我々はしばらく立ち話をしていたが、話すのは白衣の男だけ。
僕は思わず目をこらす。
僕は何時死んでもおかしくない体なのだ。
「一命を取り留めたヴァルがヴァイにもどるまで見守るのはヴァルに助けられた僕の役目なんだよ」
でも彼女には良くなかった。
玄関へと向かっているらしい。
ヴァイの話によると、ヴァルは初めから心を閉ざしていた訳では無いという。
「そうして僕はヴァルからヴァイになったんだ」
白衣の男はそういい残して、一人で去っていった。
僕は思わず目をこらす。
男は白衣を、女の子は奇怪な服を着ていた。
何匹かいるが、行列を成すほどではない。
真っ青な羽毛に覆われた身体は、我々と同じぐらいの大きさもあった。
何匹かいるが、行列を成すほどではない。
と、そこで誰かの声が。
僕は空洞の左胸を見て思った。
そして、やはり銀色の帽子には触角の様に長いアンテナが二本。
僕の背中を冷たい汗が落ちる。
ところが今日に限って親狼が歯向かってくる。
踏み切りの中は荒れ狂う大海原だ。
届いた手紙を見ていると、その中に病院からの封筒が。
「×月×日、午前×時。あなたの心臓が停止しました。」
水鳥のヴァイは言葉を話すことができた。
それから数日を僕は不安と恐れの中で暮らした。
しまいには肩を噛まれてしまった。
……蟻だ。
玄関へと向かっているらしい。
心臓が止まってから、僕はどれぐらい生きられるのだろう?
心臓が止まったとき、僕は死んでしまうのだろう。
あれもしてない、これもしてない。
その日はいつもより少し遅い目覚めだった。
昏睡状態で朝を迎えた彼女を救ったのは、あの白衣の先生でね。
しまった、今注入してるのは晴天用血液じゃないか。
だが、その牙は体をすり抜ける。
そして僕は卵を無事に産み、青くなった。
僕は思わず目をこらす。
心臓に欠陥が見つかったときから覚悟はしていたはずなのに。
「詳しい話は、このヴァイに聞いて下さい。」
銀でできた蛇の腹みたいな鱗。
その頃はまだヴァイだった彼女は、一枚の青いタオルで僕をくるんでくれた。
超能力を持つ狼の研究が僕の仕事なのだ。
一回全部交換がすむまで待たなければ雨天用血液を注入することはできないのだ。
時間は容赦なく過ぎていく。
彼は彼女をヴァルにしてしまった。
「でもそうするしか、彼女を救う手はなかったんだ」
「ある嵐の晩に卵を産もうとして、一人唸っていた僕を助けてくれたのが、このヴァルなんだ」
ヴァルとヴァイ、そして僕が土手に残される。
僕が死んだら、その後あの人はどう生きるのだろう?
急いで昼用血液を機械にセットし、注入を始めた。
……気だけが重くなっていく。
「……ヴァルは心を閉ざしているんです。」
……もちろん僕が幽霊なのだった。
彼は川に向かって呼びかけた。
そして途中で消えてしまった。
僕は今日も白い子狼を連れ出しにいった。
急がないと遅刻してしまう。
やがて話題はその娘の事になっていった。
可憐ではあったが、表情は皆無で感情というものを感じさせない。
僕は昔、ヴァルだったよ。
真夜中にふと目を覚まし、布団の脇に何か小さな動く影を見た。
あわてて、すぐにそれを開ける。
だが、いよいよ心臓を取り出して病院に預けなくてはならないほど病状が進行すると、まだまだ未練だらけなことに気がついた。
しかし途中で止めることはできない。
玄関へと向かっているらしい。
何匹かいるが、行列を成すほどではない。
真夜中にふと目を覚まし、布団の脇に何か小さな動く影を見た。
「今日は天気わるいよ」
女の子はまばたきはおろか 視線すら動かさずに突っ立っている。
呼びかけに応じて、一羽の水鳥があがってくる。
羽根みたいに見える透明なヒダ。
嵐の中で彼女は……
真夜中にふと目を覚まし、布団の脇に何か小さな動く影を見た。
僕は諦めた。
夜用血液と循環交換する。
……コウロギだ。
やばい。
僕は恐れている。
流れに沿って川下へと歩いていると、向こうから一組の男女が歩いてくる。