2013年10月12日(土)  久しぶりの図書館 と くず鉄

 久々の、家の隣のドンパレープ子ども図書館。 
 私が日本に戻っていたので、1か月とちょっとぶりだ。9月から新学期で、子どもたちは、一つずつ学年を重ねている。中学生になった常連の子が、友達を連れてくるようになったのか、新しい顔も増え、みんなが本を借りていく。 子どもたちの顔ぶれは入れ替わるが、こうして子どもたちが、好きなように来られる場所…はやっぱり、いいんだろうなぁ…と思う。
 夏休みの間、私は、自分の原稿に追われ、あまり図書館に顔を出さなかったのだけど、やっぱり、なるべく子どもたちと時間をともにしたい…と改めて思う。

 日本語の科学絵本、「太陽のふしぎ」を持ってきて、私に説明してくれ…という子もいる。太陽の黒点の話やら、太陽は水素ガスでできている・・・だの、なかなか説明はできないが、一生懸命聞いている。子どもたちは、それぞれいろいろな方面に興味を持つようになっている。


たまにやってきて子どもの相手をしてくれるアナチャックくんと男の子

 さて、午後、図書館の前の道(川の土手沿いの道)を、図書館の裏に住むPちゃんと男の子数人が必死に掘り起こしている。
「何やってるの?」
「くず鉄!」
 この道は、私たちが何度も石や土を入れてならし、少し高くしたのだが、その時に鉄の棒が一緒に埋め込まれていたのだ。それを掘り出そうと、Pちゃんと子どもたちは、スコップで道を掘り起こしている。鉄の棒にスコップをあて、てこの原理で、みんなで体重をかけてみたり…あれこれ一生懸命に試している。土に深く埋まっている太い鉄の棒はそうは簡単には掘り起こせそうにない。
      

「くず鉄1sが、2000キップ(20円)なんだよ。ぼくならやらないぜ。そんな汗びっしょりになってさ」
と、一人の男の子は冷めた顔をして、その熱い子どもたちを遠目に見ている。
「でもさ、おやつ、買えるじゃないの!」
と、Pちゃん。
 Pちゃんのお父さんは、酒飲み。お母さんは離婚していない。Pちゃんは、おばあさんがペットボトルを拾ってお金に換えるのを手伝っている。他の子の境遇も似たり寄ったり・・・・お小遣いを十分にもらえるような子はいない。

 道を掘り起こしている子どもたちを見て、「そんなことしちゃダメよ」と言うのが、本当なのだろうが、こうして、自分たちで「おやつ代」を稼いでいる子どもたちのあまりに一生懸命な姿に、頑張れ!と声をかけたくなって、私も家でいらないくず鉄はないだろうか? と探しに家に戻ったところ
「やったぁ〜」という歓声が聞こえてきた。
 出てみると、子どもたちが、掘り起こしたくず鉄を入れたビニール袋を持って、交換に行こうとしていた。
 みんなで力を合わせて、掘り出した戦利品!
 身体は小さいけど、みんなの先頭に立ってあきらめなかったPちゃんが、えらくたくましく見えた。


 



 みんなで、おやつを山分けして食べたんだろう。きっと、おいしかったろうな・・・・

 こんな子たちが、図書館に来ている。