1974 YAMAHA U3H
製造から50年も経過したものが、主要部品を交換せず比較的簡単な調整を施しただけで再販される...
複雑な機構を持つ製品や機械という括りで、身の回りを見渡してもそんなものは他にはないんですよ!
車ならケンメリとかセリカリフトバックの時代なので、当然フルオーバーホールが前提になるでしょう。
音が出るという共通点でステレオやレコードプレーヤーなども、電子部品の劣化は1か所や2か所では
無いでしょうし、その部品の調達も技術者を探すのにも苦労することでしょう。
他によく比肩されるミシンにしてもモーターか機構のどこかに欠陥が生じていて、直すより新しいのを
買った方が安くて高性能、直すなんてナンセンスといった結末は容易に想像がつきます。
屋内で保管されるということと、あまり使用されていないことが多いなど差し引いて考えてもこのヤマハU3H
という製品は異常である! と常々思っています。
ヤマハに限らずピアノは皆そうだろうとお考えになる方も多いと思うのですが、それは違います。
U3Hは中古市場でもたくさん出回っているので価格を検索していただければわかるのですが、いまだに30万円
前後で取引されています。
外装を部分補修と研磨で(全塗装ではない)綺麗にしてある、内部は整調・整音(弦やハンマーなどを
新しいパーツに交換しているわけではない)で整えてある。
冒頭でもご説明したとうり50年前のものを商品化するにしては簡易なメンテナンスです。
じゃあそれはその当時U3Hに使用された弦・ハンマーAssyなどの主要パーツが特別優れていたのか?
いえ、そうではありません、パーツ類は他のピアノと同じように劣化しています。
U3Hは本体が劣化していないので、簡易なメンテナンスでパーツの劣化をカバーしやすいということなのです。
そんなのこいつくらいだよ!
このU3Hはある種の過酷な使われ方をしていたので弦とチューニングピンを交換する必要がありました。
その分ピアノを安く入手しているのでこの価格が実現しています。
(弦とチューニングピンの交換は一般的に20万円程度の作業料がかかります)
弦を張り替えたU3Hを耳にする機会は少ないと思いますので、
レスローワイヤーの張られたこのU3Hを是非1度鳴らしてみてください。
¥330,000
部分補修と研磨でここまで綺麗になります。
低音弦に使用する銅線は
デーゲンというメーカーの
超軟銅線を使用して、
1本ずつ手作業で製作しています。