2012年2月

青いバナナ                           2月8日(水

 昨日は、満月だったが、ラオスの暦では、3月の15日目にあたる。そして、ワンシンと呼ぶ仏様の日であった。ワンシンは、仏様の休養日である。だから、その日には、ピー(霊)たちが、仏様の監視なく、自由に動き回る日だと言われる。
 
 さて、そのワンシンの日には、家の中の神棚のような場所(仏像は置いてあるが、先祖のお位牌などをまつるわけではないので、仏壇ではない)と、庭の隅に立ててある、やはり家の土地の守り神のような祠に、お花をあげ、お線香をあげ、そして果物などのお供えものをする。
 うちでは、それは、旦那のノイの役である。(いろいろやり方があり、日本人の私には正しくできない)

 さて、前回のワンシンは、だいたい1週間前であったが、その時、ノイは、やけに青いバナナをお供えした。青く固いバナナで、2日ほど前、やっと熟して食べられるようになったので、私は、お供えもののバナナを祠から、とって、家の中においておいた。
 今、実家の村から、義父、義兄、義弟の3人がここ1週間ほど家に滞在している。いろいろ大工仕事をしてくれていて、泊まり込んでいるのだが、みんな、そのバナナを食べた。(私も1本食べたが・・・)
 翌朝、義弟が、
「昨日、夢みたんだよ。僕は、神棚のある部屋(彼らが寝ている部屋)に座っていたら、老人と若者が現れて、若者が、『おまえの食ったバナナはうまかったかい?』ってきくんだ。『おいしかったよ』って答えたら、『いやぁ、まずかった。全然熟してない。もうちょっと熟した黄色いバナナじゃなきゃあなぁ・・・』って言って消えたんだよ」
と言う。それから、義弟は
「それで、起きてみて、あれはなんだったんだろうなぁ・・・・って考えたんだけど、あのバナナはお供えもののバナナだったんだろ?」
と言う。ノイが答えて、
「そうだ。この前、お供えしたのは、すごく若くて青いバナナだったからなぁ。それで、まずかったのかぁ」と笑った。
 
 前回のワンシンの時に、お供えもののバナナを食べにきた、ピー(霊)が、青いバナナにがっかりしたんだろう。それで、そのバナナを食べた義弟に夢で訴えた。私も、バナナを1本食べたのだが、私の方は、感じる力がないのである。

 そんなわけで、昨日は、ノイは、ほとんど食べごろの黄色いバナナをお供えした。庭の祠の前でお線香をあげる時に、なぜか犬のメリーが、ずっと一緒に座っていて、クーンクンクーンクン言っている。
「もしかして、ペプシが来ているの?」
 まさか・・ではあるが、もう死んでしまっているかもしれない、いなくなってしまった犬、ペプシがの霊が来ているのだろうか? メリーは祠に向かって座って、しばらくクーンクンンいっていた。

 そういえば・・・・ペプシは犬のくせして、バナナが大好きなのである。もちろん、熟した甘いバナナが好きだ。まさか、夢に現れた若い方は、ペプシの霊? と口に出しそうになったが、犬と人の霊を一緒にするなんて・・・・と怒られそうな気がして、口には出さなかった。
 でも、魂は輪廻して、生まれかわったら、来世は何に生まれ変わるかなんて、わからない・・・・だから何の姿になって、夢に現れても、まんざらおかしいことでもなさそうである。
 
 ラオスにいると、魂とか霊とかの存在を、見えないけれど、確かにあるもの・・・として感じられる。いつのまにか、私も、自分には見えないけど、その存在は信じるようになっている。

 ワンシンの晩は、そうしてピー(霊)が、飛び歩く日なのである。その晩は、なぜか、犬が吠えることが多い。犬にはピーが見えるそうである。昨晩も、いつになく、犬が吠えた。

 今度のバナナ、おいしかったかなぁ・・・・




これは、うちでなったバナナ。今回のバナナじゃありませんけど。
バナナは青いうちにとり、置いておくと黄色くなります。




これも関係ないけど、うちのバナナの木に登らされている、ペプシ。