「祭り」(祈りのむこう) 


昨年から製作していた、タペストリー(ナインパッチ&ダブルウェディング)の完成が見え始めた今年1月、次は何を作ろうかと思案していた。
パターン使いの作品を作ると、今度は自由奔放なオリジナルな作品が作りたくなる。
全くあまのじゃくとはこういうことを言うのだと思う。
その時、浮かんできたのが、数年前に購入したまま置いていた「法被」でした。


「法被」とは、「広袖か筒袖で膝丈または腰丈の単衣の上着。職人が仕事着として着たり、祭りでみこしを担いだり太鼓を叩く人などが着る。」とある。


この段階では、深く考えることもなく作成に取り掛かろうとしていた。
そして、このころから、本業である事務屋の仕事が忙しくなり、毎日の残業で心身ともにくたくた。作成意欲が低下していた。


そんな時、平成23年3月11日「東日本大震災」がおきた。
TVに映し出される映像に震えた。身体が硬直するほどに驚いた。
自分に何が出来るのかと問いかける。
何かしたい。何をしたらいいのか。いち早く声掛けをしてもらった「支援物資」の提供をした。更には「義援金」の送金もした。
悶々とする日々が続く。ずっと以前、私は豪雨水害により自宅一階部分が水没し、家族がバラバラになり数か月避難生活を送った経験がある。
その時も町中が必死で立ちあがろうとした。
それは、決して自分ひとりでできるものではなく、大勢の協力と援助を必要とする。
あれから、数十年がたち、町は復興し新しく生まれ変わった。
今は水害の心配をすることもなく平穏に暮らしている。
感謝の気持ちもほとんど忘れてしまっている。



であれば、この作品に私の気持ちを込めてみたいと思うようになった。
そこで、いつも完成後に決めていたタイトルも先に決めた・・・
「祭り」(祈りのむこう)
日本人は「祭り好き」と言われる。もちろん私もその日本人の1人だ。
数年かかるとも言われている「復興」を終えた時、どんな「祭り」が催されることか・・・楽しみにしたいものです。


さて、材料ですが・・・・法被は全部で20枚ありました。
     

     

     

     

一枚の柄は、縦×横が15p×18pで、長方形というのはちょっと作成が難しいのです。
このうちの何枚かを他のパターンと組み合わせてみようと思った。比較的単純でも良いと思う。
このことは、以前作成した『永遠に童心』の時もそう感じた。


今回、採用した↓は「直線の風ぐるまのパターン」の中から選んだ「驚きの風車」と呼ばれるもの。
  
二種類の二等辺三角形をそれぞれ二分割してある。至って単純&簡単なパターンであり、いわゆる初心者向きです。
この、自分勝手な構想を、師匠である先生に相談し、全体の構想、色使いを決めた。
やはり、モノトーン系統(黒&白を基調にしたもの)がしっくりくる感じ。
手持ちの布に、教室で先生と相談した布を加え、組み合わせて並べてみる。
どの作品もそうだが、この布を配置する過程が、作品作りの中の最も重要なポイントとなる。
だから、時間と持てるパワーをすべて集中するのだ。
このときの集中力は、普段の仕事の時以上かもしれない(笑)
これが、個性であり、オリジナリティである。言ってみれば、作品でその作者の個性が読み取れるのです。


そして、時間の許す時、ひたすら縫うことにした。
いつもなら、あまり期限を考えずに作成するのですが、今回は自分の気持ちを表したいがためにも、ほぼ毎日ひと針でもいいから縫う!!
これが、被災地の復興を願う自分の気持ちの表現であると・・・


     

     

写真では10枚ですが、完成のためには49枚(縦7枚×横7枚)が必要です。
一枚ずつが実にバラバラなイメージですが、実はこの写真、ほぼ49枚を縫いあげた時に撮影しています。
なのでこれは部分的に拾い上げて撮影したからこんなことに・・(汗)


そしてこれ(↓)が全体を並べたところ(一部横列だけ繋がっています)



あれれ?今まで全く登場してこなかった「赤色」がありますねぇ!!
  「赤」は火・情熱を象徴する色
  「赤」は最もエネルギーの強い色で、生命の高揚感をイメージ。元気になりたいとき、ポジティブになりたいとき、気持ちを高ぶらせたい
    時にパワーをくれる色です。何か新しいことに「チャレンジ」するとき、手助けになります。
  聖書(私は信者ではありませんが)では「赤」は「愛」


そこで、この赤をパターンに組み入れることで、人が持つ情熱や復興にむけて立ち上がりたいと願う気持ちを表現しようと考えた。
下方から上方へ「湧き上がる心」を広がりを持たせることで示せないか・・・・どうでしょう?


さて、この後、@全49枚を繋いで A周りにラティス部分を付けて Bキルトをして C額縁を付けたら・・・・完成!!


まだまだ先は長い!!