三人の見張り番
「本当に来るのかなぁ、あいつら。ねぇ、兄ちゃん」
「あん?」「なにが?」
「あ、えっと、おっきい兄ちゃん。あいつら本当に来るのかなぁ」
「だから見張ってんだろ」
「そうだけどさぁ」
「おめぇうるせぇよ。黙って見張ってろよ」

「うん・・・」
(なんだよ、ちっちゃい兄ちゃんだってあいつらのことよく知らないくせになぁ・・・あ、あれ?あれあれあれあれ)
「兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん!
誰かこっち見てるよっ!」
「なんだっ」「ど、どこだっ?」
「ほら、あそこあそこ。公園の金網のとこ」

「・・・・」
「ありゃ鹿だよ。ばーか。鹿も知らないのかよ。ばーかばーかばーかばーかばーか。ばかはこれでもくらえっ、だーっ!!」
「いててててててえっ!ギブギブギブギブギブギブッ!いってーいってー。何すんだよ、骨折れちゃうよう。いってー」
「おまえらうるせーよ。黙ってらんねぇのかよ」
「だってちっちゃい兄ちゃんが、まんじがた・・」
う、る、せーってんだよっ」
「・・・・・・・・」
(なんだよう。見張ってろって言うから見張ってンじゃんかよう。だいたい見張りは、おっきい兄ちゃんのしごとなのにい。もう何か見つけても教えてやーらないっと。 あれ、あっ、あっ、あっ?)
「あーっ!兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん、あそこあそこあそこ!!」
「なんだヨ今度は」
「あ、わかった。馬だろ、うま、鹿の次は馬っ。」
「違うよほら、あそこあそこ」
「なーにが」
「どーこに」
「ほら、あそこ、屋根の上」
「あーん?」
「屋根の上だーぁー?」

あっー!

かっ、かっ、
かせいじんだーっ!
つづく

TOP

写真の書 目次