11月17日(火) 干物
 

 昨日作った干物を、今朝食べた。不思議なことに、日本の干物の味がせず、ラオスの干物の味がした。ここはラオスだから、当然かぁ・・・・
 日本に滞在中、なぜか、母がいきなり干物作りをはじめ・・・・うちは東京の普通の住宅地住まいで漁村ではないのだが・・・・活きのよいサンマやイワシを買ってきた時、開いて塩して、物干し竿に、洗濯ばさみで干しておけば、ほんの数時間で、うまい干物になるのである。これは、美味であった。
 その話を、ラオスの旦那にしたら、「やろうぜ」と言う。ここで、どの魚を干すんだい?と思ったが、昨日朝起きぬけに、「市場にジョギングで行く」という。「魚買って帰りは歩いて帰ってくる」というので、私も、いつものジョギングコース(といってもまだ数日なので、いつもの・・・などというのはおこがましいが・・・)とは違うが、市場へ2人で走って行った。
 
 ラオスは内陸国である。当然海がない。アジはタイから来ているという。そりゃ、陸路はるばるタイから来ているのだから、冷凍と言ったて、カチカチのわけじゃないし、どう見てもいまいちである・・・・・・サバもある。サバの生き腐れなどというのに、平気なのかなぁ・・・と思いつつ、アジとサバを買った。帰りは、魚の他に野菜やらを持って、とことこ歩いて帰る。
 ダンナは背開き、私は腹から開く・・・・「そういえば、日本の干物ってどっちだっけ?」とか思いつつ・・・(これも定かなことは知らないが、両方あるはずである。四国の干物は頭が丸だから、頭が食えない・・・と以前、東京から四国に越した友人が言っていたような気がするが・・・・これも定かではない)。
 開いて、塩をして、そして、物干し竿に干そうにも、日本のように便利な、洗濯もの干しがうちにはない。仕方がないので、壊れた扇風機の前についているカバーのはずれたのがあったので、それに魚を並べ、なるべく風の通るところに置いておく。
 またたくまにハエがぶんぶん・・・・・ハエよけの網を考えなくちゃ・・・・と思いつつ、まぁ、今日は仕方ない・・・と、干物干しにハエは、風物詩かも??
 犬どもが、物珍しげに眺め、ネコに盗られることもなく、無事?干物はでき・・・さっさと冷蔵庫に閉じ込められたのだ。
 その干物を今朝焼いて食べた。なるほど・・・・同じアジのようだが、どこか違うのだ。、新鮮度が落ちるのは、土地柄いたしかたないとしても、アジも、当然、育つ場所によって違うのだろう。まず、皮が違う。皮がこちらのはより分厚いし・・・・身のジューシーなふっくら加減も違う。うーん、まずいわけではないのだが、鯵の干物というよりも、前に食べた、旦那の母手作りの淡水魚の干物と似ている味がする。不思議だなぁ・・・・これは、一応、はるばるやってきた海の魚なのだが・・・・・それでも、あまり海の味がしない。
 やはり、地場のものを食べるに超したことはない。けど、まぁ、ここしばらくは、このヴィエンチャン干しのアジの開きを食べることになりそうである。







11月13日(金)
 ヴィエンチャンの朝


 そうか、13日の金曜日か・・・と、今気がついた。今日のヴィエンチャンは、雲ひとつない青空、日差しは暑いけれど、風は気持ちいい。

 1か月と2週間ほど日本にいて、一昨日、再び、ラオスに戻ってきた。たった1か月だというのに、とても、庭の木々が伸びていて、驚いた。雨季の終わりから乾季のはじめにかけての、ひと月の間に、こんなに成長するのか・・・・葉をすっかり落として、まるで枯れ木のようになった木があるかと思うと、ずっと枯れてしまったと思っていた木から新しい葉が芽吹いていたり・・・・植物たちは、この雨季と乾季がはっきりと分かれた土地に適応したそれぞれのやり方で、ちゃんと生命を維持する装置を持っているのだろう。その生命力に驚く。

 いない間に、お隣の家が、家を壊して引っ越して、そのせいか、やけに日当たりがよくなっている。家は、トタン板で作った、(悪いけど)バラック小屋みたいな家だったのだが、引っ越すときは、解体してその材料一式を持っていったのだ。家ごとなくなっている。モンの家の引っ越しもそうだ。モンの場合は、家を解体すると、柱から壁板から、すべての材料を持って引っ越す。元々移動民族のせいか、そうして家を移すことが、あまり苦ではないらしい。家具も所有物も少ないから、結構気軽に引っ越す。それに引き替え、私などは、ラオスの滞在中にさえも、荷物が増えて、どうしてこうものを溜めてしまうのだろう・・・・と反省するが。日本人の引っ越しはこうはいかない。

 これまでは、ヴィエンチャンでさえも、土地が結構空いていただろうし、気軽に空いているところに家を建てて住みつけたのだろう。ここでも、だんだん土地の制度が整い、そして、土地が高くなりつつあるから、今はそうはいかないだろうが・・・・
 人間は、地球の土地を、まるで自分たちの所有のごとく区画分けして、売り買いしたり、貸し借りしたりしているんだから、考えれば、へんてこな話だな・・・と思うけれど。ラオスでは、これまでは、人口も少ないし土地が有り余るくらいに、感じていたけれど、最近は、どんどん土地がなくなっている。私がよく行く、ヴィエンチャン県内の某村の回りは、ほとんどが中国人に土地を買い占められたとのこと。そんな状況になると、自分の土地がないと、住めなくなる。農作業をやっている人たちはもっと大変だ。
 元々は誰のものでもなく、地球の土地なのに・・・・恐竜が住み着いていた頃と同じ大地の隅っこに、私たちは生きているのにな・・・と思うと、なんだか不思議である。

 今朝、ここに住みはじめてから初めて、走った。日本ではたまにジョギングをするが、ラオスでは、つい暑くて、雨季は泥、乾季は砂埃で、走る気にならなかったのだが、朝、起きぬけに、ほんの20分ほどであるが、家の前を流れている、お世辞にもきれいとはいえない川沿いを走った。途中、3人ほどジョギングやウォーキングをする人とすれ違った。この1か月で、水がうんと減って、ゴミなどが見え、ますます川は汚いのだが、そんなところでも、道々、鶏や牛の鳴き声が聞こえてくるのは東京とは違う。ジョギングを終え、家で腹筋や腕立てをしようと寝そべると、なぜか、うちの犬、メリーとペプシが、私を盾にうーっ!と戦いをはじめ、腹の下はくぐるわ、脚の上には乗るわ・・・・で、大騒ぎになった。
 1回走っただけであり、3日坊主に終わる可能性の方が大なので、えらそうなことは言えないが、何かやろうやろうと思っていて、ずっとできなかったことを実行に移せた時は、少しうきうきするような・・・ちょっと嬉しい。

 今、さかんに赤い花をつけている。名は知らない。