2011年5月28日(土) ラオスに帰ってきて

 ラオスに戻ってきました。この1カ月の日本滞在は、いつもよりとても長く感じた。と言っても、ラオスに帰りたくなったからではなく、今回は、なぜかいつもよりも、ラオスのことを考えずに、すっかり気持ちはラオスから離れてしまっていた。そのくせ今回は、いろんな友だちに、「日本に戻ってきたよ、会おうよ」と連絡をとらなかった。あまり仕事も入れなかった。私は、ただ日本にいたかった。
 地震におそわれ、津波におそわれ、そして原発事故におそわれている日本に、私は帰りたかった。ラオスにいて、ニュースを見た時、いても立ってもいられない気持ちがした。ただ、私が帰っても、何もできないけれど、ただ、日本に、日本にいる人たちと一緒にいたかった。

 私自身は、家も何の被害もなかったし、家の回りも、多少、電気が暗くなっていることや、電車のつり広告がいつもより少ないことなんかを除いては、一見、大して変わっていないように思える。ただ、やはり、日本は変わった。変わったように思えた。

 実際に、被災地のほんの一部であるが、見せて頂き、そして、日々のテレビや新聞のニュースを見ていても、出口の見えない、本当に何もかも失って、これまで積み上げてきた人生を失ったり、これからの将来を失ってしまったり・・・大切なものをすべて失ってしまった人々・・・・まだ呆然と立ち尽くしているようなそんな状況・・・・そういう方々が、本当にあまりにもたくさんいらっしゃる・・・・まるで人生が変わってしまった人々・・・・が、たくさんたくさんいる日本は、やはり、今までとは、うんと変わった気がする。

 発展し続けていく・・・なんてことはありえない。地球はそれを許さないようになっているのかもしれない。もし、地震に意志があったのならば、きっと、東北地方を選ばなかっただろう。東京が直撃されていたかもしれない。ただ、地震や津波は、まったくの地球の自然現象なのである。決して地球は人間にやさしいばかりではない。その地球の厳しい現実のその、隙間に人間は生まれでて生きているのだろう。
 自分も、いつ、吹き飛ばされるかわからないような、はかない存在の一人だ・・・と思うと、本当に生きていることを有難く思う・・・・そんなことを感じられる日本は、やはり変わった。


5月29日 相変わらず、犬のこと・・

 またまた相変わらず、犬のことで申し訳わけないけれど・・・・
 子犬が大きくなって、もうもう、かわいいやら、大変やら。
 4匹の子犬は、私が先月、日本に向けて出発する3日前に生まれたので、出てくる前は、まだ本当にネズミみたいな大きさで目もあいていなかった。1カ月と少したった今、もう4つの小さなマリみたいにころころして、ころころころじゃれあっている。まだ、おっぱいは飲んでいるが、ご飯も食べるようになった。



 かわいいのは、も〜、うんとかわいいんだけど。まぁ、床のあちこちに、おしっこ・・・あれ?と見るとうんこ・・おいおいと言ったって、まだまだおっぱい飲んでいる赤ちゃんなんだから、仕方ないけれど・・・・いやいや・・・・子犬のあとを追いまわして、おしっこやうんこの世話をしていたら、もう1日、何もできない・・・こりゃ、困った。でも、子どもがいるというのは、こういうことなんだろう

 最初は、私のことを怖がり、みんな隅っこに入り込んで出てこなかったのに、次の日には、もう足音を聞いただけで、足元にとびついてからみついてくるようになった。ろくろく顔も見えないだろうから、足と匂いで覚えるのだろうか。
 面白いのは、このいたいけなおチビ犬たちのことを、同居犬である、オスのペプシとラッキーが怖がっていることである。チビ犬たちが、無邪気に近づいていくと、困ったような顔をして、あたふたと逃げだすのである。まったく、どこが怖いんだよ・・・と思うけれど、彼らにとっては、自分と同種の犬とは言い難い不思議な物体に見えるのだろうか・・・・
 このオス犬たちは、チビたちの父親ではないのだが、不思議なことに、子犬のうちの1匹は、ペプシと同じうす茶色。2匹はラッキーと同じ黒。そして残りの1匹は誰にも似てない白に黒ぶちで、母親のメリーと同じ色の子犬はいないのである。
「黒はラッキーの子で、茶色はペプシの子だね」などと言う人もいて、「そんなことあるわけないだろ〜」と思うけれど、子犬の色とは不思議である。で、黒の子犬は、しきりにラッキーを追いかけ、茶色はペプシに近づこうとする。オス犬たちも、こわごわと鼻を近づけていったりするけれど、やっぱり、「こりゃ、なんつう物体だい?イヌ〜?おら、わからん、おら、ダメだ!」という顔をして、きまり悪そうにあたふた後ずさりしたりするのである。
 そんなこんなで、相変わらず、てんやわんやな日々が始まる。
 ちなみに、白黒ぶちの犬は、パンダ。茶色はポチ、黒の尻尾の短い方は、クマちゃん、そして、黒の尻尾の長いのは、最後に生まれてきた末っ子なのだが、その意味のラオス語で、ラー・・・・と私は勝手に呼んでいる。みんな、元気に大きくなれよ!

   
パンダ             ポチ        黒のあとの2匹は、またこの次のお楽しみ。