走ることが主体のスポーツですから、下肢障害が発生することがあります。また、一種の格闘技でもありますので相手との接触による下肢、体幹の損傷がおこることもあります。ラクビー、アメリカンフットボールと比べて、重度の損傷は多くありません。
1。足関節捻挫。サッカーに限らず他の球技においても最も多い外傷です。なかでも外反により前方関節包、前方腓骨と距骨、腓骨と踵骨を結ぶ靱帯に損傷がおこる場合が多いのですが、重度の損傷であれば靱帯の断裂がおこります。
外傷が発生したら、とにかく早く RICE をおこないます。 RICE とは、R(rest、安静), I(ice、氷で冷やす), C(compression、局所を圧迫する), E(elevation、患部を挙上する)の略です。 RICEによって外傷直後の出血、浮腫、を最小限に押さえることが重要です。
足関節の不安定性、もし、歩行困難で、果部に圧痛、足部の圧痛みがあればX線診断をおこないます。
治療ー軽い捻挫ならば1週間ぐらいでスポーツに復帰できます。Tapingなどが有効でしょう。痛みがきつい場合には松葉杖を使って負荷を軽減します。
靭帯断裂などにより足関節が不安定の時はギブス固定を行います。初期にしっかり固定することがその後のスポーツ復帰にとって決定的です。
陳臼例ー手術により靱帯を再建します。さまざまな方法がありますが、成績は良好で元のスポーツに復帰しています。
2。剥離骨折

成人と異なり、骨の強度が強くありません。したがって、腱や靱帯に引っぱり方向の外力が加わった時、腱や靱帯が断裂するのではなく、それらに引っ張られて付着部における骨の剥離骨折がおこります。剥離骨折の部位によって治療方法が異なります。関節内骨折であれば手術的整復が必要です。
3。オスグッド-シュラッター病
脛骨結節のapophysis(扁平骨にあらわれる骨端骨で長管骨のepiphysisに相当)の部分的剥離と考えられます。10-15才の男子に多く、スポーツ少年の20%に発生するといわれています。治療ー自然治癒が多く、スポーツは我慢してさせても良いと思います。骨端線が閉鎖した後に遊離骨片が残存し、痛みが出るようであれば骨片除去をおこないますが、その成績は良好です。
4。分裂膝蓋骨。膝蓋骨の上外側に亀裂がおこるものです。に慢性的な牽引が加わって発生すると考えられます。痛みが強い場合には手術的に治療します。以前は断裂した骨片を癒合させる方法を試みをしていましたが、かならずしも満足な成績は得られませんでしたので、現在では骨片を摘出していますが成績は極めて良好です。
5。Sinding-Larsen-Johansson Disease

活発なスポーツ少年に発生することがあります。サッカーなどで、繰り返す牽引力による膝蓋骨下端の石灰化もしくは骨化と考えられています。治療ー痛み強ければ痛み止めなどで我慢します。スポーツ継継続可能です。3-12ヶ月で自然治癒します。
6。下腿Stress Fracure
脛骨近位1/3の部位におこりやすく、長距離走と関係しています。36.5%は16-19才に、6%は15才以下に発生します。痛みはすこしづつ始まり、最初は休憩によって治まる程度ですが、やがて歩行に障害がでてきます。1/3に骨折部の圧痛、1/4に腫脹が見られます。初期のX線像は判断難しいのですが、やがて骨吸収像、場合によっては骨折線のずれがおこって診断がはっきりします。
骨腫瘍や骨髄炎との鑑別が重要であり、場合によってはbiopsyが必要なこともあります。
治療は、安静、場合によっては杖、ギブスで治療します。本格的選手にはその間、水泳、その他をさせ体力の温存をはかります。治療期間は2週から3カ月くらいでしょう。
7。Shin Pain (向こうずね)
結構多く、下腿痛みの10%くらいがこの疾患です。
脛骨骨膜炎によるものがもっとも多いと考えられています。これは、medial tibial stress syndrome, もしくは soleus
syndrome
とも呼ばれています。15才以上のスポーツ少年少女に多く、脛骨内後方で遠位1/3の部位に限局した痛みがあります。原因は、踵のクッションが悪い、アーチサポートが不適切、グランドが硬い、準備運動不足などが指摘されています。また、足変形、外反膝、大腿骨前捻が強い、脛骨前捻が強いことなども関係しているかもしれません。鑑別診断は、stress
fracture, 座骨神経痛、腫瘍、その他です。痛みがきつければ松葉づえなどで負荷を軽減します。
8。compartment syndrome.
下腿の筋肉はいくつかに束ねられていますが、その部分が腫れ、圧力が高くなっている状態です。X線、シンチで異常認めません。運動開始後数分から数十分で前脛骨筋部に自発痛、圧痛があります。安静で直ちに軽快。
9。腰痛。サッカー選手の40%は腰痛を経験しているといわています。とくに硬いグランドを使用している場合は注意が必要です。
腰椎分離症:重要な疾患でバレーボール、重量挙げ等でもよく発生します。先天的要因と後天的要因があります。腰椎の背屈運動の繰り返しが関係していると考えられます。痛みがきつくてスポーツが継続できなければ手術的治療が必要です。