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おもちゃのカンヅメ地球缶だクェッ!
2012.6.13

ある日のこと。

森を歩いていた私は、木々の間に恥じらうようにひそむ、小さな美しい湖を見つけた。
あまりの美しさに見とれた私は、あやまって手に持っていた銀のエンゼルを湖に落としてしまった。

ああ、せっかくチョコボールをたくさん食べてやっと手に入れた銀のエンゼルなのに、ああ。
悲観にくれていると、突然湖面が輝きはじめ、水中からとてもとても美しい女性が現れた。

体の内側から輝いているようなその女性は、ピンク色の真珠のような唇を開くとこう言った。

「私はこの湖の女神。あなたが落としたのは、この金のエンゼルですか?それともこちらの銀のエンゼルですか?それともこの、黄色いボール紙の切れ端ですか?」

女神の声も、姿かたちに劣らず美しいものだった。

そして、女神が手にした金のエンゼル。
生まれて初めて見る金のエンゼル。
それもまた女神に劣らず魅力的なものだった。

あれさえあれば、あれさえあれば、あれさえあれば…

「わ、私が落としたのは、き、き、き、き、きのこの山を買おうと思ったけどやっぱりやめて替りに買ったチョコボールで当てた銀のエンゼルでございますぅだぁ女神さまぁ」

緊張のあまり言葉遣いがおかしくなっていたが、私は正直にそう言った。

「そうですか。あなたは大変正直者のようですね。ご褒美に銀のエンゼルを5枚あげましょう」

「あ、あ、あ、あ、ありがとうございますぅだぁ女神さまぁ」

湖の女神は、私に銀のエンゼルを渡すと静かに水中に消えていった。
湖は何事もなかったように静まり返った。

正直に生きていればきっといいことがある。
死んだおばあちゃんが言ったとおりだ。どこかでどこかでエンゼルは見ていてくれるんだ。エンゼルは一枚二枚と数えるんだ。

     

こうして(若干事実と異なります)、手に入れたのがこの銀のエンゼルたち。ファイブシルバーエンゼルズ。



金なら1枚で闘えるが、銀だと5人そろわないと闘えないのだ。そのへんはスーパー戦隊と同じなのだ。
でも5人のチームワークで闘うぞ!行くぞレッドエンゼル!ブルーエンゼル!銀色じゃなきゃダメだぁっ!!

せっかく揃った5人のエンゼルだが、泣く泣く別れを告げ、5人の命と引き換えにやって来たのが「おもちゃのカンヅメ・地球缶」であった。
ちなみに現在は「地球缶」と「宇宙缶」のどちらかを選ぶシステムになっていて、私は悩みに悩んだ末、「地球缶」を選んだのだ。

5人の天使を封筒に詰め込んで(あの世に)送り出してから2週間めの土曜日にそれはやって来た。

宅配便の配達のひと(女性)が、私の名前を確認し、

「え、と。おもちゃのカンヅメ、ですね。…これって当たったんですね」
「ええ、もう何年越しで」
「すごい。おめでとうございます」
「ども」

私は家に駆け込み外箱をこじ開けた。




*以下おもちゃのカンヅメの内容紹介になります。中身を知りたくない方はご覧にならないでください*






私は家に駆け込み外箱をこじ開けた。

もういいですか?
中身の話に入りますよ。
まだですか?


私は家に駆け込み外箱をこじ開けた。

ホントにいいですか?
知らない方がいいこともこの世の中にはありますよ。
知ってしまったら2度と元のあなたには戻れないんですよ。
ひと晩かふた晩ゆっくり考えた方がいいんじゃないですか?
いいんですか?
いいんですね?

じゃ、とりあえず外箱から。



「ご当選おめでとうクェッ!!」と書いてある。
OMOCHA NO KANZUMEと書いてあるが、「カンヅメ」だと「KANDUME」じゃないかとも思ったが、ローマ字表記はこれでいいのね。
カンドゥメって読まれてもやだしね。「おもちゃのカンドゥメ」。




外箱を開けるとこんな感じ。



プチプチで包まれてます。




そして地球缶本体。



カンヅメというからには缶切りで開けるものと思い用意していたが(嘘)、はみ出している紐のようなところを引っ張っるとぱかっと開く。

ぱかっと開いた感動の瞬間は写真撮り忘れました、感動してて。
そんなわけで中身たち。



中には6個のおもちゃたち。缶の直径が14センチくらいなので、それぞれのおもちゃたちの大きさはその比率で想像してみてください。




◆おもちゃ1:カラフルキョロクリップ



「お気に入りのノートやメモなどをはさんで使ってね♪」だそうです。





◆おもちゃ2:ふわっとキョロパラシュート



投げるのにちょっとコツがいりますが、小学4年生の娘が意外と楽しんでました。








◆おもちゃ3:ぱたぱたすると絵が変わる
キョロちゃんパタパタブック



パタパタ



パタパタ



たこ足迷路も楽しめます。






◆おもちゃ4:のぞいてわくわくキョロレンズ



まぁ虫眼鏡ですね。「キョロちゃんパタパタブック」を見てみました。






◆おもちゃ5:森を走るGOGOキョロちゃん



チョロQみたいのですね。
せっかくなので走らせてみました。
動画をご覧ください。





そして、たぶんこれがメインじゃないかなって気がする、
◆おもちゃ6:絵が出る砂あそびキョロボール



密閉されたボールに緑色の砂が入っていて、ひっくり返して砂が落ちると絵が立体的に浮かび上がる。



↑↑これが、
↓↓こうなる。






裏は世界地図。



↑↑これが!
↓↓こうなる!



単純な仕掛けだが、やるたび砂の凹凸が変わるので、味わいがある。ような気がする。
都会の生活に疲れた私は何度も何度も繰り返して癒された。ような気がする。

キョロちゃん、世界地図、キョロちゃん、世界地図、キョロちゃん、世界地図、キョロちゃん、世界地図、と見せかけてもう1回キョロちゃん!あ失敗した。
手早くやらないと砂が偏って無砂地帯ができてしまうのだ。



こうして、ひととおりおもちゃのカンヅメを堪能してベッドに入った私だったが、眠りに落ちる直前に大変なことに気付いてしまった。

「砂あそびキョロボールは、なぜ表と裏で違う絵が出てくるんだろう?」

真ん中の板に穴が開いてるんだから同じ絵の反対向きになるはずじゃないか!
気になってよく眠れなくなってしまった。

翌朝、日曜日なのにいつもより早起きしてよく見たら、真ん中の茶色い板が2重になっていたのでした。やるなキョロ。

そんなわけで。
何年か越しでエンゼルを集めてついに手に入れた「おもちゃのカンヅメ・地球缶」。

おもちゃで遊ぶ楽しみとともに、「あきらめなければチャンスはある」ということを教えてくれたのです。
これからの人生、簡単にあきらめることなく生きていこうと心に誓う私でありました。

などといい具合で感慨にふける私の横でキョロパラシュートを放り投げたり、GOGOキョロちゃんを走らせていた妻が眼をキラキラさせて言った。

「こうなったら宇宙缶も欲しいね」

妻よ。
欲張りな木こりは何も手に入れることができないのだぞ。

といいつつ、夕方の買い物では、チョコボールをそっとカゴに入れる欲張りな私であった。

ゴールしたと思ったらまたすぐスタート。
昔観た映画『激走!5,000キロ』みたいだ。

マニアックな締めですまん。


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