(その1)


幼い子供の頃のこと、
結婚そして出産、
戦中戦後の厳しい生活、
hako さんの長い人生の中のエピソード。
そして、
今、毎日の生活の中に生まれる新しいエピソード。
介護の合間の「エピソードの小部屋」にようこそ!




                                             
                                                 saku


さくらんぼの木


tako
さん、貴方は夢を見ますか?
私はよく見ます。
子供の頃のことをね。

役場に大きなさくらんぼの木があって
村の子供が登って食べたの
役場の人は窓から見てるだけで
あの頃は何にも言われなかった。

食べ終わると口の周りが紫になるので
川に行って洗ってから家に帰ったの







kaki


柿ノ木


これもよく見る夢

村のお寺に
大きな大きな柿ノ木が何本もあったの。
それにいっぱい柿がなったの。
家のもん、親類縁者、出入りもんみんなで
荷車に乗って、
大きな籠をいくつも積んで
柿もぎにいったんだよ
 
柿はいっぱいとれた

渋柿だったから
縁側や蔵に置いとくと
だんだん甘くなった

夢はそこまで。
(食べるとこはないの?)
食べるとこまでは見ないね
(食べるときは私も呼んでね







a



あいさつ


私のくにでは
帰るときは、みんな丁寧にあいさつをするよ
何回も、何回もあいさつしてから帰るよ


こっちの人は
きちんとあいさつして帰る人が少ないね。


人が亡くなられた時は、くにでは
「つづいて お淋むしゅございましょ」と
あいさつするんだよ。


くにでははっきり言わないで、
あいまいな言いかただね。
「有難う」は堅苦しいからね〜
「だんだん」と言うの。

くにの言葉は優しいから
話していると、
くにの人はすぐわかるのよ







ami


編み上げの革靴

小さい時、
父が東京に行く人に頼んで、
私と姉に編み上げの靴を買って来てもらった。

紐を結ぶのが大変だったけど、
どこもあたらなくて、ぴったりだった。
とても気に入って、
今思うと自慢だったんだね。
履かないで、手にぶら下げて
みんなに見せてまわったんだよ。


ある日、
その靴を履いて母の実家に、姉と二人で遊びに行った。

村の中を通って、土手を通って、ず〜っとず〜っと・・
その編み上げの革靴を履いて歩いて行ったの。






ENG


English

或る日突然、

私は女学校の時に、英語を習ったよ。
 大阪のバイカ出身の先生だった。

hakoさんが話した。

 女子大では英語は習わなかったけど、
下宿した家のご主人は
 英語がぺ〜らぺら。
奥さんもペ〜ラペラ。
 クリスチャンで西洋風な家だった。
 私はそこで英語に耳慣れたの」


 
  「朝は?」・・ 「モーニング
   
「花は?」・・・ 
「フラワー」
    ・
  
数日たって、雨降りの日

   
「雨は?」
・・「rain」
   
「木は?」・・「tree」

今度は
口で答えて、手帳に単語のスペルを綴った。






eng2


続English


リハビリの先生が:

 
「立ちますよ」

「Stand up !」

 「座りますよ」
「Sit down !」


  
「今日はこれで終わりです」

「The end」
です。






iam


I am hako


hako
さんはお勉強が大好き。

 
「今日は英語を話ましようか?」
「いいよ」

  
「おばあちゃんの名前は?」
「I am hako」

単語の記憶数はかなり多い!!

  
「おばあちゃん、すごいね」
「いいえ、ほんの cat と dog 程度ですよ」



 
 「ヘルパーさんとお風呂の中で単語のあてっこしたんだって?」

「ヘルパーさんが、
学校で英語を習わなかったから、教えて!
 って言うので教えてあげた」
と、自信たっぷりに楽しそうに話された。





2003



dou


どうにかこうにか


デイサービスから帰った母に
 「今日はいかがでしたか?」

「どうにかこうにかだね」

 
「今日は多ぜいでしたか?」

「いや、年度末だからね。
辞める人が多いね」


 
「年度末!?。。。」




2003



cyou



長男と嫁


hakoさんが長男に世話をしてもらって
うれしそうに笑っている

 
「おばあちゃん、楽しそうですね」
「楽しいよ」

 「私がお世話してるときも楽しいですか?」

「いいえ、勿体無いです」




2003




hanse


反戦論者



義母はこのところイラクのニュースを熱心に見ている。

「私の頭はおかしいけど、
この人たちは戦争したいなんて言って
みんな頭がおかしいね」

「こんなに立派な人が大勢集まっているけど、
この中に戦争反対って言う人はいないのかね」

「アメリカ人の中には
戦争に行くのは嫌だという人はいないの?」

「戦争はいやだね。戦争になったら大変だ」

「どうして戦争になるのかね〜」



2003/3/2



goumo



拷問

昨晩は泊まりのヘルパーさんがお休みでした。
そんな時にかぎって、
朝、夫の出かける時間に
「うんち!」


「しばらくかかるから、
あんたパパを送って行って来なさい」と言うので、


  
「おばあちゃんが、ズルズル落ちると困るから
   
落ちないようにとめとくね
と言うと
「ズルズル落ちて怪我をすると大変だからね〜」と納得。

夫を駅まで送って大急ぎで戻ると、
必死になってとめ具をはずそうとしているところ

  
「どうしたの?」

「tako
さん、いいところに帰って来た。
誰か知らないけど、 私をここに縛り付けた。
私は拷問されている」

「それはたいへん! 
でももう大丈夫ですよ、直ぐ助けますからね」




03/04



muka


迎えが見えたら

昼食頃になると、
きまって
hako さんは「デイの迎えが来る」と言う。

「迎えが見えたら、
今日は熱があるから失礼しますと言ってね」

  「はい、わかりました」

「迎えが見えたら・・・」
  「今日はお熱ですか? 咳ですか? 寒気ですか?」

「今日は咳です。」

「迎えが見えたら・・・」

  「今日はお熱と寒気にしましょうか」

「そんなに沢山言わないで。 寒気だけでいいです」

「迎えが見えたら・・・」

  「お熱ですか?」

「いいえ、
今日はどうもハッキリしないからと言って下さい」



 
 
2003/05



ai2


あいさつ2

昨晩は一時間おきに 
tako さん、おしっこ」と起こされた。
殆ど眠れず、朦朧として朝の支度をしていたら


「tako
さん、私の脇に寝ていたお手伝いさんは?」


  
「???」
  
「朝になったから、帰られたようですね〜」


「挨拶をしないで帰るなんて!」

  
「お手伝いさんは親切でしたか?」

「はい、親切でしたよ」

 
 「お手伝いさんはやさしかった?」

「はい、丁寧でしたよ」

  
「それでは、いいお手伝いさんでしたね?」

「さあそれはどうかしら、
あいさつ
をしないで帰ったからね〜」
 



2003/05



tnj


天神様のお祭り


hako 「今日は何日?」
「7月23日ですよ」

「7月25日は天神様のお祭りなの。
新しい着物着せてもらって、
屋形船に乗って
宍道湖を渡って行ったの。
私と姉とおじいさんと行ったの。
サーカスやいろんな動物が来て、
人でいっぱいだった。
    
姉はいつも氷あずき、
私はいつも氷イチゴ。
それがもう楽しみでね〜」
    
今年はいつまでも暑くならないので
「こんなに寒いと氷イチゴは無理ですネ」 
「そうだね。風邪をひいてしまう」
      
   でも
hako さんの心は氷イチゴの想い出であったか



2003/07



jyun


順番


tako さん、
私はこの病気でずいぶん長く寝ていたのかしら?


「どうして?」

 
 「知っている人がたくさん死んでしまったようなの。
でも私には覚えがないの。
だから
私が長く寝ていたのかな〜って思ったの」


 
 「おばあちゃんは
そんなに長く寝ていなかったけど、

  
 おばあちゃんの知り合いの人は
みんな80位の人だから、
亡くなる人が多いのよ」


「そうだね。順番だからね〜」




2003/7



kaz


風邪?


「tako さん、
今日デイの迎えの人がみえたらね〜」

「はいはい、何と言ってお断りしましょうか」

「風邪をひいたから、お休みしますと言ってね


「具合はいかがですか、って聞かれたら?」

「鼻水が出るからって」

「まだ、出てないようだけど」

「ウフフフ、これから出るのよ」

「では、鼻水が出るのを待ってるとこです、
と言うんですね」


「そんなに詳しく言わなくても、
ただ風邪をひいたと言えばいいの。
後は、ご自由にお願いしますよ」




2003/12



furu


ちょっと古ぼけたね・・


木曜日のデイで
クリスマスの飾り物を作ってきた。

    
 「おばあちゃん、とても可愛らしく出来ましたね」
「そうかしら。大概出来ているのよ。
 私は最後にちょっと貼り付けただけ」


 
「クリスマスの歌を歌いましょう
 
♪きーよし、このよる、ほしはひかり♪・・♪」


気分よく歌っていたら・・
tako さん、残念だったね。
 若くて声のきれいな時に録音しとけばよかったね」

      
 
「エツ、今の声ではだめですか?」

「やっぱりちょっと、古ぼけたね〜。
 しょうがないよ。誰でも年をとるんだから」



2003/12



mou



盲導犬クイール


hako さんと盲導犬クイールのビデオを見た。
hako さんはジーッと見ていた。
見終わってしばらくしたら

「tako さん、父は狩をしたの。
 狩の犬は
特別の犬を東京に注文したの。
 犬が着いた時、
私が駅まで迎えに行って、
 腕の中に抱いて帰ったの。
 とっても可愛かったよ」

クウちゃんが
hako さんの想い出のドアを一つ開いた。

犬の名は「ピス」
hako さんの妹が教えてくれた。



2004/2



haha


母の心


最近、
hako さんは末息子のことを何度も聞く。
「○夫は今どこの大学に通ってるの」
「○夫は何処に住んでいたかね」
・・・
「○夫さんはもう卒業して、働いていますよ
結婚をして、子供もいますよ」

と、何度話しても、また繰り返し。

「どうしているか声を聞きたい」
と、
電話をされた。

「あんた元気?」
「イラクの戦争に行かんでもいいの?」

アッ、学徒動員!

自衛隊のイラク派兵を連日テレビで見て、
末息子の事を心配されていたんだ。




2004/2



suiei


水泳



健康チェックにひっかかって、
運動を勧められたので、
週に何回かプールに通うことにした。

このことにhako さんが、興味津津。
「tako さん、泳げるの?」

「それが、残念ながら泳げないの
ばちゃばちゃしてるだけなんですよ」


「あら、泳ぐのはとても簡単なのに〜」
と、とてもうれしそう。

「子供の頃、夏は、
親が出入りの魚屋さんの家の部屋を借りてくれて、
姉妹弟達と何日も海辺で過ごしたの。
海だと、何にもしなくても
ふわりふわりと簡単に浮くのよ
楽しかった!

でもプールは浮きにくいね〜」

と、ひとしきり話した後・・、

「tako さん、泳げないの。
残念ね〜!」



2004/02


i
jint


陣痛微弱


hako さんは今抗生物質を服用しているので、便秘がち。

「tako さん、うんちがなかなか出ないの」
 
「ウンチは赤ちゃんと同じ。
時期が来ないと、出てこないようですよ」

「そうだね、では待ってましょう」

しばらくすると、
「tako さ〜ん、お医者さんに連絡してください」
「どうしました」
「陣痛微弱で赤ん坊がおりてきません

「誰のですか」
「私ですよ」
まあ、それは大変。
ちょっとお腹の赤ちゃんに触ってみて下さい」

「アラ、tako さん、おかしいね。いませんよ」

夕方
「今日は変な夢ばかり見ていたようだ」
「どんな夢ですか?」
「うふふふ・・・」と、モナリザの微笑。


「陣痛微弱はいかがですか?」
「あははは・・・」と、二人で大笑い。



2004/04



koku


国民年金

takoは、
国民年金をもらうことにした。
さて、最近の国会議員の国民年金騒動に
興味深々だったhakoさん。

私が主人と国民年金のことを話しているのを耳にして、
「takoさん、国民年金の手続きをするの?」

「国民年金を払って下さいと熱心に宣伝しているけど、
もらう時は、誰も教えてくれないので、
自分で手続きしないと貰えないんですって」


「それじゃ、早く手続きを済ませなくては」
と、本人以上に身を乗り出している。

で、今日、手続きを済ませた。
「おばあちゃん、お金が下りたら
皆でおいしいものを食べに行きましょうね」

「大賛成! 
takoさん、いいね〜。 私も、お金が欲しい!」

主人がhakoさんに通帳を見せて、
「おばあちゃん大丈夫。お金はありますよ」
ほっとしたhakoさん
主人に、「貴方、お金の必要な時は言って下さいね。
多少のことは、融通しますからね」



2004/06

    



kodo


子ども稲荷さん

最近hakoさんは、時々、
身体のあちこちが痒くてたまらない。
それで想いだしたのかしら・・・

私の田舎には子ども稲荷さんがあってね〜。
願い事を絵に描いて持っていって
ぺたぺた貼ってお願いしたんだよ。
いっぱい貼ってあった。
効き目があるので
みんなお願いに行ったんだね〜。

私は子供の頃から
いつも体中が痒くてたまらなかったから
絵の上手なよその爺さんに頼んで、
絵を描いて御参りしてもらったの。

それで、痒みが治ったんだよ。



2004/07


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