メリーとペプシのおしっこ騒動               
                             2009年5月から6月ころ



 おねえさんのメリーは、またたくまにペプシに「背」を抜かれてしまった。
 私が、山の村に1週間行って戻ってくると、その間に、ペプシがメリーより大きくなっていて、びっくりしたものだ。
 それでも、やはり、おねえさんはおねえさんだ。ペプシは遊びたい年頃なので、メリーのまわりを飛び跳ねて、ワンワンワン、遊ぼうよ、遊ぼうよ・・・・と、メリーの吠え付くが、メリーは気が乗らないと無視している。

 さて、ペプシはオスだけど、まだまだ、脚をあげておしっこをすることはできず、女の子みたいにおしっこをしている。最初のころ、家の床の上に水たまりを作ることもあった。ダメだよ・・・とペプシを叩いて、外に出す。
「おしっこは外だよ」

 しばらくたった頃、ペプシは2階にも上ってこられるようになった。朝になると、2階の寝室の扉を、ドタドタと前の脚で叩いて、「起きてよ」と来るようにもなった。もちろん、2階には上がらせたくないのだが・・・・・
 ある頃から、2階の階段を上がったところの床に、しばしば、水たまりができるようになった。これは、いけない。
 私は、そのたびにペプシを叩いてしかった。
「ダメでしょう、ペプシ。おしっこは外」
 しつけようと、2階に水たまりを発見すると、わざわざ嫌がるペプシを2階に引っ張り上げて、水たまりのにおいをかがせて、ペプシをぶったものだ。ペプシは困った顔をして身をよじった。

 でも、ある時、あれ?もしかして、メリーの方? と思うようになる。メリーの方が、トットットと階段を上り、しばらくして降りてくるのを何度か発見したからである。どうも、そのあとに水たまりができている。そこで、ある時、メリーが階段をトットットと上った後、すぐついて行って、そっと覗いていると、メリーは腰をかがめて、シャ〜!
「こら、メリー! 犯人はペプシじゃなくて、おまえだったんじゃないの!」
 と私がメリーを叩こうとすると、そこへ付いて上ってきたペプシが、私とメリーの間に一生懸命割り込んで、メリーを叩かせないようにするじゃないか。
「クーンクンクン」と、私にとびかかるようにして、メリーを必死にかばっている。

 メリーは、もしかしたら、自分のおしっこを、ペプシのせいにして、「フフフ」とか思っていたのかもしれないのに、ペプシは、必死にメリーをかばう。
 ペプシは、メリーが私に叩かれるのが嫌なのだ。
「やめて、やめて」と、身をよじりながら割り込み、必死に私にとびかかる。

 ペプシはメリーが大好きなのだ。
 それは、そのあともずっと、そうだった。