大腿骨頭辷り症に関する御質問2003年までのまとめ

私が滋賀県立小児保健医療センター時代に患者様からいただいた代表的質問とそれに対するお答えです。

御質問251

12歳の息子が大腿骨頭すべり症で、手術をしました。中学に入ってクラブを始めた矢先の出来事でした。先生は、その子の体質とかホルモンが関係しているともいわれていますが特徴はまあ、小太りな子供に多いといわれました。手術はうまくいったので後はリハビリをちゃんとして、経過を長く見守っていく必要があると言われました。
子供が一番心配しているのが、身長が伸びるんだろうか?ってゆうことと、直ったらクラブ(バトミントン)がまた出来るようになるのか?とゆう事なのですが・・・・どうなのでしょうか?バトミントンに限らずスポーツ全般に出来るようになるのでしょうか?親としては、ちゃんと足を、引きずらずに歩けるようになるのか?生活していく上で気をつけなければならないことはないのか?とても、心配です。どうか、教えていただけないでしょうか?お願いします。

御返事

大腿骨頭辷り症の手術がうまくいってよかったです。

身長は伸びます。身長は大腿骨だけでのびるのわけではありませんので心配ありません。
クラブは出来ます。私達の経験ですが、これまでにこの手術をした後、バスケットの名選手になった人がいます。

御質問189

次男5歳が 今日**こども病院で大腿骨頭辷り症と診断され急遽入院しました。
主治医のお話ですと40°後方にかたむいており 手術で膝に金属をいれ延ばした後で再度 ピン固定の手術を予定しているとのことでした。それでもダメなら再度骨切り手術をとのことですが 完全に治癒するのか不安です。歩行に障害等はでないのでしょうか?運動とか発育に問題はないのでしょうか?
また通常この症状は10-13歳で発症するので5歳で発症し理由が不明とのことでした。
5歳で身長114CM 体重25KGですが やはり成長ホルモンのバランス異常によるものなのでしょうか?
最悪 脳腫瘍の影響でホルモンのバランスがくずれることもあるといわれましたが非常に 急なことで動揺しております。
お教えいただけませんでしょうか

御返事

5歳で大腿骨頭辷り症というのは稀です。内分泌の異常などなんらかの基礎疾患の検索が必要で、そちらの病院でも診断を進めると思います。**こども病院なら心配ないと考えます。がんばって下さい。

御質問131

こんばんわ。11歳になる娘のことで相談に乗っていただきたく、メールいたします。
**整形外科にて、大腿骨頭すべり症と診断され、早急に手術をするように言われました。貴センターのホームページを拝見し、治療は小児整形外科専門病院で行わなければなりません。この疾患を多数扱っている施設で行わなければなりません。という個所を読み、非常に不安になっています。---------

娘は、ソフトボールをしており、1月の初めごろ、練習のあと、股関節のあたりが 痛いと言い出し、近くの整形外科を受診。スポーツによる炎症で、大腿骨のまわりに水がたまっている。と診断。2週間程運動を休み、様子を見ました。痛みはほとんど治まりましたが、少し運動すると、またいたみます。よくわからないまま、2ヶ月がすぎました。
とても、とても悩んでいます。ご指導いただければ幸いです。宜しくお願い致します。

御返事

大腿骨頭すべり症治療においてはいろいろなことを総合的に考えなくてはなりません。

まず、反対側の状態はどうかをMRIなどで詳しく調べなければなりません。反対側に病変が及んでいれば同時に反対側の手術が必要です。

手術前には関節可動域が回復していることが前提となります。牽引をしますが、すみやかに可動域が回復しない場合には関節鏡などで洗浄します。

次に実際の手術ですが、すべりの状態、成長軟骨の状態で方針が大きく異なってきます。発症が急激で、すべりの程度が大きい場合には整復が必要な場合があります。このようなケースでは、大腿骨壊死がおこることがあります。
発症がゆるやかで、すべりの程度が軽度でかつ成長軟骨が充分のこっていれば特別な整復をしないでピンで固定します。その際、ピンについてはどのような種類をつかうかについてはいろいろ考えなくてはなりません。ネジをどこまで切ったものを使うか、太さをどうするか、何本使うか、などは細かく検討しなければなりません。

手術後のリハビリは極めて重要です。このリハビリによって変形した部分がすこしづつ円形になってゆくわけです。これなくしては治療が成り立ちません。

治療期間は長くなる場合がありますので、学校が付属していなければなりません。

まだまだ配慮しなければならないことがたくさんあります。このように、この疾患の治療はいろいろコツがあって、専門治療が不可欠なのですが、意外と一般病院で軽く扱われているのが現状です。これには理由があって、この疾患を、成人の大腿骨頚部骨折と同じように考え、単純にピンで固定することでよいと考えている整形外科医師が多いのが理由です。

この疾患は正しく治療しないと、まちがいなく将来股関節痛などの障害が発生します。すみやかに治療を開始する必要があります。

御質問90今年の4月に以下の内容のメールをいただきました。すぐにお返事を差し上げたのですが、それがきっかけでその後意外な展開があり、最終的にはうれしいお返事をいただきましたので御紹介いたします。

同じ会社に勤める方の息子さん(中学1年生)が昨年ペルテス病と診断され、現在は装具をつけています。彼女は会社でしかこのホームページを見ることかできず、しかも,会社ですから,本当は個人的な利用は禁止されていますので、代理でご質問させていただいています。

疾病者の母親の不満点
・どういう病気かの説明は大まかに受けたが、今後の治療計画、どのような治癒の仕方をするのか?などの説明はしていただけない。
・文献で手術も治療法のひとつとあったので,手術では治らないのかと聞いたところ,私の知っている範囲では手術という治療法はない、といわれた。文献にはあるのになぜ手術はしないというのかわからない、というようなことです。

疾病者の母親の聞きたいこと
・現在かかっている病院では不安があり,(原因はいろいろなことが重なっているようです)できれば現在すんでいる**県**市の近くによい病院があれば教えていただきたい。納得できる説明をしていただけるところで治療をしたい、ということです。
昨日、息子さん(疾病者)の入学式だったそうです。でも、担任の方に事前に説明をしていたにもかかわらず,入学式の会場でここは土足禁止だから靴は脱いでね、と簡単にいわれてしまったり、集合写真を撮るときには、装具をつけたままなのに名簿での順番が早いという事で一番最前列のいすに座らせられたり・・・説明したにもかかわらず、理解していただけていないことがわかる場面に直面したようで,息子さんもひどく落ち込み、母親もとてもショックを受けているようです。現在かかっている病院からも,治療に何年もかかるとは聞かされていない上に,治らないといわれていたようで、こちらのホームページをみたときも、すごく動揺していました。
私も彼女をどう励ましてあげたらいいのか…こういうことぐらいしかできないのが、もどかしくもあります。

御返事

メールありがとうございました。
さて、中学1年生のペルテス病ということで、さぞかし御心配のことと存じ上げます。
ホームページにも掲載しましたが、この年齢でのペルテス病は治療に難渋することが多いのです。まず専門医にかかることが絶対条件です。
今後の治療計画、どのような治癒の仕方をするのか、については明解な説明が必要です。たとえば、装具療法なら、どうしてその方法を選択したのか説明が必要ですし、また説明できなければなりません。というのは、この年齢での装具療法はむずかしく、様々な条件が整わなければ正しく実行することはできないからです。そのため、この年齢では手術療法が選択されることが多いのです(もちろんすべてではありませんが)。
残念ながら、**県の専門病院には心当たりがありません。そこからでしたら、すこし遠いかもしれませんが、信頼できる先生は、**病院整形外科の**先生です。疾患の重要性を考えれば遠いなどといっている場合ではありません。お子さんの一生に関わる問題ですから最善を尽くしてあげて下さい。その時は、前の病院でのレントゲンなどを拝借してきてください(これは先方にお願いすれば断ることはできないはずです。被爆を減らす為にも是非お願いいたします)。

それではがんばってください。

その後のメール

私、以前息子(中学1年)のペルテス病で、鈴木先生にご相談させて頂きました***と申します。

メールを、頂いたときは、本当に驚きました。はっきり申し上げてお返事がくるとは思っておりませんでしたから。本当にありがとうございました。
その後、通院しておりました2つの病院から、照会状やレントゲン写真などを取り寄せ、先生からのメールを握り(お見せし)・すがる思いで、**病院の**先生を訪|ねました。**先生をはじめ整形外科のスタッフの皆さん、心よく迎えて下さいました。
**先生は想像以上に素晴らく、私達親子の不安材料を一気に吹き飛ばして下さいました。
結局息子の病名は(ペルテス病ではなく)「大腿骨すべり症」と判明し、滑っている角度も大きかった事もあり、すぐ手術を勧められました。

**月**日に退院し今では、自転車に乗って元気|に学校に通学しております。入院時から14キロもダイエットをした息子は、自信に満ち溢れまた、装具(トーマス)を付けていた苦痛の日々とは全く別人のように、心身共に成長致しました。お蔭様で、我が家は母子家庭の二人きりではありますが、何処の家族よりも深い絆で結ばれそして幸せ一杯の日々を迎える事ができるようになりました。
これも、私のメールに真剣に答えて頂き、**先生を照会して下さった鈴木先生のお陰だと感謝しております。ありがとうございました。息子共々心よりお礼申し上げす。
時々、先生からのメールが無かったら将来息子は??と想像するだけで体中が震える程恐ろしくなる事があります。

-----以下略----