楽食しよう

少子高齢化を迎える社会においては、単なる寿命の長さだけでなく、健康に生き生きと日々を送ることができる「健康長寿」をいかに確保していくかが大切な課題になります。
 生き生きと日々を送るための条件の一つに「食」があります。人間らしく生きていくための基本である「食べる」ことは、QOL(生活の質)を維持するための不可欠な要素です。
 口にハンディがある場合には、食形態を考慮した「楽食」などで、体にハンディがある場合には糖尿病食などで対応して行く事が可能ですが、体の機能にハンディがある場合には、考慮された食器具などがなければ自分の口にまで運ぶ事は難しくなります。自分で食べる「食の楽しみ」を奪われる事になってしまいます。
 しかし、「人にやさしい笠間焼」のなかから自分が使えるものを見つける事が出来れば食の自立を助け、食べる意欲を引き出すことができます。食べるという行為の中で五感を使い体を動かすことは、筋力の維持につながり介護予防や健康づくりにもつながっていきます。
 KDS(茨城県工業技術センター窯業指導所内 笠間デザインスピリット)の提案する「人にやさしい食器具」は、誰もが使い易いユニバーサルデザインから障害を持つ個人の機能にあわせたバリアフリーまで幅広く対応できる体制から作り出される食器具です。自分に合った食器を見つけて、食べる楽しみをいつまでも持ち続けたいものです。

茨城県歯科医師会食文化研究会 歯科医師 塙章一