お店の話                   

                      2022.12.3日更新

<お店の由来>

20106月、タイストア「ラッタナ」はレストラン「ラッタナー」を開店しました。
ラッタナとは水晶玉のことで、ラッタナーは可愛い女性という意味です。ラッタナーから
転じた「ラット」はタイの女性の名前に広く使われていて、店主ニパラットのラットでもあります。
「ラッタナ」は仏教では重い言葉なので、酒類を出す店名に使うことはできず「ラッタナー」になったのです。

店主でコックのニパラット(呼称ホン)はチェンマイ市よりさらに北部のサンカムへーン(チェンマイ県)
の出身で、日本では珍しいチェンマイ料理を得意にしています。

かつてホンが松本市で営業していたレストラン・ホントンは週末に東京から通ってくる人が
いるほどの人気店でした。しばらく離れていましたが、
2009年から趣味として各地のタイフェスティバルに
出店し高い人気を得ました。特に横浜タイフェスティバルでは全国から集まった有名店の中でも一番の行列を作りました。


 「ぜひレストランを」という声に応え、開店となりました。

 
  
<コック・ニパラットのタイ料理>


コック・ニパラット(呼称ホン)はサイウア(ソーセージ)製造を家業とする田舎の家に生まれました。
彼女のタイ料理は、7歳の時から大家族の料理を一人で全部作り磨いた包丁の腕と、師匠のコック・ピッティー師
から学んだ味と、日本での経験から成り立っています。師匠から引き継いだ彼女の考えるタイ料理の真髄とはただ一つ、
「食材の美味しさを生かすこと。」です。そして、タイ料理の味が強いのはタイの暑い風土ためと言います。
つまり彼女の考えによれば、タイの風土の中で作るタイ料理と日本の風土の中で作るタイ料理は味付けが違って当然となります。

当店の料理は伝統的なタイ料理の技法に沿って、手間を惜しまず美味しさを追求しています。料理はほぼすべて手作りです。
実は日本のタイ料理店では業務用食材をそのまま利用することも多く。日本中に似たような料理が溢れていますが、当店は
個性ある「ホンの料理」です。ほとんどの料理は、作り置きでなく注文を受けてから作ります。スープはトリガラや
たくさんの野菜を使ってその日の分だけ丁寧に作りますが、めん類だけでなく炒め物やカレーなどほとんどの料理に使っています。
肉はすべて注文を受けて生から焼きます。手間をかけるだけでなく、野菜を始め、国産の鶏肉・豚肉など、ブランド品ではない
ですが、できるだけ新鮮で質の良い食材を使っています。さらに揚げ物は、基本的に1回の調理で油を交換しますが、おそらく
一流の天ぷら屋さんでもしないホンのこだわりです。

出汁を重視しない東南アジア諸国の中にあってタイは数少ない出汁に手をかける国です。
しかし、トムヤムクンの場合はスープを使わず水から作り、エビの頭を入れないのが一般的です。
タイでの一般的なトムヤムクンは、出汁の味でなくハーブとスパイスの風味を楽しむスープと言えると思います。
これも魅力的ではあるのですが、多くの日本人にとってハーブと酸味が強烈に際立って、受け入れにくい味かも知れません。
なぜかタイ人のニパラットも、そのようなスタイルのトムヤムクンは子供のころから好きでなかったようです。
当店では鶏ガラスープから作り、有頭エビをたっぷり使います。海老のミソの味がしっかり入り、
まろやかで深い味わいになります。タイ現地で食べて口に合わなかった方には、ぜひ一度お試しいただければと思います。

ナムトックは手間がかかるので現地タイでも薄い肉をフライパンで焼いて作るのが主流になっていますが、
当店では塊肉を炭で焼く伝統の作り方に準じて、注文を受けてからオーブンでローストして作ります。
豚脂身の美味しさを味わうにはムーナムトック(豚肩ロースのナムトック)を、牛のたたき肉の美味しさを味わうには
ヌアナムトック(モモ肉のナムトック)がお勧めです。
タイヤイカレーとゲンマスマンは煮込んだ鶏の骨付きもも肉の美味しさを楽しめます。いずれも味は強いですが
彼女の料理の考えに沿った料理です。

食品の物価が全く違う日本でタイと同じ質の料理を作るのはたいへんなことですが、儲けは度外視でも
本物の味を提供したいと思います。さらに日本独自の季節の食材も使って新しい料理を提案していくことで、
タイ料理の魅力をより楽しんでいただきたいですし、何度来ても飽きない店にしたいと考えています。
まだまだコックも修行途中ですが、それだけに料理もどんどん進化していくと思います。

 ニパラットのタイ料理をお楽しみください。




<料理の紹介>


★チェンマイ料理

 

カオソイ

 カレーヌードルです。チェンマイ独特の料理ですが、元々はチェンマイ在住のインドの人が作ったのが発祥です。
コックのお姉さんからペーストを送ってもらって作る本場の味です。濃厚なカレースープと揚げ麺・生めん・漬物の
取り合わせの妙が魅力です。

 

カオヌン(もち米)

 バンコクでは「カオニオ」と言います。チェンマイでは主食。簡単に見えて実は一番難しい料理。秘密の蒸し方で
当店のカオヌンは、いつまでも柔らかく美味しいのが特徴です。カオヌンは特に辛い料理との相性が良いのですが、
どの料理とも合います。

 

サイウア

 チェンマイ名物のソーセージで多彩なハーブの香りと辛さが売りです。コックの実家ではサイウアの製造販売を
家業にしていましたので、コックも子供のころに自然に作り方を覚え、最も得意とする料理です。
 もち米・ビールと合わせてお楽しみください。

 
ムーナムトック

 ローストポークの辛いサラダです。塊のまま焼いた肩ロース肉をスライスして使い、豚肉の美味しさが味わえます。

 

ムーヤン

 国産肩ロース肉を塊のままローストします。醤油味で日本人に親しみのあるバンコク式を出しますが、
希望があればカレー風味の香りが強いチェンマイ式もあります。




カノンチンナムギョウ
 
 辛い汁で食べるソーメンです。モヤシとソーメン、豚軟骨などが入った食感は病みつきになります。
チェンマイの屋台料理の王様で、まかない料理としても一番人気です。
 バンコクでは魚の身やココナツから作った汁で食べるカノンチンナムヤーという屋台料理があり、
これも特別料理として時々用意します。



タイヤイカレー
 
 タイ北部〜ミャンマーのカレーです。日本では入手できないペーストをチェンマイから取り寄せて作る、
タイでは珍しい煮込み式カレーです。スパイシーな香り、ホロホロに煮込んだ骨付き鶏肉の旨味が
魅力です。
 




☆バンコク料理

 

トムヤムクン

 世界3大スープの一つです。出汁に各種ミソとカー(生姜)・タカイ(レモングラス)・バイマックル(オレンジの葉)
で味と香りをつけます。トムヤムクンは店によって様々なスタイルがありますが、当店のトムヤムクンは、
香りの強さと海老のミソ・ココナツミルクを贅沢に使った深い味わいが自慢です。

 

各種野菜炒め

 主に浜松産のタイ野菜を使っています。日本の野菜にはない香りや味わい・歯ごたえがあります。
パックブーン(空芯菜)・パックカナー(カイラン菜)はそれぞれ特徴があって魅力的な野菜ですので
食べ比べてみてください。五目炒めは海鮮を贅沢に使います。カリフラワーと海老の炒めは、
タイ式調味料で引き出されるカリフラワーの意外な美味しさが驚きです。

 

クンオブンセン

 春雨の蒸しものです。春雨がスープを吸って美味しくなり、蓋を開けた瞬間に香りが広がります。

 

ヌンボワイ
 
 魚のタイ式蒸しものです。タイの調味料の他に梅干しを使うのが特徴で、魚が柔らかくなり美味しさが引き出されます。
タイではマナガツオを使うのが一般的ですが、スズキやまとう鯛など季節の魚を使います。予約が必要です。



ケンチュー

 タイ式鶏ガラスープです。旬の具を入れますが、特にお勧めは春の竹の子と夏のニガウリです。
旬の新鮮な竹の子を使ったスープは絶品です。ニガウリのスープはタイではたいへんポピュラーで苦みと甘味が楽しめます。




パッタイ


 お馴染みのタイ式焼きソバです。タイでは屋台料理ですが、当店では注文を受けてから一品ずつていねいに作ります。
生のモヤシやニラと合わせて食べるのがタイスタイルで、その魅力に取りつかれると思います。
 好みで調味料を合わせるのも楽しさです。徐々に味を変えて行くのがお勧めですが、特に酢は欠かせません。ただ、タイ
現地の専門店では自家製生麺を使うのに対して、当店では乾麺を使っていますので多少食感が違います。



ゲンキオワン

 通称グリーンカレーです。ココナツ入りでタイの代表的なスープカレーです。タイ米とスープとの絡みが絶妙です。
ガンペ(レッドカレー)もほぼ同じカレーですが、唐辛子の種類の違いで赤くなります。



パットガパオ

 細かく切った肉と香草ガパオが入った炒め物です。調理中にフライパンから強烈な刺激を発する料理で、
「タイの匂い」を感じます。日本ではひき肉を使う店が多いですが、当店では質の良い肉をコマ切りにして使います。


プーパットポンカリー          
 渡り蟹を殻ごとミキサーで潰してカレーペーストにした、オリジナルスタイルの蟹カレー炒めです。蟹の旨味がたっぷり
の料理です

カニカレーチャーハン
 上記のペーストを使ったチャーハンで、丸ごと蟹味のおそらく世界唯一のスタイルの贅沢カレーチャーハンです。



□イサン料理

 

サイクローク・イサン(イサン式ソーセージ)

 コックの得意料理ですが、手間がかかるので時々の提供です。ご飯・豚の耳・皮などを入れて丁寧に作った品です。
辛くなく、酸味と香ばしさ・食感の面白さが魅力です。ビールのつまみにお勧めです。

 

ヤムパーム

 イカの辛いサラダです。多彩な香辛料とイカゲソとの取り合わせが美味しいです。

ヤムウンセン

 春雨と魚介のサラダです。クラゲなど魚介もたっぷりで当店一番人気のサラダです。


ソムタム

 パパイアのサラダです。発酵した魚・カニを入れるソムタイプーパラーと入れないソムタムタイがあります。
初めての方はソムタムタイから味わっていただくのが無難と思いますが、発酵食品が好きな方はプーパラーは病みつきになる味です。
 パパイアは沖縄産の他、新鮮な浜松産が入る機会も増えています。

 
エノキダケと海鮮のサラダ

 タイ料理は日々進化しています。日本の食材を取り入れた新しい料理です。
 ヤムブンセンの春雨の替わりにエノキを使ったような料理ですが、食感が面白いです。





<サイクローク・イサン秘話>

 サイウアとともにイベント出店の際に出していたのがイサン式ソーセージ・サイクローク・イサンです。
元々コックの得意料理ではありませんでした。日本のイベントで出されるサイクローク・イサンが
本場のそれとかけ離れた物が多いのを残念に思い、何とか本場の味を再現しようと研究し何百本も試作した結果、
自慢の品が完成しました。特にポイントなのは自然に生まれる酸味で、酸味を生むためには乾し方に秘密があります。

 イベントが近づくと、コックはサイクローク作りに追われました。具材を細かく切り、大量のご飯を炊き、具在と混ぜ合わせ、
これを腸詰にしてソーセージの形にして、自然乾燥。
良いものをたくさん作ろうとすれば恐ろしく手間のかかるものなのです。
 イベント出店を撤退し、最近は作る機会がありませんが、人出が足りたら店でも出したいと思います。


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