メリーとペプシー      2009年7月14日

 前にも書いたうちの犬であるが、どうもそのページはエラーページになっていたらしい・・・・ので、改めて紹介する。うちの犬たちである。
 メリーは、ラオス在のフランス人からもらった雌犬で、文字通り?メリーさんの羊みたいな犬である。1歳くらいかと思う。毛むくじゃらの小型犬。寝ていると、たまにどっちが頭でどっちがお尻だかわからず、お尻に向って話しかけている時もあって、気がついて大笑いする。モップのような犬である。
 ペプシーは、5月にやっていた子犬なのだけど、1ヶ月間日本に行って、今月初め戻ってきたら、もうすっかりメリーより大きくなっていた。毛の短いラオス犬。こちらは男の子。
 メリーはフランス女性にも似て?(単にイメージだけど)、パッションが強く、最近も、男(雄犬)を追って、道路に飛び出し、はねられて、後ろ脚一本が痛くて、現在3本足で歩きまわっている。ナン・サームカー(ラオス語で、3本足の彼女)と、私たちに今呼ばれているが・・・・小さい犬なのに、扉を飛び越えて出るほどにジャンプ力があり、運動神経にすぐれている。もともと、猟犬の気質を持っているらしい。ただ、今は3本脚なので、しかたないおとなしくしているが、この前も、家の前を彼氏が通ったらしく、犬の足が、扉の下の隙間から見え隠れした。メリーときたら、「ウォンウォンウォン」と切なげになき、しばらく、外に向かって、悲しそうに座っていた。
「彼には会いにいきたいし、脚は痛いから出ていけないし、もうさんざん・・・・・」と嘆いていることだろう。

 ペプシーときたら、まったく単純なラオス犬であり、そんなメリーねえさんの乙女心も知らずに、「遊ぼうよ、遊ぼうよ、ねぇ」とワンワン、メリーにじゃれつこうとして、無視されている。それでも、ペプシーはお構いなしに、一人で陽気に跳ねまわったり、寝たり、まったく無邪気な犬である。そのペプシーがつい最近、調子が悪くなった。食いしんぼうなのに、物も食べずに、じっと寝ている。身体を触ると熱い。草を食べては、吐こうとしている。普段なら、お気楽なペプシーがただ、大人しく寝ている。当たり前だけど、犬は偉いなぁ・・・自分の身体をわかっているんだなぁ・・・・しかし、犬は普段も体温が高いけど、犬も熱を出すのである。犬には失礼ながら、へぇ〜と思ってしまった。そのペプシーも1日寝てよくなって、もう、あちこち噛んだり、跳ねまわっているが・・・・・ペプシーは、番犬にはまるで向いていずに、誰が来てもしっぽを振って、クーンクーンいう。「おまえみたいなのは、まず、真っ先につかまって食べられちまうからね」とおどすけれど、まったく、根が「お犬よし」で、人を疑うことを知らず、番犬にもならない犬なのである。
 
 単純なペプシーに比べて、メリーは、激しい恋心も秘めているけれど、それだけではなく、ある使命感をも持っている。家の前を誰か通ると、とりあえず吠えるし、また、ネズミに対して、異常なほどの執着心を見せる。ネズミのことを、ラオス語で「ヌー」というが、夜になると、以前ネズミが出たことのあるキッチンの一角に行って、ずっと壁を見はっている。
「メリー、そこにはいないと思うけど・・・・」と言っても、じっと壁を見はっている。「私の使命だもの」という熱いものを感じさせる。「メリー、ヌーヌー(ねずみだ)」と言うと、丸い目をランランとさせて、クンクンクンクンとあちこちを探しまくる。ただそこがメリーの弱みでもあり、「ヌー、ヌー」というだけで、もうだまされてしまい、もううろたえるくらいに、興奮してしまうのである。まぁ、どんなお利口なフランス犬にも弱みがあるということだ。

 まぁ、とにかく2匹の犬がいる。以前は、赤ちゃん言葉で犬に話しかける人を見ると、シラジラと横目で見ていた私であるが、実際に、そうしている自分がいて、まぁあきれることである。とにかく、この2匹は、私が唯一、日本語で平気で話しかけられる相手なのである。







5月2日(土) メリーとペプシー

 昨晩、彼が友だちの家に遊びに行って、帰ってきたと思ったら、腕に子犬を抱いている。
「もらったんだ」と言う。えっ?うちにはメリーがいるのに・・・。
 うちのメリーは、フランス人からもらった、毛むくじゃらの小羊みたいな犬だが、こちらは、伝統的?毛の短い普通のラオス犬である。
 メリーは大興奮。まずは、彼が、自分じゃない他の犬を抱いていることが、受け入れられない。やきもちの塊である。
「なんだ、こいつは!」とばかりに、ワンワンワンワン吠えまくる。ちびのワンちゃんは、まだおかあさんのおっぱいを飲んでいたのをもらってきたという子犬である。クゥーンクゥーン、キャンキャン、ぼく、どうしたらいいの・・・・とばかりにおろおろしている。

「ミリンダー(ラオス語発音では後ろを揚げる)」と彼が呼ぶので、「それ、この犬の名?」
「ううん、まだついてないよ」「じゃあ、ミリンダーはやめようよ。メリーとややこしいもの。じゃあ、ペプシーか」
 ラオスでは、コカコーラはタイからの輸入品だが、ペプシは、ラオスでも製造している。自分自身は、滅多に飲むことはないんだが、でも、愛飲しているからと言っても、この子犬に「ビアラオー(・・・ラオスビール)」と名付けるのも、ちょいと似合わない。というわけで、なぜかごく当たり前のように、この子犬の名は「ペプシー(やはり後ろが上がる発音)」となった。

 メリーはお姉さんであるが、メリーはここしばらくずっと人間社会の中にいて、犬社会には、たまに家の近所の犬とじゃれまわる時に入れてもらうだけである。うちの近所には、どういうわけか大きくやさしい雌犬が多くて、メリーは遊んでもらう、「おみそ」のような形で、犬社会にたまに入れてもらっている。メリーが体当たりしてじゃれついても、「まったく、このちびが・・・」ってなもので、軽くあしらわれて遊んでもらっているのだが、自分が、年下の犬を受け入れるのは初めてで、どうも、メリー自身も戸惑っているらしい。メリーはあまがみではあるが、ペプシーの首筋にしつこくかみついて、追い回す。
「あんた、お姉さんなんだから、もう少し優しくしてあげなさい」と言っても無理である。
 
 今朝も、朝からメリーはペプシーを追い回して、大騒ぎ。さんざん騒いだ挙句に、2匹ともさすがに疲れたと見えて、それぞれ、戸棚の下やら机の下にもぐりこんで寝て、やっと静寂が訪れた。

 それにしても・・・である。これまでは、朝起きるとメリーが来て、「おはよう」と、人間相手にじゃれまわるのが日課であった。今日は、メリーは人間などに目もくれない。ペプシーを追い回すことに必死である。大好きなご主人の彼にじゃれつくことすら忘れている。
「そうか、これが犬だ」と、改めて思った。犬と人間としかがいないと、犬はペットになって、人間との関係で生きるしかないけれど、当たり前だけど、犬は犬で、犬の付き合いを持ち、犬社会を持っているのが普通なのである。もちろん、「えさ」をくれる人間に、おぺっかを使わないといけないけれど・・・・・村では、人間と犬がじゃれている姿をあまり見ない。犬は番犬であり、家の周りにうろうろしているけれど、決して人間のペットではない。人間にすべてを支配はされていないのである。犬は犬で勝手に歩き回り、勝手にお友達を見つけて、勝手に恋人を見つけて・・・・犬の世界を持っている。ラオスではそれが普通の犬のあり方なのである。

 犬のお友達を得たメリーを見て、改めて、そんなことを思ったのである。
 日本では、今、犬は犬で勝手でしょ!などという犬社会など、ないものなぁ。