2013年11月10日 読書をする子どもたち
 
 このドンパレープ子ども図書館は、図書館というよりも、遊び場としての役割が強い…と思ってきたが、いつのまにか、読書をする子どもたちが育ってきている。

 一人、いっぺんに10冊以上借りて行く子もいる。最近急に背が伸びた中1のボーイは、絵を描くのが好きな静かな子だが、本もたくさん借りて行く。貸出しカードの記録をしていた、図書館スタッフのカオさんが
「ボーイ、シエンミエン(ラオスの一休さんのようなとんち話)の、新版も旧版も両方借りたの?」
と聞くと、ボーイはうなづき
「読み比べてみたんだ」と言う。
「文章も全部違うの?どっちが面白かった?」ときくと
「新しい方かな?」と。
 つい最近まで、絵本を読んでいた子が、どんどん読書力をつけていくのに感心する。

ボーイが借りた本のカード

 小1のナナーは、文字を手で追いながらも、根気強く読みつづけ、長い絵本を読み終える。
 
 小4のターイは、タイ語の絵本を読んでいる。図書館にはあまりタイ語の本は入れていないのだが、この絵本は、相当古い本で、他のNGOから「人気のない本だけど…もう使わないからもらってくれる?」と言われて、もらった絵本なのだ。ターイは、次から次へ、ずっと読み続けている。ここの子どもたちは、タイ語は習っていないが、文字が近い上、子どもたちはタイ語のテレビをずっと見ているから、結構読めてしまうのだ。
「これ、他の図書館で人気がないからってもらった本なのよ」
と言うと、
「本に人気があるとか、ないとか・・・・関係ないよ。全部面白いわ」とターイは言って、真剣に読み続けている。

本を読むターイ(左)とナナー

 
 一方、昨日、ここのところ、ずっと姿を見なかった女の子がやってきて、ひとしきり話をして言ったが、
「春には子を産むのよ」と言うではないか。彼女が、つい数か月前に結婚した…とは聞いていたが、まだ15歳くらいだ。3年前に図書館をはじめた頃には、まだまだ、普通の子どもだったのに…なんだかびっくり…。彼女の父親が再婚した継母も、父親も酒飲み、彼女が小4で学校を辞めて、皿洗いのバイトをして、家計を助けていたりしたが、結局、バイトも続かず、いつのまにか結婚した。お姉さんも、毎日図書館に来ていた常連だったが、引っ越してからは来なくなり、もうずっと姿を見ない。今は男を追っていってしまい、ずっと家族とも音信普通になっている…と言う。少しでも幸せになってくれればいいが・・・・いったいどうなっていくだろう? 

 生まれ育つ環境を超える…ということは、本当に難しい。
 
 本で子どもが出会う世界は、環境を変える一つの方策になるとは思っているが……どうにもならないことの方が大きい。でも、真剣に本を読む子どもたちの将来が、少しでも明るい方向へ進むことを願わずにはいられない。