小論文のポイント
小論文では、以下の3点が特に重要である。
- 結論がはっきりと示されているか?
- 自分の考えと他人の考えが区別されているか?
- 書式や形式が整えられているか?
結論がはっきりと示されているか?
論文は、《特定の問題に答えを出すこと》を目指すものである。【参考→論文が目指すもの】
そのため、序論で提示した問題に対する答えが、本論および結論で明確に示されていなければならない。
自分の考えと他人の考えが区別されているか?
論文は、自分独自の主張を書く文章である。【参考→作文と論文の定義】
自分独自の主張を書くためには、まず自分の考えと他人の考えとを明確に区別しなければならない。自分の考えと他人の考えとが区別されていないのならば、どこが自分独自の主張なのか読み手に理解されないであろう。
また、無断で他人の表現や考えを借りるのは、盗用、剽窃である。出典を必ず明示するなど、いかなる場合にも、引用は誠実に行なわれなければならない。【参考→引用の方法】
出典は、直接引用するときだけではなく、要約して引用する場合(そのまま写したわけではないが、文献や資料を参照して書いた場合)にも必ず明記しなければならない。つまり、明らかな常識(だれでも知っていること)やすべてが自分独自のものである考え以外にはすべて出典を示さなければならない。
引用(直接引用)と参照(要約した引用)の出典の示し方
| 引用(直接引用)の場合の書き方 | 参照(要約した引用)の場合の書き方 |
文 |
……。「…………(山田 1999:123)」。……。 ⇒ 文をカギカッコでくくって出典を書く |
……。…………(山田 1999:123)。……。 ⇒ 文の終わりのマル(。)の前に出典を書く。文にカギカッコはつけない |
段落 (1つ) |
山田(1999:123f.)は、地球温暖化の影響について次のように述べている。 ……………、……………、……………。……………、………………。……………、……………、……………、……………。
したがって、地球温暖化に対して…………… ⇒ 引用の前後を1行空ける。引用の部分は2文字分右に下げる。出典は本文中に示すか、引用部分の最後に書く |
……………、……………。……………、………………。……………、……………。……………、………………。……………、……………。……………、………………。 ……………、……………、……………。……………、………………。……………、……………、……………、……………。(山田1999:123f.) ……………、……………。……………、………………。 ⇒ 段落の最後の文の後ろ(マルの後ろ)に出典を書く |
段落 (複数) |
× ⇒ 複数の段落の引用は好ましくない(長すぎる) |
例:山田(1999:123f.)は、地球温暖化の影響を次のように説明している。……………、……………。……………、………………。…… 例:山田(1999:123f.)にしたがえば、地球温暖化の影響は次のようにまとめられる。……………、……………。……………、………………。…… 例:山田(1999:123f.)を参考にして、球温暖化の影響についてまとめてみる。……………、……………。……………、………………。…… ⇒ 文献を参考にした事実を本文に明記する |
書式や形式が整えられているか?
ビジネス・ライティングとアカデミック・ライティングは、文章に関する重要なスキル(技能)であると考えられる。
ビジネス・ライティングとは、一般的なビジネス活動で必要とされる文書の作成(または作成能力)をいうものである。本校でも『日本語商用作文』の授業が行われている。
一方、アカデミック・ライティングとは、報告書や論文などの学術的な文書の作成(または作成能力)をいう。アカデミック・ライティングを学ぶのが、『論文指導』の授業である。
ビジネス・ライティングとアカデミック・ライティングに共通しているのは、どちらでも書式や形式が特に重視されるという点である。「文章はなかみである」という考えもあるが、ビジネス・ライティングやアカデミック・ライティングでは通用しないものである。ビジネス・ライティングやアカデミック・ライティングでは、まず書式や形式を整えることができるか、そのための知識や能力を持っているかどうかが問われるのである。【参考→レポートの体裁】