去年の誕生日にからもらった(見るからに怪しげな)ランプ。 その風貌を裏切る事なくランプの腹を擦るとランプの精が現れた。(しかも美人!) あれから1年。かの美人ランプの精は・・・・ まだ、俺の側にいた。 アブラカタブラ。 「あのさー・・・いい加減、願い事言ってくれないかなー」 「だってあと1回しか残ってねーんだぞ?! そんな簡単に決められるかよ」 「最初の2回は悩む間ないくらいあっけなく使ったくせに・・・」 「うっせーな!アラビアンな美人ちゃんに『ご主人様』とか言われてみろ! 自分の耳を疑ってもう1度聴きなおしたくなるのが心情ってもんだろ! 男の夢だろ、ロマンってもんだろ!!!」 ゼェハァと、思わず息切れするくらい熱弁を振るった俺を彼 (そう、ランプの精はすっげー美人なのになんと男だった。精霊に性別があるとは驚きだ。)は 冷めた目で見下ろした。 「それでも1年も考えれば1つくらい考え付くだろ?お前の少ない脳みそでも」 この1年の間に「ご主人様」から「お前」呼ばわりされるまでに格下げになってる・・・。 負けるな、俺。 ガンバレ、俺。 自分にエールを送りながら、ハタと気がついた。 そう1年。 今日は自分の誕生日で、つまりこのふよふよと宙を漂うランプの精と出会ってちょうど1年だ。 そっか、そっかぁ。 「よし、ケーキ買ってこよう!」 「・・・は?」 「あ、でもお前モノ食べないもんなぁ。 ま、いーか。雰囲気、雰囲気v」 「・・・・・とうとう頭にきたか?」 失礼なことを言うランプの精をそのままに俺は財布をジーパンのポケットにねじ込んで ケーキを買いに外へ出た。 テーブルに向かい合わせでケーキを置く。 一緒に買ってきた午後ティーもいつもはペットのままだけど一応グラスに注いでみたりして。 「よし、カンパーイ!」 「僕、食べないし、飲まないけど・・・?」 「こーゆーのは一人じゃ淋しいだろ。いいんだよ、俺が後でそっちも食うから」 「自分の誕生日ケーキを自分で買ってくる時点で淋しいと思うけど」 「ひどっ!そーゆーこと言う?言っちゃう?! これは誕生日ケーキじゃなくて、お前と会って1周年記念ケーキだからいいの!」 「・・・・・・・」 「わかったら、大人しく付き合えよな」 「・・・・・・今の・・・」 「あーっ!!!!!! いまの『付き合え』は別に願い事じゃねーぞっ! 俺は、お前を誘ってるだけで、拒否権はお前にある。 お願いじゃなくて、お前が自発的に付き合ってもいいと思った時だけ付き合えばいいんだからな」 「・・・・・うん」 あっぶねぇ。 今まで、散々「うっかり」願い事を言うように仕向けられてきたせいで、 もはや、俺は願い事を上手くねじくる言い訳のプロだぜ。 「お前さ、なんで願い事言わないの」 「・・・・・・・・・・・・・だって、まだコレだ!ってのが思いつかないから」 いつものちょっと人を小バカにしたような顔じゃなくて。 なんて言えばいいんだ?あー・・・・うん、なんかちょっと淋しそうな顔で そんなことを言うから、俺はビックリしてしまった。 「じゃぁ・・・コレだ、っていう願い事を思いついたら・・・」 「俺だって、何も思いつかないわけじゃないんだぜ? お前にして欲しいことだったら、アレもコレもって目移りするくらいいっぱいあるし」 彼の顔が本格的に淋しそう・・・とゆーか、泣きそうに見えて俺はとにかくすごい勢いで喋って 彼の話を途切れさせた。 「だいたい、俺、お前の名前も知らないし、いっつも眉つり上げてるけど せっかく美人なんだから本当は笑ってて欲しいし、 出来たら、おはようのチュウとかお休みのチュウとかして欲しいし もっと先は・・・いや、あれは1番目に願い事として言ったけど却下されたんだったか・・・。 って、コレ全部俺の独り言だから!願い事じゃないから!!」 「・・・・なんでそんなくだらない願い事ばっかなんだ、お前は!」 バチンと平手が飛んでくる。 痛てぇ・・・・・さっきまでのあのしおらしさは一体どこへ・・・。 「他にもっとあるだろ?勉強できるようになりたいとか、 女の子にモテたいとか、レースで1番になりたいとか!」 「えー・・・せっかくなんでも叶うのに、そんなことに使うのもったいねーじゃん。 俺、勉強できるようになりたいと思ったことないし、レースは自力で1番とるし・・・・ はっ・・・じゃぁ、お前のことも自力で落とせばいいのか!」 「死ね!」 うおー!今度は拳が飛んできた。 が、寸での所でなんとか交わす。 俺ってば、将来ボクサーとしてもやっていけるかも。 「お前って、ホントに・・・・・・・・・・・豪」 「へ?」 俺が頭の中で将来設計を立て直していると、聞こえてきたのは 聞きなれた声の聞きなれない単語。 今、俺の名前呼んだ? さらに。 ちゅ、というこれまた聞きなれない音が自分の頬から聞こえ。 「え?え?何?」 と、わたわたしているうちに彼はランプの中に戻ってしまった。 いくらランプを擦っても出てきやしない。 諦めた俺はランプをいつもの定位置(カラーボックスの一番上の棚だ)に丁寧に戻した。 考えてみたら、今出てこられても困る。 こんな赤い顔してるのを見られるのもカッコ悪いし。 とりあえず、今度出てきたら願い事以外の方法でどうにかして彼の名前を聞き出そう。 こんなにも。 幸先のいい誕生日プレゼントまでもらっちゃったわけだし。 へへへと緩む頬を隠しもせずに、俺はなんとか彼を丸め込む作戦を考え始めた。 .....Happy Birthday Go!! ******* 1年も一緒にいたら情も移るという話(爆)。 つーか、こんなネタを1年もひっぱってすいません。 ほ、他に思いつかなかったんだよぅ。(正直者) 豪へのプレゼントとして(?)、烈が純度の高い乙女系に仕上がっております。 見てるこっちが恥ずかしいんだよ、コンチクショーィ! ◇aiko's NOVELのTOP◇NOVELのTOP◇ペケペケHOME◇ |