2010年9月8日(水) 新学期がはじまりました
9月になって、学校が始まった。
ドンパレープ図書館も、開館日を土日に変えた。平日は、みんな学校だからだ。
図書館の常連の小5の女の子たちは、中学1年になった。学校は9月1日から始まっている。ドンパレープには中学がないので、子どもたちは隣町の、ホンカー中学に通いだした。夕方4時頃、友人との約束していたので、町の中心部に向けて自転車を漕いでいたら、学校から自転車に乗って帰る子どもたちにすれ違った。まだ真新しい白いシャツを着て、紺のシンをはき、「きよこぉ〜どこ行くのよぉ〜」と大声で手を振ってきた。なんてことないことだけど、知り合いの子どもたちと道で手を振れあうのは嬉しいことだ。少しお姉さんらしくなったみんなが、これからも図書館と一緒に育ってくれればいいなぁ・・・と思う。
さて、私は、中学生とは違って、中年なので、友人と待ち合わせをしてマッサージをした後、夕食を一緒に食べ、夜8時前頃に、また自転車で道を戻ってくると、ドンパレープ寺を過ぎたあたりで、また道向こうから、子どもたちが呼ぶ。「ウアイ・キヨコ〜」
「今日は、お寺のウィエンティエンの日よ、行こうよ、行こうよ」
常連の女の子たちの、ノイとお姉さんのトイ、ターイである。
「これから行くの?」「うん、一緒に行こうよ」
ということで、家にたどりつく前に、方向転換して、お寺へと向かう。
お寺では、毎回、ワンシン(仏様の日)に、ウィエンティエンという行事が行われている。特に今日は、ブン・ホーカオパダップディン(ちまきの日?)という日で、みんな、もち米とちまきを作って、朝は、お寺に托鉢にやってくるという日であった。ただ、私たちは、昨夜、ダンナが熱を出して寝ていたこともあり、ちまきを作りもしなかたっし、朝も早起きできなかったので、托鉢には来なかったが・・。とうことで、今日のウィエンティエンは特別たくさんの人たちが集まっていたようだ。
お寺の参道は、もう、日本でいったら縁日みたいで、風船割り(風船に、ダーツのような針を投げつけ、当たったら、ジュースやら景品がもらえる)、ビンゴなんかが、あちこちに出ている。まぁ、図書館の常連たちもみんな来ているし、なんと、若者たちの多いこと。夜遅いから、小さな子は少なく、若者たちがたくさんお寺にたむろしている。
子どもたちが、「お坊さんに、糸を結んでもらいに行こうよ」と言う。
奥のお寺の一角には、お坊さんが座っていて、1000キップ、2000キップ(10〜20円くらい)お布施をすると、お経?を唱えながら、手首に糸を結んでくれる。お財布をのぞくと、小さい札がない。10000キップ(100円くらい)しかないので、それを、一緒にいた子どもたち、6人くらいと私の分としてお布施して、手首に糸をまいてもらった。
「ほぉ、ドンパレープの川沿いで、図書館やっているんだね。どんな本があるの?日本語教えているのかい?」
お坊さんは、子どもたちに糸を結んであげるためにお経を唱える合間に、あれこれ、質問をするのに忙しい。興味津々のようである。
「日本語は教えてないけれど、じきに子どもたちが学びたければ・・・」と答えたら、隣に座っていた中1のスムが、「ほんと?」と目を輝かせて、私の顔を見る。「ははは、できればね」。
それにしても、こうして子どもたちは、お坊さんに接しているんだなぁ・・・・
「花を買うのよ」
と言われて、これも1束1000キップの花を買う。ろうそくと、お線香が一緒に束ねてある。お金を持っていなかった、ターイとノイの分も買う。
お寺の前では、一人のお坊さんがマイクを持って、ずっとお説教のようなお話をしている。回りでは、デート気分で一緒に話している若者もいるし、写真やさんまで出ているので、記念写真を撮ってもらうカップルもいる。そうかと思うと、爆竹をならして走り回っている男の子たちもいる。まぁ、にぎやかである。でも9時前になると、何百人のもの、若者を中心とした男女が、お寺の前に座り、手を合わせてお経に聞き入る。その間、携帯電話をいじっているのもいたけれど、真剣に手を合わせ一心にお祈りしている人もいる。
ここにこんなに若者が多いのは、近くに縫製工場があるせいである。地方から出てきた若者たちが大勢、普段は縫製工場の壁の中で働いている。こうした、お寺の行事が数少ない楽しみのうちの一つなのか、故郷に思いを馳せながら、祈るのか・・・・
お経の後、いよいよウィエンティエン・・・ろうそくに火をつけて、たいこや鐘をたたくお坊さんの後ろについて、お寺の回りを3周歩く。振り向いてみると、子どもたちや若者たちのたくさんの顔が、ろうそくの火に映し出されて美しい。
ラオスの子どもたちは、遊び半分であっても、こうして日常的にお寺にやってきて、お坊さんのお説教やお経を耳にして育っている・・・・だから、若者になって地方から出て来ても、お寺が大切な心のよりどころとなっているのだろうなぁ・・・などと思いながら、暗い夜道を子どもたちと一緒に帰った。
「土曜日には図書館においでよ。じゃあね、おやすみ」
9月11日(土) 図書館の小さな常連
今日は、カオさんはお休み。先週の日曜に、94歳のお婆さんが亡くなって、そのお葬式など一連の儀式が明日日曜まであるからである。
彼女は、図書館の仕事が終わると、家に帰って(親戚の家なのだが)、お婆さんの面倒を、みんなで一緒に看ていた。最後は、もうご飯も食べられず、ドロドロにした液状の食事しか食べられなかったそうだが、先日、「お婆さん、もうそれも口にしようとしないの」と言っていた。その矢先亡くなった。寝込んでから2年だそうだが、家の人たちがみんなで協力して、お世話をしていた。先日、家の前を通りかかった時、椅子を外に持ち出して、やせ細ったお婆さんを、水浴びさせている姿を目にした。今の日本では、全部、「介護保険」などになってしまったことであろう。最後まで、家族の手で看護されたお婆さんは、幸せだと思う。
さて、ということで、今日は、私と助っ人のダンナの二人。
朝、まず走りこんできたのは、ターイとブムの姉妹。小2と幼稚園である。お母さんが、まだ大学で勉強しているそうだが、ターイは、小2だが、とてもよく本を読める。今日は、一生懸命、紙芝居を妹たちに読んできかせていた。
日本語の絵本も何冊も抱えて来て、読ませられる。「ちょっと休ませてよ」と言っても、「ダメ、これ読んで!」と容赦ない。また、私が、訳に詰まると、「ほら、ここに書いてあるでしょ」と、日本語を指すのだが、「だけど、それを訳すラオス語がわかんないんだよ」と私。まったく手厳しい。
この図書館では、一応、小3から本を借りていいことになっている。この9月はじめに、小3になったばっかりの女の子フォンが、この前、嬉しそうにカードを作って、嬉しそうに1冊だけ本を借りて行った。今日は、3冊借りて行くという。ターイは、本当はフォン以上に本を読めるのに、まだ2年生だ。
「私は借りられないの?」
「本当は、3年生からってことなんだけどね・・・」でも、あと1年待たせるのは長い気がする。
「でも、いいや、あんたは字もよく読めるしね、ちゃんと責任持てるね。」というと、ウンとうなづく。さっそく、ターイも3冊選んだ。本を借りていく子どもたちは、とてもうれしそうだ。
紙芝居を読む、ターイとフォン
最近、よくやってくる、ティウという小1の男の子。毎回、「じてんしゃにのるひとまねこざる」を探し出しては、抱えてくる。
「さるの名前なんていったけ?」
「ジョージ」
「さるの本、ぼく読んでほしいなぁ」と言っては、その本を差し出す。
今朝、家の本棚の方に、「ひとまねこざる」があるのを見て、図書館の方に持って行って
「ほら、これもジョージだよ」と言って、見せると、さっそく何度も読ませられる。
それにしても、ジョージの絵柄も、ストーリーも、ホントに面白い。子どもの心をつかむツボを得ているなぁ・・・・と改めて感心。ロングセラーの絵本はすごい。
モンの村の、5歳の男の子トゥージェも、一時期、「これが最高なんだよ」と言って、ジョージを持ち歩いていたけれど・・・サルのような男の子が、おさるのジョージが大好きなのは、面白い。
ずっとこの2カ月くらい顔を見せなかった男の子ターがやってきた。3日前のお寺で、顔を合わせたので、「なんで来ないの?おいでよ」と言ったら、ホントにやってきたので、嬉しかった。午前中も午後も来て、本を借りて行った。背は小さい子だが、いつのまにか、中1だそうだ。
ダンナの方は、読むのが得意でないのだが、小さい子に「読んで、読んで」とせがまれて、仕方なく絵本を読んでやっている。慣れていないし時間がかかるので、子どもも辛抱強く聞いているが・・・・「いいこと、いいこと」と私はほくそえんでいる。。