女将のお願い(2000/4/1)


 お弁当のところにも書きましたが、今日・・・っていうか日付だと昨日なのですが、 昼間、雲竹斎先生と出かけました。
 帰宅する途中、自宅の最寄り駅で降り、わざわざ駅ビルのトイレに行きました。 この駅ビルは、トイレに妙に力を入れていて、一般的に使われるトイレもデザインに凝っていて、 更に身障者や子供連れ用の広くて、しかも結構奇麗なトレイが(たぶん)各階にあるのです。 子連れの身にとって、これはたいへんありがたいことです。
 それで、駅三つ先まで出かけていたのに、トイレはわざわざ戻ってきてから使用したわけです。
 だいたい想像がつくと思うのですが、三畳間くらいの広さに、洋式トイレとおむつ交換台があり、 洗面台があり、車椅子の方でも楽々使用できるよう、ドアは「開」と「閉」の押しボタンを押せば自動的に開閉できるようになっています。 で、このドア、様式便器に腰掛けると、真っ正面にあるんです。女将はよくわかりませんが、 おそらく車椅子の方だと、このレイアウトが最も最適化されているとかなんとか、理由があるんでしょうね。
 少し前、雲竹斎先生が、よちよちとしか歩けない頃は、ここにはいるとちょっとオアシスって感じで、 雲竹斎先生を押さえながらもゆっくりと用を足し、おむつ台とか、荷物台に座らせて、落ちないように気をつけながらでも、 落ち着いて身だしなみを整えることができていたのです。それだからこそ、疲れる買い物の途中の”オアシス”なのです。
 もちろん、今日もオアシス・・・・のはずだったのですが、女将が用を足している間、三畳間のトイレを探索する雲竹斎先生・・・・。 当然「開閉スイッチ」を発見。
 今の雲竹斎先生は、よく言えば、知恵がつき、背も伸びて、順調な発育中・・・・・つまり、 例の「開閉スイッチ」を操作するに十分なコンディションになっているわけです。 その上、もう、女将が腕を掴んでいるくらいでは、押さえきれないくらいの自我と力がついている、 そうでなくても、既に女将は手を離してしまっている。 しかもしかもしかも、先生はスイッチ系、自動ドア系、大好き。更には、ドアは上記の通り、女将の真っ正面。 そう、女将が洋式の便器に腰掛け、用をたしている状態で雲竹斎先生が「開」のスイッチを押そうものなら・・・・・ ドアだけでなく、女将も「開」・・・・あら、失礼いたしました。
 なにしろ、広くて快適なトイレですから、 便器の位置からドアまでが遠い、開いてすぐに閉めに行ったとしても、奥には一般用のトイレがあるので、 そこを利用する人が通らないとも限らない。座ってしまってから、その事態に気づく女将の失敗ではありますが、 誰が悪いとかそんなことは問題にならないくらい、女将が焦っていたことは言うまでもございません。
 幸い、雲竹斎先生がスイッチを触ろうと手を伸ばしたときに、いつにも増して厳しい声で「いけません!」と注意した・・・・ っていうか、せっぱ詰まって懇願したとでも言えそうな声を発したせいで、 雲竹斎先生もただならぬ事態であることを察したらしく、ドアが解放されることはありませんでした。(なぁぁんだ、なんて思わないでね。 こっちは必死よ。) が、しかし、ジーパンのファスナーを閉めるまでの間、女将はかつてないほどの恐怖を味わったものでございます。
 お願い、駅ビルの社長さん、ベビーロックつけて。

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