5,002(ゴーレツ)ゲッターURUZUさんへ。
リクエストに応えられてないですね、全然。ごめんなさい(^^;)
「Aerial」
「見舞い持ってきてやったぞー」
病室のドアを開けると、豪はボクの姿を認めるや否や布団を頭から被って
ベッドに潜り込んでしまった。
ムカッ。
人がせっかく来てやったのにそういう態度とるか。
「豪ー、顔出せよ。
お前が食いたがってたケーキ持ってきてやったんだから。
怪我してんのは足だけなんだから食えるだろ?」
布団のかたまりは動かない。
吊された足だけが出てて、ちょっと間抜けな格好になってること、
本人は気づいているのか?
「顔出す気がないんなら、帰るぞ」
そう言ってやると、ほんの少し布団をずらし、豪の顔が出てきた。
ま、豪の気持ちもわかるけど。
2日程前の晩のこと。
××× ××× ×××
「なー、烈兄貴っ!今度の日曜の試合は絶対見に来てくれよなっ!」
「あれって日曜日だっけ?」
リビングで雑誌を読んでる所に豪がけたたましく割り込んできた。
確か、ウチの高校のサッカー部の顧問が見学に行くって言ってたやつだよな。
豪のスポーツ推薦はほぼ確実らしいけど、これで決定するとか言ってたっけ。
「そしたら、オレ兄貴のためにハットトリック決めるから!」
「ばーか。ボクより見学に来てる先生たちにアピールしろよ」
「いーの、いーの。
兄貴のためにやったほうが絶対いい試合できるから☆」
なんでコイツはこーやって恥ずかしいことをサラッと言うかな・・・。
「そんなこと言っててボロ出しても知らないからな」
「大丈夫だって、天才はそれくらいのことでビビッたりしないの」
子供の頃から不思議だったけど、この自信って一体どこからくるんだ?
しかも、ここぞという時は大抵なんとかしてしまうのだ。この弟は。
ま、上手くいかないこともかなりあるけど。
「そこまで言うなら、試合見に行ってやるから、絶対決めろよ。ハットトリック」
「まかせろよ。そのかわりー・・」
「なんだよ?」
「ホントに決めたら、オレのお願いも聞いてくれる?」
と言って、ボクの顔をのぞき込んでくる豪を見て、安易に「お願い事」の想像がつく。
「ヤダ」
「なんだよ、まだ何も言ってないだろー?!」
「顔に書いてあるんだよ、お前の場合」
「そっか・・・・・顔見ただけでオレの気持ちがわかるなんて・・・愛だな!」
抱きついてこようとする豪を手にあった雑誌で殴りつけて阻止する。
「アホ。お前が単細胞なだけだろ」
「ちぇ」
豪は恨めしそうにこちらを見てる。
ま、今度の試合の相手は強豪だって言うし、ハットトリックなんてめったに出ないもんな。
「わかったよ。
約束守れたら、お前の『お願い』も聞いてやる」
「マジで?!」
やったー!とまたもや抱きついて来ようとした豪を同じく雑誌で殴りつけた。
その次の日に。
練習中に怪我したのだ・・・・大切な足を。
幸い、たいしたことはなくて、1週間ほど入院すればいいということだったが
当然試合には出れない。
烈と同じ高校にいけるかどうかがかかってる試合だったのに。
××× ××× ×××
あれだけ大口叩いてたんだから、そりゃー、顔もあわせづらいだろう。
でも、ウチ学校の先生は次の試合の時に来るのを見合わせてくれるっていう話だし、
怪我もたいしたことなかったんだし、そんなに気にすることないのに。
最初に豪が怪我をしたと聞いたときに、すごく胸が痛くなって
こちらが倒れるんじゃないかと思った。
それがたいしたことないって聞かされた烈としては
そのくらいでメソメソするなと言いたくもなる。
「兄貴ぃ・・・」
「情けない声出すなよ」
「だって、オレさ・・・兄貴と約束したのに・・・・・」
今にも泣きそうな声で言われて、こちらも返答に困る。
ふっと、自分が入院していた時のことを思い出した。
心細くて、一人で考える時間が多すぎて、余計なことまで考えてしまう。
それは経験上わかるけど。
でもボクは豪になんて言ってあげたらいいかなんてわかんない。
いつもうるさい豪が黙ってるもんだから
部屋が沈黙に包まれる。
自分が入院してた時。
あの時は、豪はボクになんて言ってくれたっけ。
「なぁ、烈兄貴」
「なんだよ?」
沈黙を破ったのは・・・やっぱり豪だった。
「・・・なんでもない。
呼んでみただけ」
なんだそりゃ。
「・・・烈兄貴ぃ・・・・・・」
「だから、なんだってば」
「別に、なんでもないけど・・・」
「なんだよ、気持ち悪いな。言いたいことがあるならはっきり言え」
こんな時でも優しい言葉もかけてやれないなんて
ボクって、結構冷たい人間なのかも。
「だから・・・別になんでもないんだってば。
兄貴の声が聴きたかっただけ」
ふてくされたように顔を背ける。
あぁ、そうだ。
自分が心細いとき、豪がそばにいるだけで。
豪の声を聞くだけで・・・ただそれだけで。
気の利いた言葉ばかり探してた自分が可笑しい。
豪に気を使う必要なんてないのに。
「ボクとの約束なんてたいしたことじゃないだろ?
そんなことより、あんまり心配かけさせるなよな」
「そんなことじゃない!
内容とか関係なくて、"兄貴との約束"を破るのはオレが嫌なんだよっ」
「出られないもんは仕方ないだろ。
そんなに"約束"にこだわるんだったら、約束は延期にしてやるから」
「・・・延期?」
いつの間にか布団を剥いで、ベッドの上に状態を起こしている豪が首をかしげる。
「そ。次の試合、見に行ってやるから、決めろよ。ハットトリック」
「でも、それじゃぁー・・・」
まだ言うか。
豪のくせに。
普段、頭を使わないやつが変に考えすぎると、ろくなことないな。
なんて、自分のことは棚に上げて、軽く自分の口で豪の口をふさぐ。
「う・・あ・・・え?」
うーわー。すっごいマヌケ顔になってるぞ、豪。
「報酬の先払いしたんだから、死ぬ気で決めろよ」
「・・・・・・・・了解」
そう言ってボクのこと見た豪の目は、いつもの自信過剰な挑戦的な目で。
まぁ、それはそれでボクの心配の種も増えるんだけど・・・・
それもまたいいかな。
「あーもー、ケーキのクリーム布団につけんなよ」
「〜この体勢はものが食いにくいんだよ、しかたねーだろ」
「あー、でもこれで次の試合も失敗して、ウチの高校来れなくなったら笑うよなー」
「笑えねーよ!!」
うん。やっぱ。
こんな感じがちょーどいい。
Your voice is work in me,
And healin' under mind.
And you?
−END−
なんか、よーわからんなー(--;)。ごめんなさいね、URUZUさん(;_;)。
たまには豪に落ち込んでもらおうかなーと、思って書いてみました。
入院ものって烈が死にそうなのしか見たことがなかったので(^^;)。
タイトルの「Aerial」は「空気のような」とかそんな意味です。
最後の英語は文法嘘っぱちですが許して下さい(笑)。
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