テーマをどのように選ぶか
報告では、テーマがあらかじめ与えられていることが多い。他方、小論文では、基本的にテーマを自分で決めなければならない。
テーマ決定の手順
テーマを決めるときには、次のように考えるとよい。
- 大きなテーマを決める
- 小さなテーマに絞る
- 具体的な問題を見つける
テーマは、基本的に、自分自身の興味や関心に従って決めていけばよいものである。ただし、内容が新しいテーマ(特に、アニメやゲームなどのサブカルチャーについて)を選んだときには、参考にできる資料が少ないなどの問題が生じる可能性があるので注意が必要である。
一方、「具体的な問題」には、論文にふさわしいものと、論文にはふさわしくないものとがある。具体的な問題を見つける作業では、自分の考えた問題が論文にふさわしいものかどうかを見極めなければならない。
具体的な問題の発見
ここでは〈具体的な問題を見つける〉際の注意点を述べる。
論文にふさわしくない問題は次のようなものである。
- すでに答えがわかっている
- 「砂糖と塩はどちらが甘いか?」 → 砂糖が甘い
- 「神は存在するか?」 → 存在しない
- 答えがない問題である
- 「人間はどう生きるべきか?」 → 特定の答えがあるとは思えない
- 「なぜ神は存在するか?」 → 問題が間違っている(神は存在しないので、神が存在する理由などない)
- 手掛かりがない問題である
- 「100年後の育達はどうなっているか?」 → 予測不可能である
- 「なぜ『さくら』は『さくら』というのか?」 → 証拠が残っていないので答えが出せない
- 問題のスケールが大きすぎる
- 「どうすれば環境問題は解決するか?」 → 問題が大きすぎ、ひとつの論文で答えを出すのは無理だろう
- 「人生とは何か?」 → 問題が抽象的すぎる
- 問題にする必然性がない
- 「明日の夕食は何にすべきか?」 → 何を食べようが個人の自由だ
- 「なぜ私は王さんが好きか?」 → 問題が個人的すぎる
- 問題にする状況が変化しやすい
- 「誰が首相にふさわしいか?」 → 政治状況が変われば、比較の対象も変わってしまう
- 「なぜ今日は晴れているのか?」 → 「今日」はすぐ「昨日」になってしまう...
〈具体的な問題を見つける〉ときには、自明ではないが答えが出せる問題を考え、大きすぎないものを選ぶようにするとよい。
テーマの選択理由
テーマを決めるときには、『何をテーマにするか』だけでなく、『なぜそのテーマにするのか』も考えなければならない。
そもそも、テーマは、論じる価値のあるものでなければならない。『なぜそのテーマにするのか』については、次の2点からまとめるとわかりやすい。
- テーマへの興味(なぜそのテーマに関心があるのか)
- 理論的な興味・関心(なぜそのテーマに答えを与える必要があるのか)
- 自分自身の経験・体験(何がテーマの決定に影響を与えたのか)
- テーマの重要性(そのテーマを研究することにどのような意義があるのか)