「あぁ、ほっとした」とばかりに、2匹とも、ブルブル身体をゆらし、水しぶきをとばす。タオルで拭いてやると、急に2匹で取っ組み合いのけんかをしたかと思ったら、2階に、バタバタ上っていき、メリーはとっととベッドの下に潜り込む。覗きこむと、もう、ちんまり寝ている。
「こら!」と引っ張り出して、階下に2匹をおいやり、玄関前にタオルを敷いて、
「ほら、もうここで寝なさい!」というと、今度は2匹とも、「はーい」という顔をしている。
そこで、私もほっとして、また2階に行って寝た。このドタバタ騒ぎと大雨なのに、ダンナは何も知らず、ぐーすか寝ている。
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夜、寝る前に、外に出されていたのに、メリーは2度も窓から侵入して、2階までやってくると、
「ほら、私来たわよ」 という顔をしたのだった。
また、外に出し、今度は侵入できないように、きっちり窓をしめたが、それでも、しばらく、ジャンプをしてあきらめない。ガラスにつめが当たる音がする。ガラスをひっかいては、下にまた落ちているけど、あきらめずに、ジャンプを繰り返す。
「こら、メリー、だめだめ」と、窓の外を見ると、「トライ、トライ!」と、ジャンプして、必死に努力を繰り返すメリーの横で、ペプシが、のんびり、飯の残りをぺちゃぺちゃ食べている
。
「こら、おまえは、少しはメリーおねえさんの努力を見なさい!」と言いたくなってしまったのであった。
だから、それから数時間後の夜中の雨で、玄関を開けて2匹が見えなかった時、
「メリーは努力したのに報われずに、がっかりして、家出したのではないだろうか?ペプシをお伴に・・・」とか、一瞬、思ったのだった。
まっ、そんなことはないけど、メリーは、結構そんなことやりそうな、お嬢犬なのである。
その2 メリーのひさし
メリーは、メリーちゃんなんていう、しゃれた?名前で、赤いリボンでもつけていそうだが、実は、ナントカ甚五郎とか、カントカ助左衛門みたいな、髪型をしている。
つまり、前髪が、
ひさしみたいに出ていて、ちょんまげを結っている橋幸夫とかが、舞台でやりそうなヘアースタイルというか・・そんな風に、私には見えて(飼い主なのに、お嬢犬に対して、無責任な発言だが・・・・)実はおかしいのである。もちろん、メリーはちょんまげなど結ってはいないのだが・・・・・
小さなメリーちゃんは、本当はかわいいのになぁ・・・・どうして、そんな風に見えるのだろう?まぁ、一番よく似ているのは、モップで、ほとんど毛のかたまりなので、どちらが、頭かお尻かわからずに、たまにお尻に話しかけていて、一人で爆笑する。
その3、 くいしんぼうのペプシ
先日、ダンナが、ほいっと犬に、ゆで卵をやる。最初にペプシがくわえたが、ぼろっと落とすと、メリーがすかさず、くわえて、トットットと玄関に出ると、2本の前脚で、しっかり卵を抱え込んで、ペロペロなめている。
「犬はどうやって、卵を食べるんだろう?殻むくのかな?」
と、私が言うと、ダンナが
「ばかだな、そのまま、殻ごと食っちまうんだよ」と言う。
なるほどメリーも、少しずつペロペロと、卵の先から卵のお尻?まで、殻ごと全部食べてしまった。よっぽどゆで卵が好きと見える。ペプシになんか、やるもんか!と、しっかと抱え込んで全部食べてしまったのでした。食べ終わった後、しっかり卵を押さえていた前脚に、殻がくっついていたのが、おかしかったのでした。
いや、どうってことはないんだけど、犬が丸ごとゆで卵を食べるのを初めて見たので。
さて、ペプシであるが、こっちはまた何でも食べる。昨日はバナナを食べた。
「えっ!犬がバナナ食べるんかい?」と私が驚くと、ダンナが
「甘いからなぁ、好きなんだよ」と。
お行儀よく、バナナの皮をむいて食べたわけじゃない。
ペプシは最初は、バナナの皮を、ぺろぺろぺろぺろ、くちゃくちゃくちゃ・・まるでチューインガムをかむみたいになめくったのだが・・・・バナナの実の方をあげたら、もう、一口でごくん、ごくん、ぱーくぱく食べた。
メリーの方は興味深そうな顔をして見ているが、くんくん・・・とにおいがかいで、ツンッ!
「私そんなもん、食べないわ」とばかりの顔をしている。
ペプシは、ゆでトウモロコシも、しっかと前脚の間にはさんで、実をかじるし、パイナップルも食べるし、もう、雑食も雑食。
ラオスの犬はなんでも食べるなぁ・・・・・
メリーは、ラオス生まれラオス育ちだけど、元がおフランス犬なので、どうもそうはいかないようである。
メリーは血が血なのか、パンやクラッカー類が好きで、私が冷蔵庫に行って、中にかくしてある、少しだけ高い「イタリアン・クラッカー」を出して、ごそごそ、隠れ食いをしようとすると、必ず、100発100中、メリーとペプシが後ろに来ている。ペプシは、やたらジャンプして、食いつこうとするが、メリーはじっとお座りをして、じっと・・・それこそ、狂信的な目をして、見つめる。口はへの字である。
「わたしにくれないの」という、オーラのこもった目で、これに勝てない。
メリーは、お腹がすいてたまらなくなると、トコトコトコとやってきて、じ〜〜〜〜〜っと見つめる。口では語らないが、目で語る。
バカな飼い主は、どうもこれに弱い。