ねぇ、知ってる? 人が最初に知覚できる色は赤だって。 生命と歓喜に満ちた、強力なエネルギーと。 不安と嫉妬と狂気と。 烈しい2面性を持つ赤。 ねぇ、知ってる? 世界中で一番愛されている色は青なんだって。 無限の広さを感じさせる澄んだ空。 絶対の安心をもたらす地球(大地)の青。
      『Color』 「豪の好きな色って何?」 昼休み。 突然豪の前に現れたジュンは、やはり突然にそんなことを口にした。 豪は貴重な休み時間を有意義に寝て過ごすんだ、邪魔すんな。 と、心の中でビシィッとジュンに指を突きつけてから机に俯せていた体を起こした。 どうして心の中だけに留めたかと言えば、豪は年を重ねる度に 何故かジュンに頭が上がらなくなってきてる気がしているからだった。 ・・・・・不本意だが、なんとなく逆らえないのだ。 「なんだって?」 せめてもの抵抗にかったるそうに口を開く。 「だから、好きな色」 「青」 質問には答えた。よし。 と、再び寝る体勢に入るところで「待ちなさい」とジュンは豪の頬をつねりあげた。 ・・・・・・・・見た目よりもずっと痛いその攻撃に涙目になりながら、 「なんなんだよ」と問えば、ジュンはニッコリ笑って 「豪・・・本当は何色が好き?」 と言った。 豪は赤くなった頬をさすりながら、この笑顔にダマされている男がいるってゆーんだから 世の中わからない。と、思ったが、口に出すような真似はしなかった。 「だから青!」 「ウソ」 「あぁ?」 即答された否定の言葉に豪の眉が上がる。 ジュンのわけのわからない問いに素直〜に答えてやったのに、ウソってなんだよ。 ガキの頃から、俺のモノはなんでも青で統一されてたってお前も知ってんだろ。 最初は、両親が、兄貴のものと見分けつけやすいようにだったかもしれないけど。 あーそれとも単純にこの髪の色のせいか。 そんなことはどーでもよくて。 とにかく、星馬豪と言えば青。 これって、星馬烈=赤と同じくらい有名だと思わねぇ? という心の声を読み取ったらしいジュンは、それでも 「だって、違うんだもの」 と、重ねて言う。 そう言ったジュンの目を見て、今日は昼寝できねーな。と、豪は諦めた。 5限が居眠りしやすい現国だということだけが救いだな、と思いながら。 で。 豪曰く貴重ーっっな昼休みを丸々つぶされたというジュンの話はこうだった。 色占い、とゆー占いがあって。 女子に絶大な人気を誇る自分(豪主観)の好きな色を知りたいという女の子が 後を絶たない(そこまで言っていない)ために、幼なじみのジュンが豪まで聞きにきたと。 何で豪の答え"青"がウソかといえば。 豪のことを少しでも知ってる人、ましてや豪のことを好きな女の子なら 豪の好きな色は青なんじゃないかと見当がつく。 で、女の子が"青"で占ったところ、あまりにオレに当てはまらない結果が出たと。 ・・・・・・どんな結果が出たか知らないけど、ほっとけよ。 と、豪が思っても罪はないかもしれない。 所詮は占い。 絶対当たるというものでもない。
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その夜、豪が烈の部屋まで来ると、烈は珍しく勉強机ではなくベッドの上にいた。 その烈に向き合うように勉強机の椅子に逆向きに腰掛けると背もたれに顎をのせ、 多少大袈裟に今日のお昼の件を愚痴ってみる。 大人しく話を聞いていた烈は、豪が一通りしゃべり切ると苦笑してみせた。 豪の予想とちょっと違うリアクション。 「ソレ、僕のとこにも聞きにきたぞ」 ・・・・・・・・・・なるほど。 兄貴も被害者だったのか。 それで、あの苦笑い。 「で、兄貴は何色って答えたんだよ」 「・・・・・・・・・赤」 「だよなー」 豪は深く頷いた。 烈兄貴に似合う色は赤以外に考えられない。 と、変に熱がこもる。 「で、兄貴も"合ってない"とか言われたワケ?」 「ん、まぁな」 「豪、その占いの内容まで聞いたか?」 「いや、聞いてねぇけど」 「ま、お前が聞いても理解できるかわかんないしな・・・」 なんだよ、その呆れ顔は!! 占いに理解もなにもあるかっての! 「"青色が好きなあなたは何事にも慎重に物事を運ぼうとし、きちんと対処していく人です。   感性はすばらしいものがあり自制心を持ち合わせています。   他の人からは控えめで誠実に見られることが多いでしょう。"だもんな。  そりゃ、ジュンちゃんも疑いたくもなるだろ」 「へ?」 よく見れば烈は1冊の本を手にしていた。 豪が目で問うと烈は 「あぁ、ジュンちゃんに借りたんだ、コレ」 と言う。 「んじゃ、赤はどうなんだよ」 「"赤色が好きなあなたは太陽のように開放的で明るい人。   しかも積極的に行動できる人のようです。好奇心が旺盛なのでしょう。   しかし、結構おおざっぱなところもあります。   すなわち、細かいことは気にしない性格のようです。   ただし、感情の起伏が激しい傾向が見られるので特に対人関係には要注意です。"  豪、おまえにピッタリだな」 確かに。 と、納得しかけてなんとなくあまり褒められてないことに気づく。 「ジュンちゃんが言ってた色占いってのはさ、簡単な心理学のコトだろ」 色彩が人に及ぼす心理作用。 それを元にその人の好きな色でだいたいの性格とか、恋愛観がわかるっていうことだから、 少なくとも星占いなんかよりは信用できるかもしれない。 「んでも、あってねーじゃん、ソレ」 「そっか?割と的を得てると思うけどな」 「どこが?」 「これは好きな色っていうより、自分の周りに多い色って方が当てはまるってコト」 「だから、オレが青で、烈兄貴が赤ってコトだろ?」 「バーカ、よく考えろ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 「僕の言いたいことわかったか?」 「・・・・・・・・全然」 「そーやってずっと考えてろ、アホ」 「バカとかアホとかなんなんだよ!!」 「"感情の起伏が激しい"・・・ね」 「〜〜〜〜〜ッ!!!」 色が及ぼす心理作用はその色によって違っていて。 確かに自分の身につけるモノはどれもこれも赤・赤・赤だったけれど。 それと同時に、いつも隣には青一色でコーディネイトされてる弟がいて。 いつも自分の目に映っていた、その色は。 「っくしょー、だいたい、オレは占いなんて信じてないし!」 烈の言ってることがわからないのが悔しいのか 単純に烈にバカにされたことに腹が立っているのか、 変にムキになっている豪はそう言うと座っていた烈のイスをグリンと方向転換させた。 こういう時は子供の頃と変わんない顔するよな、コイツ。 烈はくすりと笑うと、豪の近くまでベッドの上を這っていく。 後ろからポスンと豪の頭に手を乗せると、風呂上がりでまだしっとりとしている髪を手で梳いた。 「僕、豪の髪の色、好きだよ」 「な、え、はい?」 今までの話の流れと烈の言葉の意味がつながらない。 その前に、単純に烈の行動に驚いて。 それこそ意味を為さない言葉を発する豪に、烈はもう一度「バーカ」と言うと 「僕もお風呂入ってこよーっ」とベッドから飛び降り、部屋を出た。 主のいなくなった部屋に残ったのは、普段、そういうことは滅多に言わない兄に 不意打ちパンチ的言葉を喰らって動けないでいる豪と、 ベッドの上で所在なさげに放り出されている色占いの本。
目を閉じてもこんなにも鮮やかに。 瞼に焼き付いているアナタの色。 −END−
誕生日かすってもねーっ! 烈記念とゆーことで(?)たまには烈からラブビームを出してもらってみたよ。 ただ、慣れないことしたら烈豪っぽくなっちゃった気もするけど(アイタ)。 一応、ゴーレツってことで。たは。 ってことでハッピーバースデー、烈ちゃんv   ◇aiko's NOVELのTOPNOVELのTOPペケペケHOME◇ <おまけ> ■赤色が及ぼす生理作用&心理作用 心拍数を上げる アドレナリンの分泌をよくする 新陳代謝を促進する 自律神経を刺激し、緊張状態にする 食欲増進 人を元気づけ、より活発にさせる ←だから豪はいつでもあんなに元気なのね! 愛情、優しさ、ぬくもりを感じさせ、心を和ませる 自閉症患者に効果的 覚醒、興奮状態を作り出す ←烈、それは危険だわ!!(死) 時間経過を遅く感じさせる ■青が及ぼす生理作用や心理作用 精神を沈静化させ、安定させる 集中力を促進させる ←烈の集中力の秘密がこんな所に! 解毒、殺菌作用 催眠効果 鎮痛効果 内分泌系の働きを鎮静化 発汗を押さえる作用 血液を浄化させる作用、止血作用 コレ見て、烈は豪を見て、豪は烈を見て育ったら、 そりゃぁあんな性格形成にもなるよなー。 って思ってみたのでした。