私の音楽遍歴(19)<花−喜納昌吉(2)>
♪「川は流れて どこどこ行くの〜」、「泣きなさい 笑いなさい いつの日か いつの日
か 花を咲かそうよ」で始まる「花」は、「ハイサイおじさん」と並ぶ喜納昌吉の代表曲
であると共に琉球ポップスの世界的名作といってもいいと思います。私は、「花」のカバー
バージョンだけを集めたCDを持っていますが、これは第2集まで出ています。カバー集には、
全部で14曲のカバーバージョンが納められていてそのうち9種類が外国バージョンです。
日本では、河内屋菊水丸や香坂みゆき等が、外国バージョンは、台湾や東南アジア等の
歌手のさまざまなカバーがあります。最近では、加藤登紀子やビキンも歌っています。
♭「花」が初めて収録されたアルバムは、1980年の「喜納昌吉とチャンプルーズ」のセカンド
アルバムの「Blood Line」です。このアルバムのバージョンは、ライ・クーダーのギターをフュ
ーチャーして、しっとりした仕上がりになっています。その他には、昌吉自身のボーカルと「喜納
昌吉とチャンプルーズ」の女性ボーカル(昌吉の前の奥さんかな?)のバージョンがあります。
珍しいバージョンではコンピューターの伴奏で歌っていて喜納昌吉の歌が、今二つくらい心を
入れきれていないバージョンとかもあります。私は、女性ボーカルバージョンが結構気に入って
います。
♯ 「花」の魅力は何か、拙いながら私なりに分析をしてみました。
「花」の魅力は何か1−音階編
「花」の音階は、「琉球音階」ではありませんが、かといって完全な「ヨナ抜き音階」でもありま
せん。あえて言えば「ヨナ抜き音階」の終止形に「琉球音階」の影響を受けた音階という感じが
します。(私の勝手な分析です)私は、この「ヨナ抜き音階」+「琉球音階」的終止がこの曲の
音階的魅力ではないかと考えています。
・「琉球音階」−レとラを抜いた音階=ドミファソシド
・「ヨナ抜き音階」−ファとシを抜いた音階=ドレミソラド
♭「花」の魅力は何か2−歌詞編
「川は流れて どこどこ行くの〜 人も流れて どこどこ行くの〜」この直接的で素直な問いは、
人間存在の根源を問いかけている様に思われます。そして、この問いは聞く人の心にスーと
入って来る響き(メロディー)を持っていると思います。そして、サビの「泣きなさい 笑いなさい」
は、自分の存在の根源をもわからず彷徨う私達は、「素直に「泣き笑い」して生きていっていい
んだよ。」と言っている気がします。「花」の副題は、「すべての人の心に花を」です。この詩は、
喜納昌吉のたどり着いた一つの境地と沖縄の人達が生来持つやさしさが素直にほとばしり出た
詩の様に思います。
♯言葉が空回りしてうまく言えませんが、心の深い部分に問いかけてくる素晴らしい詩とそれ
によくマッチしたメロディーが溶け合いやはり有無も言わせない名曲になっていると思います。
♭喜納昌吉は、今も音楽、そして音楽以外もバリバリに活動しています。つい最近も、父親の
民謡歌手喜納昌栄とのジョイントコンサートを成功させています。喜納昌吉の本拠地といえば
国際通りの「チャクラ」というライブハウスです。私は、行った事がないのですが、喜納昌吉目当
てに観光客がたくさん集まっている様です。喜納昌吉も忙しいので毎日は、出演している訳では
ないようです。「チャクラ」の前の縦看板には、「今日の出演者を確認してから入場してください。」
と書いてあります。
♯「ハイサイおじさん」で日本中に、 「花」で世界中に琉球ポップスを広めた喜納昌吉の功績は
偉大であり、その功績があったからこそ後に、「りんけんバンド」、「ネーネーズ」が続いたのだと
思います。最近はカリスマ性さえおびて来ている様に思いますが、これからも活躍して欲しいと思
います。
(2002年3月23日掲載)