内反足矯正の実際

ここでは内反足の初期における矯正を実際にはどのように行うのか述べます。内反足の病態は簡単に言えば距骨とその遠位にある骨との間に生じた変形ということができます。もちろん距骨と立方骨、楔状骨と中足骨の間などに変形はありますが、本質的には距骨とその周囲の骨の位置異常と捉えることができます。したがって、矯正にあたってはまず距骨をしっかりと確認することがすべての出発点です。
距骨は、腓骨の下部の膨らんだところの前方に位置しています。距骨の前方外側部(距骨頸部)は長細く角張っていて、特に内反足でははっきりと触れることができます。矯正は漠然とするものではありません。まず、この距骨外側部をしっかりと確認することから始めます。

赤ちゃんの右内反足です。外側の突出した部分が腓骨の下部の膨らんだとことです。
術者の左母指は、この膨らんだ部分の前方を抑えています。ここには細長く隆起した骨を触れます。これが距骨の前方外側部(距骨頸部外側)となります。
距骨前方外側部を確実に同定することがすべての基本となります。これを曖昧にすると効果的な矯正はできません。
術者は右母指を写真のように赤ちゃんの足の親指と第2指の間(みずかき)のところに置き、人差し指を赤ちゃんの足の内側にそえます。この時、写真のように人差し指を完全に伸ばした状態でそえることが重要です。曲がった状態でそえると、内反足の指先だけが外側にまがってしまうことになりかねません。
矯正操作です。距骨に当てた術者の左母指を支点として、術者は右手で赤ちゃんの足を外方向に持ってゆきます。この操作は通常リズミカルに行いますが、時にゆっくりとおこなっても良いと思っています。ゆっくりと行うときは、距骨の先端にある舟状骨を距骨の先端で外側にむかって回してゆくような感じて行うと効果的です。
この操作での注意は、純粋に外側に持ってゆくことであり、内反があるからといって足そのものを外側に回旋させてはいけません。外側に回す操作をおこなうと、内反足が本来もっている凹足をさらに強めることになります。
矯正が終わればギブスを巻きます。まず足から膝下まで巻きます。
膝下までのギブスが固まったならば膝上まで巻きます。この時ご家族には哺乳瓶にミルクを用意していただき赤ちゃんに与えてもらいます。そうすると赤ちゃんはおとなしくしてくれるため膝が安定し、しっかりしたギブスが巻けます。
ギブスが巻き終わったところです。