第3学年3組 社会科 学習指導案
                              指導者 教諭 野島恭一
 
1.日時・場所 2001(平成13)年10月11日(木)第4校時 3年3組教室
2.題材名  経済オリエンテーションB 価格とは何か
3.授業構想
 経済分野は本来日常生活に直結するおもしろい内容なのだが、公民の教科書通りに行うと講義中心で難しくなりやすい。そこでここ4年間は、経済分野を全25時間・シミュレーション中心で自分なりに再構成している。教室・学年に授業用通貨と商品を用意し、生徒が生産者と消費者になって、仮想の市場経済をつくるというやり方である。
 大人の入り口に立っている生徒たちは、日常の経済行為にとても興味を持っている。このシミュレーション体験を通してふだんの自分の行動の基準や背景となる社会科学的なものの見方にふれると、飛躍的に興味関心や科学的思考力・合理的行動力を伸ばすことができる。
 単元は5つの部分で構成される。@経済オリエンテーションで、市場経済の原理を扱う。以下A「企業」B「家計」B政府 C国際経済までの4単元でシミュレーションを通して市場経済のしくみを学ぶ。最後のDでは、シミュレーションを離れて日本経済・世界経済の現状と課題を扱う。
 本時は@経済オリエンテーション全4時間中の3時間目に当たる。原料1000円の折り鶴をクラスで売り買いした場合、価格はいくらが妥当かを考えることを通して、市場価格実現の要因を考え、市民社会の公正な商契約こそが社会進歩を実現させる基礎であることを体験的に気づかせることをねらっている。
4.本時の目標
  原料1000円の折り鶴の適正な市場価格はいくらかを考えることを通して、公正で自由な商契約が公正な価格を実現し、それが社会の基本となることに気づくことができる。<思考>
5.学習過程
学習のねらい    学習活動 個を生かすための工夫と評価
導入
鶴の売買を実際にやってみて契約の仕方や価格を考える糸口にさせる。
・いくらがいいかを考えて鶴を売り買いする。


・班に戻り売買の結果を話し合う。




・自由な楽しい雰囲気をつくる。
・鶴を折っていない生徒はゆっくり折らせる。

 
学習課題の把握
価格の内容・決り方に疑問を持つ。
・いくらがいいか、考える。
・「公正な価格とは何か、どう決まるか」を学習課題としてつかむ。


 
・話題をふだんの買い物体験に広げて、生徒の会話からつぶやきを拾い上げる。
学習課題の追究
・市場価格と生産価格の2種類を知り、違いの内容を追究させる。

・鶴の実例を通して、生産価格と市場価格の乖離・市場競争を通しての両者の最終的一致
の不思議にふれさせる。
 
・買う立場から「高い」には、「ふだんと比べると高い」と「中身に比べると高い」という2つがあることに気づき、2つの価格の背景を教科書から調べる。
・原料1000円の折り鶴の競りをクラスで行い、SD表をつくる。
・SD表から、市場価格を計算する。
・つくる立場から「ぼろ儲け」と「ふつうの儲け」の違いを考え、平均的な市場価格が、適正な利潤を含む生産価格に一致することを発見する。













 
・使用価値と交換価値の違いを補足説明する。



・買う立場から、この値段で買うという価格を挙手させ、挙手の累計を横軸にグラフ化する。(D曲線)
・売る立場から、この値段なら売るという価格を挙手で発表させ累計をグラフ化する。(S曲線)
・自分自身の売りたい気持ち、買いたい気持ちの大小を振り返らせる。
 
学習課題のまとめ
・公正な価格実現のしくみが市場経済の基本であるこ
とを確認させる。

 
・正しい価格とは何か、正しいもうけとは何かについて自分の考えをワークシートにまとめる。


 





 
○公正価格の前提となる公正で自由な商契約の大切さに気づき、市場競争による公正価格実現が社会の基本であることを自分なりのことばでまとめることができたか。<思考>(ワークシート)