●唸らされ、考えさせられる一杯●

支那そばやといえば、私のとっては、札幌狸小路商店街にあったのれん分けされた同店でした。素材の鬼と言われるガチンコ 佐野実氏が作った一杯は、プライベートブランドを使った自家製麺、かん水は内モンゴル産、スープに使う鶏も地鶏など、それらの旨みが引き出された一杯は奥が深く、唸るという言葉が最もふさわしいらあ麺。札幌店にはかれこれ15回位、お世話になりました。そんな札幌店も2007年の夏に閉店。それ以来、支那そばやの一杯とはご無沙汰でした。そんな折、先日、連休が与えられ、東京旅行に。ラーメン本で色々とピックアップしましたが、やはりこの店を第一候補に。もちろん、ラーメン博物館見学も兼ねてです。約10年ぶりのラー博訪問にテンションも上がります。さて、お目当ての支那そばやへ。醤油らあ麺に味玉とマローエキスを注文。7,8分で登場。さて、一口。一口毎に佐野さんから何かメッセージを伝えられているような、あっさりとしながらも奥行の深い味わい。麺もスープを吸って一体感が。そしてマローを注入。調味料などを入れるのとは違い、深みが更に増してゆきます。柔らかいメンマの美味しさも印象に残りました。食べ終えた後も、旨みの余韻が心地良く残りました。佐野氏が以前、フライデーにて連載していたラーメンコラムを見て感じたのは、氏の目指す一杯は、シンプルながらも完全なる一品料理としての一杯。これは、食べる側にも舌のセンスが求められるでしょう。当日ラー博にて、一番、列をなしていたのは、札幌のけやきです。実際に札幌では2店舗ともに撤退です。マニア人口の絶対数が多い関東だからこそという考えも出来ます。ラーメンに必要な要素として、ジャンク感は欠かせない気もします。支那そばやは佐野さんのキャラが前に出ておりますが、進化する東京ラーメンを追及する一軒のひとつではないでしょうか。札幌店での復活を願いつつ支那そばやの章を終わります。