参考文献の書式
参考文献リストには、一定の書式がある。
ただし、参考文献の書式は、言語や専門分野によって違いがある。ここでは、文系論文での書式を紹介する。
以下に、参考文献書き方の具体例を示しておく。
書籍の場合の書き方
書籍の場合の一般的な書き方
- 泉井久之助(1981)『言語の構造』 紀伊国屋書店.
- 著者名・発行年・タイトル・出版社を書く
- 著者名はフルネームを姓-名の順で書く。姓と名の間を空ける必要はない。著者名では「泉井久之助著」のように「著」はつけない
- 発行年は、西暦で書いてカッコでくくる【→西暦・和暦・民国暦対照表】。月日は書かない【→発行年の見方】。発行年が複数年にわたるときは「(2000-2004)」のようにする
- 書籍名は二重カギカッコ(『』)でくくる
- 出版社は、奥付に「発行所」や「出版社」として記されているものを書く(「株式会社」などの部分は省略してよい。「株式会社筑摩書房」ではなく「筑摩書房」でよい)
- 出版社の所在地(地名)を書く必要はない(たとえば、「東京:紀伊国屋書店」ではなく「紀伊国屋書店」とする)
- 末尾に「.」(ピリオド)をおく
↑奥付の例(縦書き)
↑奥付の例(横書き)
副題がある場合の書き方
- 杉尾敏明・棚橋三代子(1992)『焼かれた「ちびくろサンボ」—人種差別と表現・教育の自由』青木書店.
- 久保正敏(1996)『マルチメディア時代の起点:イメージから見るメディア』日本放送出版協会.
- 赤間信幸(2006)『Microsoft Visual Studio 2005 によるWebアプリケーション構築技法—ASP.NET 2.0上での参照系・更新系アプリケーションの設計』日経BPソフトプレス.
- 佐久嶋ひろみ(2004)『SEO・アフィリエイト・RSS・ワンクリックアンケート・XOOPSで集客力・収益力・リピート力がアップするウェブサイトを創る:ウェブサイトが生まれ変わる注目のテクニックを紹介』メディア・テック出版.
- 副題(サブタイトル)がある場合は、タイトルに続けて書いた方がよい
- 題名(タイトル)と副題(サブタイトル)は「—」(ダッシュ)か「:」(コロン)で区切るようにするコンピュータの場合は、2バイトのスペースで区切ってもよい
- 2行以上になる場合、2行目以降は2文字程度下げて書く
シリーズ名などの書き方
- 村上征勝(2002)『文化を計る:文化計量学序説』(データの科学5)朝倉書店.
- 阿辻哲次(1994)『漢字の字源』(講談社現代新書1193) 講談社.
- 北杜夫(1976)『どくとるマンボウ航海記』(北杜夫全集11)新潮社.
- シリーズ名などはタイトルの後ろに書く
- 「○○文庫」や「○○新書」などの情報を記すときはタイトルの後に書く。なお、これらの情報は省略してもよい
- 全集などの巻数もタイトルの後ろに書く。なお、巻数などを書くときには、漢数字(一、二、三...)ではなくアラビア数字(1、2、3...)を使う
共著の場合の書き方
- 立花隆・利根川進(1993)『精神と物質』 文藝春秋.
- 共著(著者が二人以上)の場合は、著者名を「・」(ナカグロ)でつないで書く
- 著者名の順番は書籍に書かれている通りの順番にする
- 石原千秋・木股知史・小森陽一・島村輝・高橋修・高橋世織(1992)『読むための理論』世織書房.
- 石原千秋ほか(1992)『読むための理論』世織書房.
- 共著で著者が多い場合は、第一著者(先頭の著者名)だけを挙げて「〜ほか」と書いてもよい
- 「石原千秋・他」、「石原千秋(他)」、「石原千秋[他]」のように書いてもよい
翻訳書の場合の書き方
- キャンベル, ジョーゼフ(1997)『ジョーゼフ・キャンベルが言うには、愛ある結婚は冒険である。—ジョーゼフ・キャンベル対話集』馬場悠子訳, 築地書館.
- ガイヤー, ホルスト(1973)『馬鹿について』(満田久敏・泰井俊三訳) 創元社.
- ガイヤー, ホルスト(1973)『馬鹿について』(満田久敏ほか訳) 創元社.
- 翻訳書の場合も、著者名は姓名の順番で書く(「ジョーゼフ・キャンベル」でなく「キャンベル, ジョーゼフ」とする)
- 翻訳書の場合は訳者名も書くようにする。訳者名はカッコでくくるか、コンマ(,)で区切る
- 共訳(訳者が二人以上)の場合、訳者名の順番は書籍に書かれている通りの順番にする
- 共著と同じように、「〜ほか訳」や「〜・他訳」のように書いてもよい
編書の場合の書き方
- 大野晋編(2002)『対談 日本語を考える』中央公論新社.
- 木坂基先生退官記念論文集編集委員会編(1999)『日本語表現法論攷』溪水社.
- 江上波夫・大野晋編(1973)『古代日本語の謎』毎日新聞社.
- 日本経済新聞社・日経産業消費研究所編(2003)『知的財産戦略と地域再生—21世紀の知能都市をめざして—』日本経済新聞社.
- 江上波夫・ほか編(1973)『古代日本語の謎』毎日新聞社.
- 森地茂・篠原修編著(2003)『都市の未来—21世紀型都市の条件—』日本経済新聞社.
- 佐藤理史(1997)『アナロジーによる機械翻訳』(認知科学モノグラフ4)日本認知科学会編, 共立出版.
- シービオク,T.A.(1985)『自然と文化の記号論』池上嘉彦編, 勁草書房.
- 二人以上の著者がいても、編者がいる場合は、編者名だけを「〜編」として示せばよい(著者名は不要)
- 編者が個人でない場合も書籍に書かれている通りに書けばよい
- 編者が著者でもある場合は「〜編著」と書く
- 編者が二人以上いる場合は、共著と同じように「・」でつないで書く(「〜ほか編」としてもよい)
- 編者がいても著者が一人の場合には著者名を示し、編者名はタイトルの後ろに書く
監修者などがいる場合の書き方
- 中山泰昌編著(1982)『新聞集成明治編年史』中山八郎監修, 本邦書籍.
- 日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会編著(2006)『救急蘇生法の指針 市民用・解説編』日本救急医療財団心肺蘇生法委員会監修, へるす出版.
- ヤコブソン, ロマーン(1973)『一般言語学』川本茂雄監修, 田村すず子・ほか訳, みすず書房.
- 著者、編者のほかに「監修者」がいる場合は、監修者名をタイトルの後ろに書く
- 区切りを明示するためには「,」(カンマ)を用いる
- 編者が個人でない場合も同じように監修者名を書く
- 翻訳書の場合は、監修者名と訳者名と区別して書く
- 山本常朝(1968)『葉隠』(江戸史料叢書)城島正祥校注, 人物往来社.
- 校注者がいる場合などもタイトルの後ろに書く
- 区切りを明示するためには「,」(カンマ)を用いる
論文の場合の書き方
論文の場合の一般的な書き方
- 久保光志(2000)「芸術における『規範』と『自己表現』—文体概念の歴史に即して—」, 山田忠彰・小田部胤久編『スタイルの詩学:倫理学と美学の交叉』pp.136-159, ナカニシヤ出版.
- 木坂基(1992)「日本語表現法—日本語表現法研究の構想」, 奥田邦男編『日本語教育学』(教職科学講座第25巻)pp.88-102, 福村出版.
- 中村明(1974)「文体の性格をめぐって」,『表現研究』20, p.1-11, 表現学会.
- 河西良治(2002)「多重境界線と意味」,『英語青年』148(3), pp.24-25, 研究社.
- 佐竹秀雄(2002)「変容する『書く暮らし』」,『日本語学』2002年11月号, pp.6-15, 明治書院.
- 著者名・発行年・タイトル・掲載書籍または掲載雑誌・掲載ページ数・出版社または発行者を書く
- 発行年は、西暦で書いてカッコでくくる。月日は書かない【→発行年の見方】
- 論文名はカギカッコ(「」)でくくる
- 書籍名や雑誌名は二重カギカッコ(『』)でくくる
- 論文名と書籍名・雑誌名の間は「,」(カンマ)で区切る
- 書籍の場合は、著者名か編者名をタイトルの前(または後ろ)に書く
- 雑誌の場合は、号数を書く。「第20号」ならば「20」、「第148巻3号」ならば「148(3)」のように書く
- 商用雑誌の場合は「2002年11月号」のように書いてもよい
- 掲載ページ数は「pp.20-56」または「p.8-14」のように書く
- 出版社の所在地(地名)を書く必要はない(たとえば、「東京:紀伊国屋書店」ではなく「紀伊国屋書店」とする)
- 大学や学会が発行した雑誌(非商用誌)の場合は、発行者(大学や学会の名前)を書く
- 末尾に「.」(ピリオド)をおく
翻訳論文の場合の書き方
- フーコー, ミシェル(1990)「作者とは何か?」清水徹・豊崎光一訳,『作者とは何か』(ミシェル・フーコー文学論集1), pp.9-72, 哲学書房.
- バルト, ロラン(1979)「文体とそのイメージ」沢崎浩平訳,『現代思想』7(4), pp.106-113, 青土社.
- 翻訳論文の場合も、著者名は『姓名』の順番で書く(「ミシェル・フーコー」でなく「フーコー, ミシェル」とする)
- 論文名の後ろに翻訳者名を書く
- その他は、一般的な書き方と同じ
新聞記事の場合の書き方
新聞記事の場合の一般的な書き方
- 朝日新聞「社説」1998年12月23日付朝刊, 12A(2).
- 日本経済新聞「外国人活用を人材各社支援」2005年10月19日付朝刊, 14(7).
- 新聞名・記事名(または欄の名前)・年月日・朝刊夕刊などの別、版、面を書く
- 14版の7面ならば「14(7)」と書く
- 記事名はカギカッコ(「」)でくくる
著者名が記されている場合の書き方
- 郡千寿子(2006)「ことばの不思議—語彙多い日本語」,『新潟日報』2006年8月28日付朝刊, 10(18).
- 著者名・発行年・記事名・新聞名・年月日・朝刊夕刊などの別・版、面を書く
- 10版の18面ならば「10(18)」と書く
- 記事名はカギカッコ(「」)でくくる
- 新聞名は二重カギカッコ(『』)でくくる
雑誌記事の場合の書き方
雑誌記事の場合の一般的な書き方
- 武智幸徳(2006)「ないものはつくる」,『週刊サッカーマガジン』2006年9月5日号, p.29, ベースボールマガジン社.
- 著者名・発行年・記事名・雑誌名・号数・出帆社を書く
- 記事名はカギカッコ(「」)でくくる
- 雑誌名は二重カギカッコ(「」)でくくる
- 号数は、月刊誌の場合「2006年9月号」、週刊誌の場合「2006年9月5日号」のように書く
- 1ページだけの記事の場合、ページ数は「p.29」のように書く(「pp.」とはしない)
著者名が記されていない場合の書き方
- 「アルビレックス新潟:決めるべき男、目覚める」,『週刊サッカーマガジン』2006年9月5日号, p.54, ベースボールマガジン社.
- 著者名が記されていない記事は、記事名からはじめる
- その他は、一般的な書き方と同じ
電子文書の場合の書き方
ウェブページの場合の一般的な書き方
- 指宿信(2000)「ネット文献の引用方法について—学術資源としてのネットの可能性—」, <http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/compass-028.html> 2004年5月7日アクセス.
- 馬場肇(2003)「Googleの秘密—PageRank徹底解説」, [online]www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~baba/wais/pagerank.html(参照2004-8-4).
- 著者名・発行年・タイトル・URL・アクセス年月日を書く
- 参照するテキストの最終更新日を発行年とするサイトやページの最終更新日ではない)
- タイトルは、サイト名やページタイトルではなく、テキスト(文章)のタイトルを書く
- タイトルはカギカッコ(「」)でくくる
- URLはアングルブラケット(< >)でくくるか、「[online]」と書いた後に示す
- アクセス年月日は、「2004年5月7日アクセス」や「(参照2004-8-4)」のように書く
参考文献では、ページのタイトルではなくテキストのタイトルを示すようにする。
ウェブページで情報が不足している場合の書き方
- 「今後の社会資本政策に関するインターネット・アンケート調査」, <http://sociosys.mri.co.jp/enquete/031215.html> 2005年5月9日アクセス.
- 内山和也(発行年不明)「日本人の依頼行為における順序構造について」, [online]homepage3.nifty.com/recipe_okiba/nifongo/irai.html(参照2007-1-1).
- "はじめてのウェブログ [weblog for beginners]", <http://kotonoha.main.jp/weblog/> 2006年6月29日アクセス.
- 著者名が不明または匿名の場合はタイトルから書く(発行年は省略してよい。発行年を省略しないときは「著者不明」とする)
- 著者名はわかるが、発行年がわからない場合には、「(発行年不明)」と書く
- テキストのタイトルが不明の場合は、サイト名またはページのタイトルを書く
- サイト名やページのタイトルを書く場合は、ダブルクォーテーション(" ")でくくる
多くのサイトでサイト名は、トップページ(ホームページ)の最も目立つところに示されている。
PDFなどの場合の書き方
- 山下清美・川浦康至・川上善郎(2000)「WEB日記の内容と文体の特徴」(CmCC研究会第3回シンポジウム発表資料), [online]kujira.psy.senshu-u.ac.jp/~Eyamasita/works/CmCC3.pdf(参照2003-1-3).
- 太宰治(2000)「グッド・バイ」<http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/258.ebk> 2002年4月9日アクセス.
- 書籍や論文の場合と同じように書く
- テキストに発行年が記されている場合は、それに従う
- 発行年が記されていない場合は、ファイルの最終修正日を発行年としてよい
- タイトルはカギカッコ(「」)でくくる
- 入手先のURLを書く
辞書の場合の書き方
- 丸山圭三郎編(1985)『ソシュール小事典』 大修館書店.
- 松村明編(1995)『大辞林』第二版, 三省堂.
- 書籍の場合と同じように書く
- 「第二版」などと書かれているときは、タイトルの後ろに書く
参考文献リストの書式
レポートを書くときに参考にしたり引用した文献・資料はすべて参考文献リストに書かなければならない。【→参考文献リスト】
- リストでは著者名のアイウエオ順に並べる
- 書籍や論文などを区別する必要はない(すべての参考文献をアイウエオ順に並べる)
- 著者名のないものは最後にする
- 同じ著者名が続くときは、2回目以降の著者名を省略して「———」と書いてよい
- 同じ著者名の参考文献が複数あるときは、年代順に並べる
- 同じ著者名の参考文献で発行年も同じときは、「1979a」、「1979b」、「1979c」のように区別する(順番は書籍を先にすることが多い)
参考文献リストは、次のように書けばよいだろう。
参考文献
- 赤間信幸(2006)『Microsoft Visual Studio 2005 によるWebアプリケーション構築技法—ASP.NET 2.0上での参照系・更新系アプリケーションの設計』日経BPソフトプレス.
- 石原千秋ほか(1992)『読むための理論』世織書房.
- 泉井久之助(1981)『言語の構造』 紀伊国屋書店.
- 内山和也(発行年不明)「日本人の依頼行為における順序構造について」, [online]homepage3.nifty.com/recipe_okiba/nifongo/irai.html(参照2007-1-1).
- ガイヤー, ホルスト(1973)『馬鹿について』(満田久敏・泰井俊三訳) 創元社.
- キャンベル, ジョーゼフ(1997)『ジョーゼフ・キャンベルが言うには、愛ある結婚は冒険である。—ジョーゼフ・キャンベル対話集』(馬場悠子訳)築地書館.
- シービオク,T.A.(1985)『自然と文化の記号論』池上嘉彦編, 勁草書房.
- 日本経済新聞「外国人活用を人材各社支援」2005年10月19日付朝刊, 14(7).
- 日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会編著(2006)『救急蘇生法の指針 市民用・解説編』日本救急医療財団心肺蘇生法委員会監修, へるす出版.
- バルト, ロラン(1971)「記号学の原理」沢村昂一訳,『零度のエクリチュール』, pp.85-206, みすず書房.
- ———(1979a)『旧修辞学便覧』沢崎浩平訳, みすず書房.
- ———(1979b)「物語の構造分析序説」花輪光訳,『物語の構造分析』pp.1-54, みすず書房.
- ———(1979c)「文体とそのイメージ」沢崎浩平訳,『現代思想』7(4), pp.106-113, 青土社.
- ヤコブソン, ロマーン(1973)『一般言語学』川本茂雄監修, 田村すず子・ほか訳, みすず書房.
- 山本常朝(1968)『葉隠』(江戸史料叢書)城島正祥校注, 人物往来社.
- 「アルビレックス新潟:決めるべき男、目覚める」,『週刊サッカーマガジン』2006年9月5日号, p.54, ベースボールマガジン社.
- 「今後の社会資本政策に関するインターネット・アンケート調査」, <http://sociosys.mri.co.jp/enquete/031215.html> 2005年5月9日アクセス.
- "はじめてのウェブログ [weblog for beginners]", <http://kotonoha.main.jp/weblog/> 2006年6月29日アクセス.
なお、参考文献リストの書式についてさらに詳しいことは【→参考文献リスト】を参照せよ。