平成20年8月31日〜9月1日
シアトル〜オリンピック国立公園
アメリカ・ワシントン州

(釣人:管理人)
アメリカの北西部、カナダとの国境付近にある都市、シアトルを訪れた。

夏なのに肌寒い。ダウンタウンにあるパイク・マーケットを歩くと、花や野菜、

土産品が並んでいる。フィッシュマーケットを覗いてみた。

サーモンにオヒョウ、スズキ系、カニ、巨大なアサリにエビが並んでいる。

残念ながら、磯釣り師を熱くさせるお魚はいないようだ。

【エリオット湾ウォーターフロントパーク】

初めに竿を出したのは、ダウンタウンの近くのウォーターフロントパーク。

ノースウエスト系の黒鯛がいそう。

「チヌパワーチヌパワー!」なんてふと考えてしまう。

しかし、板張りの通路に噴水、洒落たオブジェ、

黄昏に染まるスカイスクレーパーズをバックに、肩を寄せ合う恋人たち。
ここでフル装備して、チヌパワーとオカラダンゴのコマセをポンポン打ちながら、

ケミをつけた春秋ウキを、「誘い」をかけながら、マジ顔でにらむ、

にはちょっと勇気がいる。

もしサナギのサシエで、異臭を放ちながら「ダンゴ」を握っていたら、変態だろう。

その上さらに、「タモ!タモ!!」なんて真顔で叫び始めようものなら、国外追放?
メバル用のルアーを引いてみることにした。ヘチ釣りの要領で、足元の杭の周りを探ってみる。

残念ながら、カラスガイは付いていない。ふと思った、なんだ、ここは横浜の山下公園じゃないか。

そう思うとさっきまで背中に感じていたプレッシャー(冷たい視線?)も、消えた。

結構いい雰囲気だったが、時間もなく、お魚をゲットすることはできなかった。

【エリオット湾アルカイビーチパーク】

ここは釣場ではない、有名な夜景スポットだ。まあ、何かの記念にと、ちょいと竿を振ってみることに。

光と影の間にルアーを通す、昼間にマーケットでみた、スズキのような魚をイメージして、ルアーを引いてみる。

足元を何かが背びれを出して泳いでいる、スズキ?暗くて見えないが、かなりでかい。

しばらく経つと、足元から変な泣き声が聞こえてきた。アシカだ・・・。間違って食いつかれると可愛そうなので、納竿。

【ポート・エンジェルス】

翌朝、シアトルからフェリーで40分、対岸のベインブリッジに渡り、

さらにいくつかの島々つなぐ橋を渡り、北に車を走らせること約2時間、

オリンピック・ナショナルパークの玄関口の町、ポート・エンジェルスに到着。

海を挟んだその先には、カナダ・ビクトリアが見える。何もない、咽かな町だ。

(島から島へと橋を渡る)
「横須賀の馬堀海岸から、東京湾を挟んで、千葉の木更津を望む・・・。」

のとは、何かが違う気がする。

「日振島の磯から、豊後水道を挟んで、九州を望む・・・。」

そんなローカルな感じでもない。

「竜飛崎から、津軽海峡を挟んで、北海道を・・・。」

そんな寂しげな雰囲気でもない。

「宗谷岬から、オフォーツク海を挟んで、サハリンを・・・。」

スケール的には近くなったが、

何か「カニ」とか「スケソウダラ」のような感じで色気がない。

(フェリーポート)
これは、

「アメリカのポート・エンジェルスから、国境を挟み、

カナダはブリティッシュ・コロンビア、花の町ヴィクトリアを望む。」だろう。

ここは釣れる気がした。シアトルとは違い、海に、生命感がある。

ちょっと、宗谷岬の海にも、四国の海にも似ている気がした。

浅い海に、海草があり、いかにもカサゴの類がいそうだ。

ただ、時間がない、結局魚の顔をみることはできなかった。

【クレセント・レイク(湖)】

ポート・エンジェルスから西に1時間、オリンピック国立公園に入る。

シアトルと太平洋の間に横たわるオリンピック連山、山麓には氷河を有するが、

他方で、偏西風が半島の西側に雨を降らせ、温帯雨林も同時に有している。

手付かずの海岸、山々、湖、川は、いかにも紅鮭が遡上してきそうな雰囲気。

ちなみに、オリンピック国立公園は世界遺産の一つ。

ということで、心してかかったが、肝心のお魚が今日はお休みのようだった。

(国立公園の中を走る)

【メリーミア・クリーク(渓流)】

クレセント・レイクから、

森林地帯を歩くこと30分、メリーミア・フォールズ(滝の名前)に到着。

巨大な大木が聳え立ち、岩肌はコケに覆われ、幻想的。

相方の韓国人に言わせると、

「もののけ姫」の妖怪(白くてちっちゃいの)が出てきそう、とのこと。
そこから流れるクリーク(小川)がよさ気なので、

少し竿を出してようと思ったら、あることに気づいた。

「しまった!竿がない!!」車の中に忘れてきた。

とりあえず木の棒をもって、「フェイク」フィッシング・・・。

せめて気分だけでも・・・。

日本のホンモノの渓流釣師がくれば、感動モノだろう。

(メリーミア滝)
手付かずの自然、

たくさんのクリークにストラクチャー、

そして誰も竿を出していない。

ただ、残念ながらぼくは、

荒磯の潮と、あの強烈な衝撃以外、

満たされそうにない・・・。

【ルビー・ビーチ】

「サンセットに間に合わない・・・!」と言いながら、

クレセント・レイクから西に2時間、ひたすら車を飛ばした。

「サンセット」?何か違和感が。やっぱり「夕マズメ」だ!

太平洋に隣するルビー・ビーチ、壮観だった。

浜には巨大な流木が重なる。遥か遠くまで続く海岸、

渚に奏でる波の音が絶え間なく響いてくる。

日が落ち、海と空の境目が徐々に消え始める。(写真右下)

(道中)
茨城の大洗海岸、日立港、同じ太平洋だが、何かが違う。

ここはここ「パシフィック・ノースウエスト」という感じ(どんな?)だ。もちろん、釣りをする雰囲気ではない。

とりあえずヒラメでも釣れないか、と竿を振ってみるも、すぐにやる気が失せた。
なんだか釣人の存在がチャチすぎる。

23年前に釣りを始めた時のことを思い出す、「竿もって遠いとこまできたんだな・・・」そんな気がした。

とじる?