 『すみません』 | 『ごめんなさい』 |
《話しかける》 | ○ つかえる | × ふつうはつかえない |
《ものを頼む》 | ○ つかえる | △ まちがいではないがつかいにくい |
《謝罪する》 | ○ つかえる | ○ つかえる |
《お礼をいう》 | ○ つかえる | × つかえない |
人に頼むときには、「ごめんなさい。」と言っても間違いではないが、「すみません。」という方がふつう。
- ○ すみません。駅に行く道を教えてもらえませんか?
- △ ごめんなさい。駅に行く道を教えてもらえませんか?
なお、「すみません。」には「が」「けど」などがつくが、「ごめんなさい。」にはつかない。
- ○ すみませんが、駅に行く道を教えてもらえませんか?
- ○ すみませんけど、駅に行く道を教えてもらえませんか?
- × ごめんなさいけど、駅に行く道を教えてもらえませんか?
- × ごめんなさいですけど、駅に行く道を教えてもらえませんか?
- × ごめんなさいですが、駅に行く道を教えてもらえませんか?
「すみません。」と「ごめなさい。」
友だちなど、親しい相手には「すみません。」は使わずに「ごめんなさい。」と言うのがふつう。
- 親しい相手に謝る
- 『ごめんなさい。』
- 親しくない相手に謝る
- 『すみません。』 『ごめんなさい。』
[※「ごめんなさい。」は子供っぽく聞こえる場合があるので注意すること]
ていねいな謝罪の表現
「申し訳ない。」は、ていねいな謝罪の表現である。
- みんなに迷惑をかけて申し訳ない。
- 約束に遅れて大変申し訳ない。
「申し訳ない」は、《い形容詞(形容詞)》なので、「申し訳なく思う。」や「申し訳ない気持ち」のように言うこともある。
- 皆様にご心配をおかけして、本当に申し訳なく思っています。
- この度の不祥事については、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
- 申し訳ない[※い形容詞]
- 迷惑をかける
- 皆様[※「皆」「皆さん」のていねいな言い方]
- この度
- 不祥事
なお、友だち同士などの親しい間柄では「申し訳ない。」はほとんど使われない。
- 親しい相手にていねいに謝る
- 『すみません。』
- 親しくない相手にていねいに謝る
- 『申し訳ない。』
「申し訳ないです。」、「申し訳なかったです。」、「申し訳ありません。」、「申し訳ありませんでした。」、「申し訳ございません。」などの形もよく用いられる。
- お手間をとらせて、本当に申し訳ないです。
- この前は、応援に行けなくて申し訳なかったです。
- 連絡が遅れて、申し訳ありません。
- こちらの手違いでした。申し訳ありませんでした。
- 申し訳ございません。広告の品は、本日売り切れてしまいました。
ただ、日本人の中には「申し訳ありません。」や「申し訳ございません。」がおかしな表現だと感じる人もいる(特に、年配の人)。「申し訳ないことです。」や「申し訳ないことでございます。」というのが規範的なので覚えておくといいかもしれない。
- 手間を取らせる
- 手違い
- 広告の品
- 本日
- 売り切れる[※動詞]/売り切れ[※名詞]
- 年配の人
- 規範的
軽い謝罪の表現
「ごめん(ね)。」「ごめんごめん。」や「悪い(ね)。」「悪い悪い。」などは、軽い謝罪の表現である。
主に、友だち同士の場合などに使われる。
- みんなで竹北にパスタ食べに行くんだけど、いっしょに行かない?
- ちょっと、まだ仕事が済んでないから。ごめんね。
- そうなの。じゃあ、仕方ないね。
- ごめんね。いっしょに行けなくて。
- あ、悪い、待った?
- まあ、ちょっとだけね。
- 悪い悪い。寝坊しちゃって。
- 昨日、また飲んでたの?
- いや、ちょっとだけ。
- 本当にちょっとだけ?
- そう。ちょっとだけ。
- 本当?どう見ても二日酔いなんだけど。
- ごめんなさい。ちょっとだけ飲み過ぎました。
- パスタ [外来語:イタリア語]pasta
- 〜が済む
- 寝坊(する)
- どう見ても〜だ
- 飲み過ぎる
相手が親しくない人の場合は、軽い謝罪でも「ごめんなさい。」「すみません。」を使う。
[▽電車の中で足を踏んだとき]
- あっ、痛い!
- あ、すみません。大丈夫ですか?
- ええ、まあ。
- どうも、すみません。
[▽電車の中で足を踏んだとき]
- あ、痛い!
- ごめんなさい。大丈夫ですか?
- ええ、まあ。
- 痛かったでしょう。ごめんなさい。
- いや、大丈夫です。
謝罪の表現の使い分け
表現のていねいさ | 謝罪の強さ | 親しい人(ともだちなど) | 親しくない人(目上の人など) |
ていねい | 強い | (すみません) | 申し訳ない |
ふつう | ふつう | ごめんなさい | すみません |
くだけた | 弱い | ごめんね 悪いね | (すみません ごめんなさい) |
軽い謝罪の表現のいろいろ
軽い謝罪の表現に「すまない。」「すまん。」「すまんすまん。」という言い方があるが、女性や若い人はあまり使わない言い方である。
- いろいろ苦労をかけて、本当にすまないね。
- 君には実にすまないことをしたと思っている。
- すまんが、少しばかり静かにしてくれるかね。
- 渋滞で遅れてしまったよ。すまんすまん。
- 苦労をかける
- 少しばかり[※古い感じがする言い方]
- 渋滞
軽い謝罪の表現には、他に、「すんません。」「すまぬ。」「ごめんです。」「ごめんでした。」「ゆるしてー。」「おゆるしをー。」「ごめんちゃい。」「ごめんよ(ー)。」などがある。
友だち同士のくだけた会話でだけ使われる。