7月20日、茨城県生涯学習センターで”茨城県有償輸送フォーラム 〜「外出したい・・・」を支えるために〜 ” が開催されました。

今回のフォーラムは茨城福祉移送サービス団体連絡会発足して初めての大きな集まりであり、今までの経過の総集編に相当します。以下報告です。

● 事例報告  東海村社会福祉課 H.A氏
          運営協議会設置とセダン特区の取り組み

・公共交通機関の現況と、移動困難者の人口割合、また、困難者の程度の区分けなど。
・設置にあたって、他公共交通機関、特にタクシー業者への理解を求めた。(タクシー3社、バス1社)
・運営委員会のメンバーは ・運輸支局長 ・公共交通の代表 ・利用者の代表 ・ボランティア団体の代表 ・住民代表(区長) ・行政関係者 ・事業者(社協、NPOなど)
・セダン特区の申請は運営協議会を設置する前に届けた。 そのために、タクシー業界の承諾書を添える。
これらの発言によって、運営協議会設置までの流れは大体把握できた。
● パネラートーク

    コーディネーター  茨城大学工学部助教授  M.Y氏
    パネラー    NPO法人ユーアンドアイ  M.S女史(事業者)
            笠間市社会福祉協議会   Y.I氏(事業者)
            東海村社会福祉課   H.A氏(行政)
            茨城県保健福祉部厚生総務課 K..U氏(行政)
            利用者のおばあさん86歳

 利用者代表として、NPO法人ユーアンドアイの利用者が来られ、高齢で障害を持ってしまい、ほとんど外出しなかったところ、ユーアンドアイのお出かけサポートを利用するようになって、生活に潤いが出た。 ひたちなかの利用者さんも、文書で感謝の気持ちを伝えた。 
 会場に来られていた20歳台の男性は、親の都合を考えずに外出できるようになり、大学にも通い、趣味の油絵も楽しめるようになった。

 事業者代表は上記のNPO法人ユーアンドアイ、笠間市社協が発言。
ボランティア団体の立場で佐藤さんからは貴重な意見を聞けた。NPO発足前から、地域での助け合い精神で高齢者や障害者の生活支援をしてきた。 その中で外出支援としてお出かけサポートを立ち上げ、地域に根付ている。
 格安の利用料(片道10kmまで800円)から、運転ボランティアへの謝礼、事務所の運営費、安全対策、などに企てていて、行政からの支援は一切ない。 現在は、このシステムで成り立ってはいるが、80条施行後は、費もかさむので検討の必要あり。
 ただ、介護保険、障害者法の指定事業所で他の事業からの補填は可能。龍ヶ崎市からの受託事業もあり。

 笠間社協の場合は、市からの委託事業であるために経済的には問題はない。民間団体との共存を目指し、その余裕部分をNPOに還元を考えている。
● 質疑応答
・ 県内の運営協議会の設置状況:県ではまだ完全に把握してなくて、近いうちに県ホームページに掲載。
・ 移動困難者の定義:介護保険、障害者手帳所持者は問題ないが、グレー部分の困難者については事業者判断による。
例えば、歩行可能距離、公共交通機関までの距離、家族の都合、電動車いすでも路面の状況による、天候・・・
● まとめ
 福祉移送サービスの原点は副題にあるように移動困難者の「外出したい・・」を支援することにある。
 NPO法人活きるの移送サービス展開の目的もここにあり、社会参加を目指す人、また、引きこもっている人を社会に送り出すためにきっかけとして、外出は貴重であり、また、健常者と同様に好きなところへ好きな時に外出する権利を守るために、移送サービスは必ず必要である。
 公共交通機関においては、ルートや乗降場所が固定されていて利用が困難であったり(柔軟性がない)、障害者の利用に問題があったり(多種の車椅子の利用、重度障害者の対応、利用者の身体・精神状況の把握、福祉用具の取り扱い)、料金が高いなどの問題がある。
 ボランティア団体の運営だと、上記の問題は解決されるが、利用が集中したときの対応や、運転技術の問題、低料金ゆえの運営費の問題、車両管理の不慣れなどが挙げられる。
 行政運営の場合、低料金は確保されるが、自由度がなく、利用し易いとは言いがたい。

 現在稼動中の各地域に根付いた移送サービスは、それぞれの地域で必要に迫られてできたサービスが多く、運営が厳しくてやめたくてもやめられない現状がある。 80条施行によって、より、厳しい条件(講習会の受講車両管理、保健加入など)が強いられ、団体にもボランティアドライバーにとってもやる気を無くさせる可能性があ。
 その直接被害を被るのは利用者であり、果ては障害者の自立を妨げる結果になる。
 運営協議会の設置において、まず、安全の確保を第一に考え、そのうえで利用者とボランティア事業者の意を取り入れていただき、無駄な出費を省き、簡便なシステムにし、より運営し易いものになって欲しいものである。
 セダン特区の申請も同様であり、重度でなければ福祉車両の必要もなく、一人で公共交通機関を利用できない人は肢体不自由者だけでなく、うまくコミュニケーションをとれない人や大衆の中に入れない心の方も含まれるはずで、それらの人の移動にはセダン車でもできる。高価な福祉車両に限定した80条はナンセンスであるが、特区申請が認められれば団体の負担も少なくなり、ボランティアドライバーも参加しやすくなります。   宮脇

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