メリーとペプシ
                                             2009年5月はじめ

 メリーはうちで、唯一の「犬」だったわけである。
 メリーはここしばらくずっと人間社会の中にいて、犬社会には、たまに家の近所の犬とじゃれまわる時に入れてもらうだけであった。うちの近所には、どういうわけか大きくやさしい雌犬が多くて、メリーは遊んでもらう、「おみそ」のような形で、犬社会にたまに入れてもらっている。メリーが体当たりしてじゃれついても、「まったく、このちびが・・・」ってなもので、軽くあしらわれて遊んでもらっているのだが、自分が、年下の犬を受け入れるのは初めてで、どうも、メリー自身も戸惑っているらしい。メリーはあまがみではあるが、ペプシーの首筋にしつこくかみついて、追い回す。
「あんた、お姉さんなんだから、もう少し優しくしてあげなさい」と言っても無駄である。
 
 今朝も、朝からメリーはペプシを追い回して、大騒ぎ。さんざん騒いだ挙句に、2匹ともさすがに疲れたと見えて、それぞれ、戸棚の下やら机の下にもぐりこんで寝て、やっと静寂が訪れた。

 それにしても・・・である。これまでは、朝起きるとメリーが来て、「おはよう」と、人間相手にじゃれまわるのが日課であった。今日は、メリーは人間などに目もくれない。ペプシを追い回すことに必死である。大好きなご主人のノイにじゃれつくことすら忘れている。

「そうか、これが犬だ」
と、改めて思ったわけだ。犬と人間としかいないと、犬はペットになって、人間との関係で生きるしかないけれど、当たり前だけど、犬は犬で、犬の付き合いを持ち、犬社会も持っている。
 ペプシを追いかけ回すメリーを見て、改めてそう思う。
 1日追いかけまわした後、2匹は、遊び友達になった。

 村では、人間と犬がじゃれている姿をあまり見ない。犬は番犬であり、家の周りにうろうろしているけれど、決して人間のペットではない。人間にすべてを支配はされていない。犬は犬で勝手に歩き回り、勝手にお友達を見つけて、勝手に恋人を見つけて・・・・犬の世界を持っている。ラオスではそれが普通の犬のあり方なのである。

 うちの家族の中の人間と犬との比率も、2人対2匹で、同等になった。


   



 はじめは、もちろんペプシの方が小さかった。
 メリーは、お姉さん風を吹かせまくり!いばっている。
「すぐに、ペプシに追い越されるぞ!」