HOME

あなたは

 あなたが夏の日の昼寝から目を覚ますと、家の中の雰囲気がいつもと違うのを感じる。あなたは小学生で今は夏休み中だ。部屋に差し込む夕日があなたを不安にさせる。
 あなたはクーラーの効いた寝床から起き出すと、家の中を探索する。リビング、トイレ、風呂と確認していくとすぐに違和感の原因に気づく。家族が誰一人として家の中にいない。あなたが昼寝を始める前は、確かに家の中に家族がいた。あなたの不安はさらに大きくなる。クーラーのうなる音が大きく聞こえる。
 あなたは玄関に行き、靴を数える。家族の靴は全部そこにある。家族は外には出ていないだろうとあなたは考える。家のどこかに隠れて、からかっているのだろうと家の中をさらに丁寧に捜す。
 結局あなたは家族を見つけることはできない。気がつくと日は完全に沈み、蝉の声も聞こえない。クーラーのうなる音がさらに大きく聞こえる。
 夜の十一時まで待ってみたが、家族は誰一人姿を現さない。あなたは小学生なので、夜の十一時はものすごく夜中のように感じる。朝、目を覚ました時には家族は戻っているだろうと考えて、寝ることにする。あなたは電気をつけたまま、布団に入る。早く寝てしまおうと目を閉じるが、昼寝をしてしまったのでなかなか眠れない。クーラーのうなる音がさらにさらに大きく聞こえる。

HOME