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500HIT記念作品

 ある星の宇宙人は、記念にまみれた生活を送っていた。
 その宇宙人たちは、途方もない時間、何代にもわたってその星で繁栄していた。その多くの時間の中で、科学、政治、芸術などあらゆる分野から偉人が誕生した。そして彼らの功績を讃えるため、その星では偉人たちの誕生日を記念日に制定し、休日とした。
 しかし、はじめのうちは、一年に十日ぐらいだった記念日も、長い繁栄の中で生まれた多くの偉人により、一年のほとんどを休日が占めるようになっていった。記念日を廃止しようという意見も出たが、どの偉人の誕生日を記念日から外すかということが問題となり、議論が行き詰ってしまった。
 そんなことで揉めているうちにも、偉人は誕生し続けた。最終的には一年中すべてが記念日となり、誰も働かなくなった。そうしてその星は緩やかに衰退していき、最終的に宇宙人たちは絶滅してしまった。
 宇宙人たちが絶滅してしまってから長い時間がたったある日、別の星からの移民がやってきた。彼らは探索の結果、この星で生活できることが判明し、ここに住み着くことにした。そして移民の族長が言った。
「この星には、以前住んでいた人たちの文明が残っている。それを利用して我々は暮らしていこうと思う。彼らがなぜ滅んでしまったのかわからないが、彼らへの感謝の気持ちを忘れないために、今日を記念日として、休日にしようではないか」

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